鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

葡萄文図鐔 無銘埋忠

2011-11-08 | 鍔の歴史
葡萄文図鐔 (鍔の歴史)


雪華文図鐔 無銘埋忠

素銅地に、小透、金銀平象嵌、櫃穴周りの星形意匠雪の結晶を想わせる意匠を施した、洗練味のある鐔。雪のデザインで紹介したことがある。優れたデザイン性に埋忠派の特質があり、大きな魅力となっている。76.5ミリ。


葡萄文図鐔 無銘埋忠

 葡萄の蔓、葉、花、実などは様々に意匠されている。この鐔は、写実味を含んでいながらも明らかに文様化したことが判る図柄である。こうした洒落た意匠は埋忠派の得意としている。暗くもなく明るくもない、いわば中間色に位置する素銅地を巧みに活かし、金と銀に薄い鋤き下げの高彫を組み合わせている。時代の下がるに従い、埋忠派は平象嵌だけではなく彫刻技法も盛んに用いるようになる。84.3ミリ。