totoroの小道

「挑戦することで、きっといいことがある」  http://www.geocities.jp/totoroguide/ 

海の命

2008-10-25 11:08:44 | 6年 国語

小木先生の中心授業を受けて、研究協議が行われました。

協議の中でも、校長先生は多くの貴重な意見を出してくださいます。

例えば、この授業においてどうも教師のねらう部分が深まらず、結果として、あれもこれも手持ちのカードを切ることになってしまったことに関しては、このように話してくださいました。
「いかに、自由発言の授業であっても、またグループで話し合わせたとしても、教師がそれを把握し、コントロールしなければいけません。」
「特に、今日は全体での話し合いが詰まった場合にグループ活動を入れていました。そのような場合は、机間指導に回り、その後の全体での話し合いに生かせる考えはないか、だれとだれがキーマンで、発言が偏ったり深まらなかったりしたときにだれを意図的に指名したらいいか。を考えながら聞き回り、全体での話し合いのプランを歩きながら練り上げるのです。」

その通りだと思います。的確な指摘でした。

最後に、校長先生からいろいろとご指導いただきました。校長先生は、長らく中学校の国語に係わっておられたので、私たちより専門的な知識が豊富です。また様々な理論の実践者でもあります。

「私は、追求方式はよく分からないが、おそらく通じるところは多いと思う。」と前置きしてこのように話してくださいました。

学習問題には次の3つの類型があります。

①「事柄レベルの課題」
読み深めの基礎段階の学習課題。例えば「登場人物」「中心人物」「場面分け」「小見出し」などの観点から設定し、皆が基礎的な知識を共有するために使うことが多い。

②「関係レベルの課題」
中心人物の気持ちの変化を通じて、生じる意味を考える課題。例えば今日で言えば、「太一の気持ちや行動が大きく変化したのはどの場面で、どう変化したのでしょう。」「太一はなぜ、クエを殺さなかったのでしょう。」「殺さなかった理由を考えましょう。」などです。

③「価値レベルの課題」
読み深めの最終段階の課題です。表現の中に込められている作者の見方、考え方、価値観を読み取らせていきます。今日の学習なら「題名海の命には、どんな意味が込められているでしょう。」「語り手の魚の取り方や魚に対する考え方を読み取りましょう。」などです。

今日の授業では、②の「関係レベルの学習」であるにも係わらす、話し合いが上滑りをして、「価値レベル」のことを話し始めてしまっていました。それで、授業が浅くなった理由は、子ども達が、まだ「価値レベルの課題」を追求するだけのカードがないのに、もう「自然との共生」や、「海の命」などという言葉を簡単に使い始めてしまったことです。

この「価値レベルの課題」である、「自然との共生」や、「海の命」はそんなに簡単にさらっと話し合うことではないし、太一の感じた海の命や「おとう」という感覚は、子ども達が話していた単純な意味ではありません。その辺りのことは、しっかり単元構想のまとめの段階で話し合い、考え合うのです。

太一は、確かに自分の中に海への畏敬の念や、自然と共生しようとする考えを、芽生えさせ、育ててきました。しかし、それは、悲しみに暮れるお父の死から始まり、与吉じいさとの関わりや、母や家族の思いを背負うことなどを通じて、長い年月をかけて培ったものです。また、それが表面に出てくるときにも、涙を流すぐらい苦しい思いをして、自分を責めたり迷ったりしながら到達していくのです。

今の段階で、それを話し合うのは、時期尚早でしょう。

一度に、あれもこれも学びすぎなのです。まず、この授業で押さえることをきちんと、それも全員に理解させるのです。
「メリハリ」という言葉を知っていますか?漢字でかくとこの言葉の意味が分かります。授業には「減り張り」が必要なのです。あなたたちの行おうとしている、追求方式の学習というのは、まさにこの減り張りのある授業をねらっているのではありませんか?

脱帽でした。いい校長に恵まれたと感じました。

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1 コメント

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さすが校長先生ですね (Mrヒデ)
2008-10-25 16:23:50
 「校長先生の専門的な知識と実践」と「子どもの事実を明確に引き出すことを目指している追求方式の授業」をしっかり学び、さらに質の高い国語の授業をつくりだしてください。
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