鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

山水図鍔 貞次 Sadatsugu Tsuba

2010-09-03 | 
山水図鐔 貞次


山水図鐔 銘 長州萩住有田源右衛門貞次作

 素銅地を変り木瓜形に造り込み、耳を打ち返して変化をつけ、近景は川辺の風景、中ほどに帰雁の群れを配し、遠い山並みは夕日に霞んでいる様子を描かずに、赤味のある地金の様子で暗に表現している。構成の巧みな作である。この鐔も古い正阿弥派の手法を下地としており、地の使い方、金銀の布目象嵌の効果的な使い方など、寂の世界観が見事に表現されていると言えよう。有田源右衛門貞次(さだつぐ)は江戸時代中期の工。長州鐔工に多い鉄地高彫を専らとするも、このような古典に倣った作品も遺している。京都の金工文化を良く伝え、良く再現しており、ことに素銅や真鍮などを用いた例は資料的価値が高い。□


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