渡辺秀武（３）

昭和57年の自身の引退試合となる日、渡辺秀武はあまりにも愚かと言うか、馬鹿馬鹿しいと言うか、信じられないと言うか、全く意味がないと言って間違いのないと思える記録を敢えて狙い、新記録を達成しています。当時翌日のスポーツ紙で、彼が狙って達成した事を知り、空いた口が塞がらない程のショックを覚えました。その記録とは通算与死球日本新記録でした。その試合まで通算143個の彼は、米田哲也、坂井勝二と並びタイ記録だったのですが、新記録を狙い続け、何とか吉竹春樹にぶつける事に成功(?)し、新記録を達成しています。当時球威はかなり衰えていたとは言え、正直狙われた打者も含め、当てられた吉竹春樹選手もたまらないものだったでしょう。負の部門の通算記録、例えば鈴木啓示の被本塁打や、金田正一の敗戦数、与四球等の記録は長い現役生活を誇る内に産まれたもので、当然ながら彼等は、それら負の記録を一度たりとも狙った事はないかと思います。約30年経た今でも、自身の名前を残したかったのか、何故彼がこの記録を狙いにいったのか、未だに理解出来ないものです。更に言えば、彼が折角(?)達成した新記録も、数年後には東尾修にあっさり抜かれ、最終的には20個以上の差をつけられています。




通算成績　　　　606試合　　　　118勝100敗　　　　防御率　 3.35 　　　 1041奪三振