鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

ロザリオ透図鐔 三信家 Nobuie Tsuba

2011-11-18 | 鍔の歴史
ロザリオ透図鐔 (鍔の歴史)


ロザリオ透図鐔 三信家

 肉厚く頑丈に造り込んだ鉄地に鎚目を加え、耳はわずかに打ち返して抑揚変化を付け、光沢のある地相としている。その全面に毛彫による唐草文を加えて装飾としているが、さらに大きな装飾は雪輪のような櫃穴と珠繋ぎの透かし。これはロザリオ(数珠)を意匠したものと考えられているようだが、実は良く判らない。判らないから面白いということもあるが、作風そのものが大胆で力があり優れている。図柄については、果たして念珠でよいのだろうか。ロザリオと読んだことから、キリシタン鐔であるとの説も出るのだが、ロザリオはそのまま我が国の数珠である点を忘れてはならない。銘に添えられた三は三代信家の意味であるとの説もあるが、わからないと言うべきであろう。先に述べたように、そもそも初二代についての分類も難しい。耳は打ち返しがさほど強くないものの、これがあることによりがっしりとした強みが感じられる。鎚目の効いた地面に抑揚のある毛彫が施されて自然な変化があり、信家らしい作域である。79ミリ。