3388 野球ブログ

日米を問わず名選手を紹介。

100マイルの競演(1)

2012-04-20 21:15:54 | Weblog
現地時間4月15日、若手快速球投手の内、何人かが登板しました。先ずはレンジャースのネフタリフェリースです。昨年までのクローザーから今年はスターターとして登板しています。ほぼ1イニングの予定の抑えから先発への転向により、球速の低下を心配していたのですが、残念ながら不安は的中し、ストレート系の最速は97マイルであり、92マイルから95マイルが多かったものでした。やはりある程度のイニング数を投げる事を目指す先発と、少ないイニング数に集中出来るリリーフでは、力の配分が基本的に違うのでしょう。スタミナ配分を考えての、抑えめの球速で、コントロールを重視しているかの如くの投球内容でした。昨年度100マイル超え21回、ストレート系の平均球速96.3マイルを誇った素晴らしい球の速さを観る機会は、今年は減りそうな雰囲気です。前回の登板でも、球速は抑えめの投球が観られ、このまま先発として起用されるのなら、昨年より球速ダウンは否めず、少し寂しい感すらします。しかしこの日、ナショナルズ対レッズの試合で、二人の若い快速球投手の競演が観られました。二人とも最速100マイルを記録しています。日本より遥かに速い投手の多いメジャーでも、100マイルの競演はなかなか観る機会は少ないような気がします。

榎本喜八と張本勲(7)

2012-04-19 21:26:57 | Weblog
榎本喜八と張本勲、脚力に触れてみます。走者としての脚力は圧倒的に、張本勲が優れています。通算319盗塁を記録している様に、中軸を任されながらも、かなり積極的に盗塁を試みたり、又加速のついた時の速さは、それなりに素晴らしいものでした。又当時のシーズン打率の新記録を達成した打席でも、その時点でかなりの速球投手山田久志を相手に、巧くバントヒットを決める等、強打者の割に小技にも優れていました。一方榎本喜八は、通算153盗塁を記録していますが、走れる選手というイメージは殆どありませんでした。又常にジャストミートだけを考えている彼には、敢えて芯を外すバントヒットを狙うという考えはなく、中継が少ないこともあるでしょうが、彼のバントヒットは記憶にないものです。守備での脚力ですが、張本勲は何故か、走者の時の様な走りは出来ず、これは珍しく本人もサンデーモーニングで語っていましたが、上下動の激しい、つまり目線の一定しない走りしか出来ませんでした。打球勘にも優れず、走り方にも問題のある彼の守備が最低ランクなのは十分に分かるものです。榎本喜八の場合、守備がファーストの為、脚力は分かりにくいのですが、前後や左右の動きを観る限り、やはり守りの面でも脚力は優れていなかったかと思います。


ジャスティンバーランダー(Justin Verlander) (4)

2012-04-18 11:32:29 | Weblog
昨日の対ロイヤルズ戦でバーランダー投手が、凄まじい投球を観せてくれました。9回、131球、2失点で完投勝利を挙げています。前回の登板で9回に打たれ、逆転負けを喫したのが、かなり悔しかったのでしょう。今回は絶対完投してやるという超一流投手の意地を感じたものです。特に凄かったのは、9回、1点差に詰め寄られ、2死満塁で迎えた打者との投球です。結果に先に触れますと、100マイルの快速球を3回連続で投じ、4球目に88マイルのチェンジアップ、最後に又100マイルの球でした。その内でも最後の球は、左打者の内角低めにズバッと決まり、とても手が出せる様な球ではありませんでした。高めの球も浮き上がる様に伸び、メジャーの投手の内でも異次元の力を持つ投手と言う事を感じさせてくれました。彼の場合、通常は球速を抑え気味にし、とは言え普通の投手より遥かに速いのですが、大事な局面ではスピードアップする場合が非常に多いのですが、今回はその集大成を見せて貰った様な気がしました。昨日この投球があまりにも凄すぎるもので、何回も繰り返し観てしまったものです。せこい話で恐縮ですが、MLBtvへの、1年分の投資、約1万円分の元を取った様な気になったものでした。

榎本喜八と張本勲(6)

2012-04-17 16:11:09 | Weblog
張本勲の手首は、強打者としては決して強くありませんでした。しかしこれも又巧く活用している様に思えてしまいます。この決して強くない手首が、無理やり引っ張る事をしないというか、ある意味もう一つしづらい為か、彼の打法にはかって中西太、広瀬叔功、石井浩郎等の打者に見られた自身の手首の強さを活かし、かなり強引に投球を引っ叩く様な打撃は見られませんでした。この三人は素晴らしい打者ですが、結果的に手首の強さが仇となり、腱鞘炎等の故障を引き起こしたかと思います。全方向への打撃を可能にした要素としては、この手首の力が関係している様に思えてなりません。榎本喜八と張本勲、球史に残るアベレージヒッターの二人ですが、タイプとしては以上触れて来ました様にかなり違っていると思います。守備に関してですが、正直二人のレベルはかなり低いものです。守っても安打製造機と言われる張本勲に対して、不動の一塁手榎本喜八と言った処でしょうか?兎に角殆ど動かず守備範囲は狭いものでした。又当時の選手としても身長は低い方で、他の内野手にとっては、送球に物凄く苦労したものと思います。1失策のみのシーズンもありましたが、これは彼が如何にボールを追いかけなかったかを証明するものと思えてならないものです。

榎本喜八と張本勲(5)

2012-04-16 21:59:53 | Weblog
張本勲の打撃フォームに触れます。バットを高く構え、捕手寄りに倒して始動していきます。全くと言っていい程無駄な動きがない榎本喜八と比較して、投球に対して遥かに遠回りしている様に感じますが、彼はこの一見欠点かと思える動きをプラスに変え得る技術を持っていました。この動きをする事により、投手のあらゆる投球に巧く対応し、全方向に打ち分けていました。つまりスイングスピードを自在に変える事が出来る事により、あの扇打法が可能になったかと思います。榎本喜八程のジャストミートはせずとも、安打を放てたのが張本勲と言えるかと思います。しかしこの打法には、物凄く速い球には対応出来ないと言う大きな欠点があるかと思います。張本勲の現役時代の投手の平均球速は、間違いなく現在の投手より遅かったと思います。現在の投手と比較しても速いと思われる投手も何人か存在しましたが、総体的には球の遅い投手が多かったものです。従って当時の遅い球が主流の投手達と対戦するには、ある意味最も適したフォームと言えるかも知れません。もし全盛時代の二人がMLBの速球投手と対戦したとしたら、パワーこそ劣れど榎本喜八の方が間違いなく対応出来た様な気がします。

ウラディミールゲレーロ(Vladimir Guerrero) (5)

2012-04-15 21:46:49 | Weblog
ゲレーロの特徴があり過ぎる打撃に触れたく思います。先ずは、現在他の選手では、殆ど見られなくなっているのですが、素手でバットを握って打席に立ちます。以前本能のみで打っているかの様な表現をしましたが、打撃術は物凄く高いものです。スイングスピードはメジャーでも屈指の速さを誇りながら、様々な球種に対応出来る技術があります。右中間への打球でも、巧くミートして流し打っている感覚はなく、思いっきり叩いての結果がその方向に飛んでいる感じがします。しかし何と言っても、最大の特徴は信じ難い程の悪球打ちにあろうかと思います。普通コースや高さ、どちらかのボール球に手を出す傾向のある選手はいますが、ゲレーロの場合はそれとは全く関係なく、打てると思ったらどんな投球にも手を出すのでしょう?今まで幾度となく、ボール球に手を出し、しかも安打にするシーンを見せられたものです。かっての人気野球漫画、ドカベンの岩鬼選手の打撃を彷彿させてくれるものです。ゲレーロの人並み外れたパワー、異常な程のバカ肩、特異な風貌と併せ、メジャーリーグで怪物と呼ぶのに最も相応しい選手かと思います。衰えは見せながらも、これ程の選手の所属先が現時点で未定というのは、メジャーの契約の厳しさを感じざるを得ません。

榎本喜八と張本勲(4)

2012-04-14 13:39:25 | Weblog
榎本喜八と張本勲、二人の打撃フォームに触れたく思います。榎本喜八はバットを寝かせた状態で構え、殆どステップする事なしにバットを降り出していました。長打力を発揮する点では多少問題があるかも知れませんが、軌道の乱れがなく、全く無駄の見られない理想的なフォームと言えるかと思います。当時の打者は現在と比較すると、三振を喫する率は低いものでしたが、その内でもある程度長打を放ちながら、被三振率が物凄く低いのも納得出来る様な打撃フォームでありました。通算三振ワーストの清原和博の晩年、ドアースイングが度々見られたのですが、榎本喜八の場合、脇が見事に締まり、終始ドアースイングとは全く無縁のものでした。更に彼の素晴らしい点は、始動の際、肘の位置が常に一定しており、結構多くの強打者にも見られるスイッチヒッティングの兆候すらありませんでした。この点では、イチローと双璧かと思います。安定感抜群の打撃フォーム故、ギリギリまで球を見極める事が出来たのでしょう、彼の選球眼は物凄く素晴らしく、ボール球に手を出す事はまずなかった様に記憶しています。この点では、イチローの比ですらなかった様に思います。

榎本喜八と張本勲(3)

2012-04-13 11:59:48 | Weblog
榎本喜八と張本勲、二人共安打製造機と言われ、安打を放つ事にかけては最も優れた能力を発揮しました。少し二人を比較して見ます。通算本塁打数は246本対504本と、通算打数の差こそあれ、遥かに張本勲の方が上回っています。長打力も充分ありながらも率の方を優先した感のある張本勲に対して、身長、体重に於いて明らかに劣る榎本喜八は、ことパワーに関しては張本勲の比ではありませんでした。しかしタイプで大きく分ければ二人共中距離ヒッターの範疇に入るかと思います。史上稀に見る最も穴が少なく、且つある程度の長打力のある打者がこの二人かと思います。張本勲は全方位に楽々と安打を放ち、広角打法、扇打法との異名をとっていましたが、一方榎本喜八の打球方向は、殆ど右寄りであり、同じ安打製造機でありながらも、対照的なものでした。投手の投じる球種、球速、コースに柔軟に対応する張本勲に対して、常にミートを心掛け、思いっきりバットを振る榎本喜八、打撃のタイプはかなり異なっていました。従って振り遅れの当りや、ポテンヒットが張本勲には見られたのに対し、常にジャストミートの榎本喜八の安打には、綺麗な安打、所謂クリーンヒットが殆どだった様に記憶しています。

榎本喜八と張本勲(2)

2012-04-12 22:41:09 | Weblog
榎本喜八と張本勲の率の争いで、僅かの差で勝利を収めたのは逆に、昭和36年の張本勲と言っていいかと思います。弱冠曖昧な記憶ですが、この年終盤まで、張本勲、榎本喜八、田宮謙次郎、杉山光平の4人の左打者が0.330から0.340辺りの打率で争っており、前年初の3割を記録したとは言え、入団3年目、21歳の張本勲が首位打者のタイトルに輝くと予想した人は、シーズン終わり近くになった時点でも、少なかったかと思います。結果的に張本勲0.336、榎本喜八0.331、田宮謙次郎0.328、杉山公平0.321と稀に見る争いになり、榎本喜八との一騎打ちとは必ずしも言えないまでも、並み居るパの強打者に競り勝ち、当時かなりの自信になったかと推測します。度々奇天烈な発言をする張本勲ですが、今回の榎本喜八死去の際のコメントに関しては、偉大なる打者、榎本喜八を尊厳する気持ちが溢れていた様にも感じてしまいます。しかし少しケチをつけときます。張本勲、一騎打ちと言えるかも知れない争いで計3回敗れています。昭和47年、途中までリードしながら加藤秀司に1分3厘差、昭和51年、あの有名な谷沢健一の大逆転、そして翌年若松勉に1分の差で敗れています。次回、球史に残る二人の打者も比較をして見たく思います。


榎本喜八と張本勲(1)

2012-04-11 22:03:47 | Weblog
先月29日、昭和を代表する大打者、榎本喜八氏の死去が報道されました。ご冥福をお祈りします。しかし、実際に亡くなったのは約半月前の3月14日という事に、何かもの寂しさを感じてしまいます。氏の死去に際して、現役時代打率面でのライバルと言っていいかと思われる張本勲氏が、スポニチ紙上やサンデーモーニングで(7回首位打者を獲得しているが、首位打者争いの一騎打ちで完全に負けたのは榎本喜八しかいない)と発言し、榎本喜八の偉大さを充分に認めていました。しかし張本勲曰く、一騎打ちで張本勲が敗れた事があったでしょうか、私の記憶の内にはありませんでした。少し記録を調べて見ました。榎本喜八、初の首位打者は昭和35年です。この年入団6年目の彼は0.344の高打率をマークしています。新人王を獲得しながらもその後前年まで、今一つ物足りない成績に甘んじて来た彼が本格的にクローズアップされた年と言っていいのでしょう。一方張本勲は、入団2年目初の3割0.302をマークし、打率ベスト4に食い込み将来を物凄く期待された年でありました。しかし率の差は大きく、首位打者を争った年では決してないと言えるかと思います。昭和41年、榎本喜八は2回目の首位打者に0.351という高率で輝いております。張本勲はこの年、0.330で打率2位になっています。数字上から追っていくと、多分この年の事を張本勲は言っているのかと思いますが、かなり昔の事で曖昧ですが、両者が激しく争ったという記憶はありません。いつも張本勲の発言に関して否定的な私ですが、今回の発言に関しては珍しく違った面が見えた様な気がしました。次回もう少し触れたく思います。