2年生、どうぶつ園のじゅういの授業です。
説明文でも、教師が子どもたちの発言の微妙な違いを聞き逃さなければよい話し合いができます。
この日は、夕方の飼育員のしごとを探す学習です。
T:獣医さんの仕事は、何ですか。線を引きなさい。
子どもたちは、朝の仕事、昼の仕事と勉強してきたので、すぐに下図の赤線の部分を見つけました。
しかし、担任の先生はその微妙な違いを聞き逃しませんでした。
そしてすぐに選択問題を作ります。
大いそぎでくすりをのませて
大いそぎでくすりをのませてはかせる
大いそぎでくすりをのませてはかせると
選択問題を目にしたとたん子どもたちの表情が変わります。
う~ん、どれが正しいのだろう。
隣の友達と相談します。
グループの友達とも相談の輪が自然とできます。
話して、確認したくてたまらないのです。
そして一斉に手が挙がります。
S:あのね、はかせるってかいてあるけど、はくのはペンギンだけど、はかせるのは獣医さんだよ。
S:ぼくも同じで獣医さんの仕事だと思うよ。だからはちがうよ。
S:だって、はくのはペンギンだから、獣医さんの仕事ではないと思うよ。
S:はくのは確かにペンギンだけど、はかせるのは獣医でしょ。
S:だって、はくのは獣医さんじゃないじゃない。
はかせるの、意味の理解がこの子どもたちの疑問を解決する手段になると、担任の先生は思いました。
「はく」と「はかせる」は違います。
高学年だったら、「させる」を辞書で調べたら分かります。
2年生は辞書を使えません。
そこで、担任の先生は単文作りを提案しました。
T:「させる」で単文を作ってごらん。
S:先生が、子どもたちに1時間勉強をさせる。
S:勉強をするのは子どもたち。だけど、させるのは先生。
S:だれが勉強をさせたかと言えば先生でしょ。
S:だからこの場合も、はいたのはペンギンだけど、はかせたのは獣医だよ。
S:「獣医が、ペンギンにはかせた。」となるよ。
S:やっぱりはちがうよ。
T:じゃあ、はどちらが正しいの?
S:とが入ると獣医さんの仕事としては、変だよ。
S:いや、とがない方が変だよ。
S:「と」が入ると続く感じがするから、獣医の仕事ではないよ。
S:いや、「と」が入ると続くから、獣医の仕事は続くんだよ。
このあたりで時間切れになりました。
たった、「大いそぎでくすりをのませてはかせると」だけで、子どもたちは1時間考え続けました。
見ていて、とてもおもしろかったです。
この場合、「と」は接続助詞なので、2年生の力だけで解決するのは難しいと思います。
少し、教師が手助けをするといいと思います。
「と=~。すると」と教えます。
じゅういさんがくすりをのませてはかせる。すると、ボールペンがでてきました。となります。
ここまで教師が教えてから話し合わせれば、結果は子どもたちで出せるはずです。
また、との対立も、実は、助詞の「て」の理解を勉強していたことになります。
ついでに、「て=~。そして」と教えればこの文はこうなります。
じゅういさんはくすりをのませる。
そして、はかせる。
するとボールペンが出てきました。
この中で獣医さんの仕事はどれ?と聞いていたのです。
第35回 | 2013年11月9日 | 土 | 9:00 | 12:00 | 天竜壬生ホール | 第2会議室 |
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