totoroの小道

「挑戦することで、きっといいことがある」  http://www.geocities.jp/totoroguide/ 

お手紙

2013-10-15 13:21:07 | 2年 国語

 お手紙の教材研究を行った。
この教材は、子どもたちが主人公に同化し、主人公になりきって楽しく読める教材だ。
楽しく何度も読んだり、役割演技をして表現したりすると良いと思う。
しかし、楽しい教材だからこそ、大事な部分は、しっかり読み取りの学習をするとよい。
好きな教材ならば、多少難しい事項でも、思えば子どもたちは追求していく。
そして、子どもたちを賢い子どもに育てることができる。

全てを細部にわたって学習する必要はない。
一番子どもたちが知りたいことだけ丁寧に学べば、後ことは子どもたちが察していく。

 

主人公はだれ?
これは悩んでしまう。
がまくんでもあるし、かえるくんでもある。どちらサイドから学習しても学習は成立する。
二人とも主人公と考えることもできる。
少ない時間で良い学びをするために、だれを主人公としたらよいのだろう?
そこで......

どんなお話かを考える
この物語がどんな内容か、一文で要約してみる。
するとこうなる。↓

どれも、負の気持ちが、正の気持ちに変化している。
では、何がきっかけで、心のベクトルの向きが変化しているかを、これに加えてみる。
こうなる。↓

「二人とも」のところの、青い四角に入る部分が、実はかえるくんと、がまくんでは違っている。
がまくんは、 「お手紙が来ることを知る」であり(黄色の丸)
かえるくんは、「お手紙を出す」である。(黄色の丸)

このどちらを扱ったほうが、より良い学びになるか。
迷うところだ。
これを解決する手立ては......

 

変だ、おかしいを探す
普通はの段階で、主人公のどの言動が課題かが見えてくる。
しかし、お手紙は物語の構造上それがはっきり分からない。
そこでの内容を頭に入れた上で、登場人物の「変だ」「おかしい」を探してみる。
よりおかしなところが大問題であり、その大問題に直結する方が主人公だろう。

大問題の探し方は、「切る」である。
カンでいいので、たぶんこのあたりにつじつまが合わない内容があるだろうと見当をつける。
外れていても構わない。
大問題だと思って学んでいたら、もっと大事な問題が見えてくることはよくある。
そんなときは、真の大問題を発見するために、大問題が有効だったと考えれば良い。

まず、この物語は20の小段落に分かれるので、その「前半」「後半」のどちらに「変だ」があるかを多数決する。
授業研究の会参加の7名では、全員が「前半」を選んだ。

次に前半を、「1~3段落」「4~8段落」と2つに分け、どちらに「変だ」があるかを多数決した。
授業研究の会参加の7名では、全員が「4~8段落」を選んだ。

さらに、4段落 5段落 6段落 7段落 8段落に分け、どちらに「変だ」があるかを多数決した。
授業研究の会参加の7名では、全員が「4段落」を選んだ。

そこで、4段落の「変だ」を聞いた。
悲しんでいるがま君を一人残して、家へ帰るのがおかしい。で全員一致した。
その原因、理由がはっきりしないのだ。

「かえるくんが、大急ぎで帰らないとならない理由はなにか?」
これを大問題とする。

「急ぐ」 「大急ぎ」を調べてみると、切迫した、何より優先する何かがありそうだ。
その何かって、なんだろう?知りたくなる。
適当にカンで選択して作ったのに、とてもよい課題を作ることができた。

すると主人公が決まる。かえるくんだ。

実は、かえるくんを主人公として扱うと、物語の前半部分が大事になる。
がまくんを主人公として扱うと、後半部分が大事になるのだ。

 

大問題を説くための、選択肢を作る。
全員に考えを持たせる、全員に意思表示をさせるには、選択肢をつくることだ。
考えるということは、複数の条件から一つを選ぶときの頭の作業のことを言うからだ。
考えなさいといっても考えは浮かばないが、選びなさいというと「どれが」「どういう理由で」良いのか考える。
だから、常に選択肢を意識させた授業をしていくとよい。 

選択肢がないように見える正しい意見でも、「合ってる」か「違っている」を問えば、「合っている」が「どういう理由で」良いのか考える。そうしないと、当たり前じゃんで終わってしまう。

授業研究の会では、次の3つの選択肢を考えた。↓


全員の意見を聞くために、選択肢のどれが良さそうかを多数決する。
この際、分からなくてカンでよい。
まだ何も学んでいないので、分からなくて当然。
しかし、子どもたちは何度も本読みをしているので、根拠は分からないが多分こうだろうと思っている。

その多分を、「確信」に変えていくのが、授業となる。

今回のメンバーは「喜ばせたい」を選ぶ人が多かったので、まずこれが正しいかどうかを検証する。


選択した「喜ばせたい」の根拠になる文・言葉を探す。
国語=日本の国の言葉の勉強である。
根拠は、言葉からさがさせる。
すると、語彙力がつき、言葉に対する正しいイメージを持てるようになる。

根拠になる文を探すのには、コツがある。
登場人物が行動を起こすのには、その理由がある。
理由があるから、行動するのだ。
すると、行動を起こす前を調べると、その理由が見えてくる。

4段落の言動の根拠はそれ以前、1段落 2段落 3段落  4段落の中にあるはずだ。
メンバーに、どの段落に理由がありそうかを多数決で聞く。
全員が2段落を選んだ。

 2段落は長いので、前半か、後半かを聞く。
後半が選ばれるので、さらにその前半か後半かを聞く。
すると、
「だれも、ぼくにお手紙なんかくれたことがないんだ。毎日、ぼくのゆうびんうけは、空っぽさ。お手紙をまっているときがかなしいのは、そのためなのさ。」
が根拠として選ばれた。

これをさらに分けていく。
1.だれも、ぼくにお手紙なんかくれたことがないんだ。
2.毎日、ぼくのゆうびんうけは、空っぽさ。
3.お手紙をまっているときがかなしいのは、そのためなのさ。
のどこが根拠かを多数決で聞いていく。

「だれも、ぼくにお手紙なんかくれたことがないんだ。」
が選ばれた。
これをさらに細分化して、根拠探しをしていく。
1.だれも/2.ぼくに/3.お手紙なんか/4.くれたことが/5.ないんだ

すると、「だれも」が選ばれた。
だれも=どんな人でも。誰でも。

どうして誰もなの?と聞くと
・だれも、誰一人もだから悲しい。
・普通、年賀状ぐらいもらうだろうに、それすらもないのだから悲しいのだろう。
・もらったことのない手紙をもらうのだから、喜ぶだろう。
・だれもには、同情の意味があるんだね。
・あれ、もしかしたら「だれも」にかえるくんも入るんじゃない?
・そうだとすると、同情ではなく、「だれも」の中に自分も含まれていることが分かって、愕然としたんじゃない?
・かえるくんが悲しい気分なのは、親友の自分が手紙を出していなかったことになるんじゃないか?

※ここで、新しい問題ができます。
最初に作った大問題が実は大問題でなく、大問題を考えていくともっと大事な
本当の「大問題」に気付くことが多いです。

新たな問題を解決する。

「かえるくんが悲しいのはなぜか」
この根拠も、範囲を徐々に狭めて考えていくと「だれも」に行き着く。

「だれも」=だれひとりも
一回ももらっていない。
一人もない。
その中には、かえるくんも含まれる。
親友のはずだったのに、そのぼくが一度もがまくんに手紙をだしていない。
だから、がまくんはこんなに悲しいんだ。
がまくんが悲しいのは僕のせいだ。

だから、
しなくちゃならないことがある。=親友のぼくが手紙を出さなくては。

二人とも悲しい気持ちで悲しいって何だろう。
かなし・い
1.心がひどく痛んで泣きたくなるような思いがする。また、そのように思わせるさま。
2.情けなくて残念な思いだ。また、そのように思わせるさま。
とある。

がまくんの悲しみは1.   かえるくんの悲しみは2.の意味も含まれているように思う。 

最後に、もう一度問題の答えを確認する。
途中になっていた、問題の答えをもう一度全員に聞く。
この場合、全員一致でを選んだ。
話し合った後に、答えが全員一致すると考えを共有できたことになる。
こうしたばあい、元は違う意見だったが、話し合って意見を変えた子を大いに褒める。
友達の考えをよく聞いて、考えをまとめたんだねと褒めてあげる。
 

だいたい、このような模擬授業を行った。


この授業の流れは、かえるくんを主人公にした流れだ。
これをがまくんを主人公にすれば、「親愛なるがまがえるくん」「きみの親友」なんて言葉が大事になる。

もし二人を主人公にすると、
ふたりとも悲しい気持ちの悲しいは同じか違うか。
最後の「二人とも幸せな気持ちでの幸せは同じかどうか」などを考えてみるとおもしろいと思う。
がまくんの幸せは、ポストに手紙が入る瞬間を予想する幸せであり
かえるくんの幸せは・・・・・・ 

第35回 2013年11月9日 9:00 12:00 天竜壬生ホール 第2会議室
第36回 2013年12月14日 9:00 12:00 天竜壬生ホール

第2会議室

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5 コメント

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ご無沙汰しています! (マコT)
2013-10-16 22:57:26
 いつも楽しくブログを見させてもらっています!
いよいよ私も仕事復帰し、毎日バタバタした日々を送っています。なかなかペースをつかめないでいますが、教材研究をしている時間はいつもドキドキワクワクしながら取り組んでいます♪そんなふうに取り組めるのも、追求方式を学べたからだと感じています。
 今年は図工を持たせてもらっているので、また授業研究の会に、作品をもって参加させてもらいたいと思います。そのときには、ぜひご指導よろしくお願いします!
返信する
まこTさん ありがとう (totoro)
2013-10-16 23:35:33
お久しぶり!!
元気?  
そういえば、一緒にお手紙の指導案を考えました。懐かしいです。
書き込みしてもらってうれしいです。
是非会いたいです。お子さんが小さくて大変でしょうけど、これるときがあったら顔をだしてね!!次回は、 2013年11月9日 土 9:00 12:00 天竜壬生ホール 第2会議室です。

ところで、先日「授業研究の会」のスケジュールのはがきを出したら、届かずに帰ってきました。
もしかしたら、転居しました?

浜松授業研究の会のホームページを立ち上げました。
上記の会合日程の下の、3つめの緑色のボタンをおすと、そのページが出てきます。
この中に、「お問い合わせ」というボタンがあります。
すると、メールの画面になるので、そこで、住所とメールアドレスを送ってもらえませんか?

今後、はがきでの会合通知でなく、メールで会合通知を配信したいと思っています。
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マコTさん、久しぶり、元気そうだね (Mrヒデ)
2013-10-17 08:15:02
 マコTさん、久しぶりです。元気そうですね。仕事復帰しよかったですね。授業センスがいいマコTさんです。嬉しいです。また、浜松授業研究会にお会いしましょう。
返信する
了解です! (マコT)
2013-10-17 17:46:33
totoroさん、昨年家を建てましたーーーー♪
というわけで、新しい連絡先をまた入力させていただきます。なかなか自由が聞かなくて申し訳ないですが、参加できることを楽しみにしています。よろしくお願いします!!

これから、3年生の図工でリコーダーをふく友達の絵を描く予定でいます。前回ご指導いただいたことがリベンジできるように、頑張ります!!
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Mr.ヒデさん、御無沙汰しています!! (マコT)
2013-10-17 17:51:10
 コメントありがとうございます!!毎日の忙しさには目が回りそうですが、久しぶりの授業はやっぱり楽しいな!と感じています。(自己満足ですが・・・)
 ぜひぜひまたご指導よろしくお願いします!!お会いできるのを私も楽しみにしています!!
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