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鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

雫透図鐔 応仁 Onin Tsuba

2020-12-12 | 鍔の歴史
日本刀専門店 銀座長州屋

雫透図鐔 応仁


雫透図鐔 応仁

 時代の上がる鐔に施されている文様には、ほとんど理解不能なものがある。道具などを具象表現したものであれば、その道具を探り当てることも可能だが、本作のように何?と思考が停止してしまう例が多々ある。その謎めいた文様を探り出すことの面白さも、古作鑑賞の楽しみのひとつだ。応仁鐔の典型的造り込みになる本作の、この図は何だろう。戦場を経巡る武士の持ち物であれば梵字かなと思ったがそれらしき字がない。文様や図柄が発展しつつある時代の作は面白い。

Webサイト参照

唐花文図鐔 応仁 Onin Tsuba

2020-12-10 | 鍔の歴史
唐花文図鐔 応仁


唐花文図鐔 応仁

真鍮という合金はとても製造しにくいそうだ。以前にも説明したが、真鍮は銅と亜鉛の合金である。合金とは二つ以上の金属を溶かして混ぜ合わせることによって造り出すのだが、銅の融点は約1085度、亜鉛の融点は約420度、そして亜鉛の沸点が約907度。銅が溶け出す前に亜鉛が気化してしまうのである。単に溶かして混ぜ合わせるのでは銅と亜鉛の合金はできない。昔の人々が、いかにして真鍮を造り出したのかは、難しいので説明は省くが、我が国では真鍮を造り出せなかったのではないだろうか。それゆえ、大陸から輸入した真鍮素材からなる器物は高く評価されていた。室町時代に中国から輸入していた真鍮製の器物に宣徳の製作年紀があったことから、真鍮製の器物を宣徳と呼び慣わしたという。その名残りがあり、江戸時代の鐔に「以宣徳金」の添銘がある作も遺されている。
 真鍮を用いた装剣小道具は室町時代に始まる。応仁鐔が真鍮を用いた鐔として良く知られている。鉄地を薄手の板鐔に仕立て、文様を陰に透かし、その縁取りとして真鍮の線象嵌を施し、地面には魚子のように真鍮の点象嵌を施す。

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四方猪目透図鐔 応仁 Onin Tsuba

2020-12-09 | 鍔の歴史
四方猪目透図鐔 応仁


四方猪目透図鐔 応仁

比較的古い作であろう、頗る簡素な鐔。四方に猪目のある木瓜形の板鐔に線象嵌で縁取りし、魚子状に真鍮点象嵌を施しただけの作。本来の実用鐔というのは簡素なものである。そこに装飾が始まる。時代の上がる板鐔の代表とも言い得る刀匠鐔にしても、甲冑師鐔にしても簡潔なのである。35□

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唐草に梅紋図鐔 平安城象嵌 Heianjozougan Tsuba

2020-12-09 | 鍔の歴史
唐草に梅紋図鐔 平安城象嵌


唐草に梅紋図鐔 平安城象嵌

応仁鐔と呼ばれる真鍮を装飾の素材に用いた鐔から、次第にその装飾性が高まってきた桃山頃の鐔。華やかさも桃山時代の特質。文様を彫り込んだ溝に真鍮を象嵌し、表面を平滑に仕立てている。表面を平滑に仕立てる平象嵌の手法と、文様にわずかに量感のある手法とがある。先に紹介した鐔が、真鍮部分に量感のあるタイプ。

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牡丹唐草文図鐔 平安城象嵌 Heianjo-zougan Tsuba

2020-12-07 | 鍔の歴史
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牡丹唐草文図鐔 平安城象嵌


牡丹唐草文図鐔 平安城象嵌

 古典的な香りの漂う鐔。竪丸形ながら切羽台の周囲に四方に透かしを設けて太刀鐔にある猪目風の装飾としている。象嵌はすべて真鍮。牡丹を唐草模様風に意匠し、象嵌の表面を高肉に処理せずに薄肉の手法を採っているが、文様には毛彫が施されて立体感が生まれている。真鍮象嵌鐔では桃山頃の作であろうか、時代の上がる作に比較して装飾性が高まっている。唐草だけでなく、蕨手や植物の葉などを組み合わせると異国風の文様になる。

唐草文図鐔 赤坂忠則 Tadanori Tsuba

2020-12-02 | 鍔の歴史
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唐草文図鐔 赤坂忠則


唐草文図鐔 赤坂忠則

 唐草と言ってよいのだろうか、洒落た文様。シルクロードを経て到来した文様のようにも感じられる。左右の櫃穴の周囲の蕨手風、あるいは唐草風の文様も、このように対称に描き出すと素敵な景色になる。

輪違い図鐔 赤坂 Akasaka Tsuba

2020-12-01 | 鍔の歴史
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輪違い図鐔 赤坂


輪違い図鐔 赤坂

この鐔も円を組み合わせ、新たな文様化を試みた作。円を組み合わせると七宝風の文様が生まれる。それを複式に組み合わせるだけで新たな文様となる。そもそも円が持つ意味合いは、禅に通じるものとして武士の持ち物の図柄として採られることが多かったのだが、時代も降ってくると、次第に装飾性が強まり、美観追求の素材の一つになったようだ。

輪違いに雁金図 古赤坂 Akasaka Tsuba

2020-11-28 | 鍔の歴史
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輪違いに雁金図 古赤坂


輪違いに雁金図 古赤坂

曲線の組み合わせにより、円が球状に見えてくる構成は良く知られている。肥後の林なども曲線の組み合わせからなる妙味ある構成美を創出した鐔を遺している。その繊細な美観を主題とし、所々に雁金を組み込んでいる。

武蔵野図鐔 赤坂 Akasaka Tsuba

2020-11-27 | 鍔の歴史
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武蔵野図鐔 赤坂


武蔵野図鐔 赤坂

ススキの葉を巴状に、耳に構成している。なんて素敵なんだろう。三日月と帰雁を組み合わせ、構成美を極めている。微かな月明かりに露が光っている。武蔵野の古歌を題材に意匠したものながら、鐔という画面を活かして巧みに風景の文様化を試みている。

武蔵野図鐔 古赤坂 Akasaka Tsuba

2020-11-26 | 鍔の歴史
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武蔵野図鐔 古赤坂


武蔵野図鐔 古赤坂

これもススキなど野の植物を題に得て、その枯れて朽ちかけているような、秋の雰囲気が漂う作。独特の強弱変化に富んだ曲線からなる構成が美しい。地鉄の風合いも、この図柄に良く合っていると思う。

武蔵野図鐔 赤坂 Akasaka Tsuba

2020-11-20 | 鍔の歴史
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武蔵野図鐔 赤坂


武蔵野図鐔 赤坂

ススキなど野の草が生い茂っている。味方によれば野趣に溢れた場面だが、名工の手に掛かれば風雅な文様に変化する。晩秋の野であろう、風を受けて枝が折れている。露が枯れススキの葉に光っている。武蔵野の図の原題は伊勢物語。主人公が東国を旅し、武蔵野までやってきた。その印象が和歌として遺されている。都を思い出しているのであろうが、赤坂鐔工の手にかかると、ずいぶん印象が異なる世界観の展開だ。

藻刈図鐔 赤坂忠重 Tadashige Tsuba

2020-11-18 | 鍔の歴史
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藻刈図鐔 赤坂忠重


藻刈図鐔 赤坂忠重

伝統行事の一つ、海藻を刈り取って神前に供える儀式がある。この図がその神事を表わしているのではないかと考えた。束ねられた海藻が文様化されて風雅な印象。赤坂鐔工の中でも忠重は、言うなれば赤坂の門流の一つだが、本家を超えて様々な文様美を生み出した。

扇茶筅雁金繋図 赤坂忠重 Tadashige Tsuba

2020-11-17 | 鍔の歴史
扇茶筅雁金繋図 赤坂忠重


扇茶筅雁金繋図 赤坂忠重

尾張鐔などを手本としたものであろう、耳と切羽台を扇や雁金文でつないだ透鐔。銘がなければ尾張と極められる作である。下の鐔も同様に尾張に紛れる作。雁金と呼ばれる鳥の文様は、透かし鐔にまま採られている。いかなる理由があるのか良くわからないのだが、文様化されると独特の美が生まれる。



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這龍図鐔 赤坂忠時 Akasaka Tsuba

2020-11-07 | 鍔の歴史
這龍図鐔 赤坂忠時


這龍図鐔 赤坂忠時

 赤坂鐔工にもこのような意匠があるんだと、再認識した作。新たな作風を求めたものであろうか、それとも特別の依頼があったものか、赤坂鐔として興味深い一枚である。龍神の透かしの切り口の処理などは特に興味深い。

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