本校に新採の先生がおられる。とても優秀だ。
この先生がなぜ優秀かというと、私は次の2点を挙げることができる。
まず、謙虚であること。
ただでさえ忙しい担任の仕事に加え、彼女は初任研の作業が山のようにある。しかも初めてやることばかりで、同じ事をするにも数倍時間がかかる。だから、本当は心の中は焦っているはずだ。
だが、私が話しかけると、さっとご自分の仕事をきっぱり置き、顔だけでなく体全体でこちらを向き、私の話を体全体で聞こうとしてくれる。たまに遠くから声を掛けると、大変である。私のもとまでさっと動いてきて、目の前に立って聞こうとする。
この姿勢は、学年主任とのちょっとした会話にも見られる。
ほんのちょっとした指示や、アドバイスにも、全身で聞き、「本当にそうだ。」と真顔で聞いてくれる。
次に、よく声を出していること。
授業中に。「いいね~。」「いいよ。」「がんばったね~」と、子ども達のちょっとした現れを、すぐに褒める。そのタイミングは、どんぴしゃりだと思う。
本人は気付いていないと思うけれど、それは、ただ単に「ほめる」にとどまらず、子ども達を「評価」していることにつながっている。しかもプラスの方向に評価してもらったと感じる子ども達は、ますます先生についていく。
私は、このクラスの図工に出入りで入っている。とてもやりやすい。まるで自分のクラスであるかのように、子ども達が私をすんなり受け入れる。これは、新採の先生が、センターでの研修に出かける際、そのかわりに一日このクラスを受け持ってくれる「ちょう子」先生も同様に感じてくれている。
つまり、このクラスの子どもは先生に受け入れられているので、今度は逆に担任でない先生をも受け入れられるのだ。ということは、友達同士も受け入れ会っているのではないかと思う。
さて、その先生の授業を毎週見せいただく。どんどん腕を上げていくのが分かり、見ていて楽しい。だからこそ、どこかアドバイスする点を見付けて、私もタイミングよくアドバイスをしていかねばと思う。
この日の授業は、漢字の部首の学習だった。(漢字の構成)
まず、導入として、このような漢字のカードを出し、仲間分けをさせた。
子ども達は、次の写真のように、部首によってAとBの二つの組にすぐに分けることができた。
ここから、先生と子ども達で、次の板書のような授業を行っていく。
私が、準備も何もせずに行う授業と同じぐらい、すんなりと1時間の授業ができた。
授業が終わった。
「おわりましょう。」のあいさつの後、
「ちょっといい。」
私は、のこのこ子ども達の前に出て、
「みんなの授業を見ていて、聞きたくなっちゃったことがあるんだけど、教えてくれる?」
「いいよ~。」
介入授業をしてしまうと申し訳ないので、休み時間に2~3分だけ授業をさせていただこうと思ったのだ。
「あのさあ、さっき、この漢字は二つに分かれるっていったよね。このうかんむりを①、こっちを②とするよ。どっちが大事なの?」
「・・・・・・・・・・」
「うかんむりだよ。」
「いや下の方じゃない。」
「うかんむりには、意味が無いと思うけど..」
たくさんのつぶやきが生まれた。
そこで、同じように
「あのさあ、さっき、この漢字は二つに分かれるっていったよね。こっちを①、こっちを②とするよ。どっちが大事なの?」
今度は全員、②を挙げた。
「だって、心っていう意味があるもの。」
「思うことだから、②が大事だよ。」
「じゃあ、本当にそうなのか、グループで話し合ってご覧なさい。」
すると、子ども達は、黒板を見、また仲間の顔を見、グループで熱心に話し始めた。授業が動き出した。
ここで、飛び入りの授業は終わりにした。
授業後、新採の先生が
「あの発問には、どんな意味があったのですか?」
と質問してくれた。
私は、
思う、と考えると、似ているけど違うでしょ。先生の授業は、一斉に黒板でクイズみたいに、
「これなんていう名前の部首。」
なんてやらなくても、教科書を調べたり、写したりしたら、すぐに分かることでしょ。こうして、分かることを教えるだけだと、子ども達の思考は「思う」になるんだ。
「ふ~ん、くさかんむりって言うのね。」
という具合に。
でもね、子ども達が賢くなる瞬間って言うのは、考えるときなんだ。
だから、授業の中に「考える」瞬間を作る作業が欲しいんだ。
思うは、ただ心の中にわく感情で、それは全て正しい。
考えるは、過去の経験から、何通りかの答えを浮かべ、この条件ではどれが一番正しいかを、比べて選ぶ作業。なんだ。
だから、「悪」を①と②に分けて、どっちが大事って聞くと、子ども達はいやでも選ばなければならない、選ぶ以上は何か根拠が無ければならない、根拠を探すという作業をしなければならない....というように、頭を使い出すのです。
というようなことを話した。
だから、ここから漢字をもっと調べたらおもしろいのです。本当に「したごころ」に、心とか、気持ちという意味があるのか無いのか。
「したごころ」の、4年生でも分かりそうな漢字を、調べてみます。
こうして、黒板に並べば、いやでも、「したごころ」のつく漢字は、心の中で思う活動についての漢字であることが分かります。
私が投げかけた①か②かという問いに対して、考え、検証し、答えを出したときに、子ども達は授業って楽しいなっと思います。
うかんむりはその漢字を並べても、実は意味は分かりにくいです。
このような場合は、教師の支援が必要になります。
私なら、こう言い
「実はね、このうかんむりは、昔はこう書いていたんだ。」
次の絵を見せます。
「これって、家の屋根じゃない...」
「あっ、本当...」
そんな、子ども達の声が聞こえてくるような気がします。
急なご連絡申し訳ありません。
今回当番組の企画内におきまして少し情報をいただきたく思いましてご連絡いたしました。
この場では申し上げれないのですがよろしければ下記のメールアドレスにご連絡いただけますでしょうか?
折り返し、詳細のほうをお送りしたいと思います。
企画、ロケ等が動いていまして早急のご連絡をお願いしく思います。
大変申し訳ありませんがご検討お願いいたします。
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テレビ朝日「シルシルミシル」宮浦