totoroの小道

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ごんぎつね 表現活動の練習風景

2015-11-11 05:14:31 | 国語

学習発表会でごんぎつねの表現活動を発表した。

子供たちも手応えを感じていた。
多くの保護者の皆さんも、子供たちの声の張り、体全体を使った演技
150人の心意気に感動した旨の感想を寄せてくださった。

そんな中で、熱心に
「totoroさん、どうやったら、あんなふうに役がどんどん変わって全員が常に演じ続けられるの?」
「その、指導方法を教えてよ。」
といってくださる職員がいる。

そこで、今回の指導の方法について自分なりに少し振り返ってみようと思う。

 

【表現の背景について】

まず、今回のごんぎつねが成功したのには背景がある。
5月のソーラン節で「3つのこ(腰・声・心)」に徹底してこだわって、いい加減な演技を許さなかったこと。
(ただの教え込み出なく、ソーラン節の歌の意味を教えた。
 動作一つ一つには、船を漕いでいる、網を引いている、大きな波がきた
 魚を網からすくっている、網を巻き取っている、網を干している
 船の上は大きく揺れるからグラグラしないように腰を据える などと意味がある。)
 本気でそれに取り組むまでは、一人一人に合格を与えなかった。 

9月のビリーブの合唱で、歌詞の意味をイメージするとともに
「あの口」や、「立ち方」「息の吸い方」など、展開の核に徹底してこだわった。 
 本気でそれに取り組むまでは、一人一人に合格を与えなかった。 

この2つの経験があって、この「ごんぎつね」の表現がある。

 

子供たちに「3つのこ」を要求すれば、何を言われているかが分かるし
「あの口」で歌っていますか? 「息を吸ってから台詞を話しなさい」と言えば、私たちの言わんとすることが伝わる。
そうした、背景を土台にして指導を行っている。 

【教材理解について】

「ごんぎつね」の劇だけを演じたのではない。
まず、9月からどのクラスも、ごんぎつねの授業研究を行った。
校内研修では、2クラスだけ指導案を書いて授業を公開る予定だったが
「私も授業研究したい。」と希望する職員がいて、結局4クラスで指導案を書いて授業を公開した。
毎日職員室で教材研究を行い
互いに授業を見合い、どうしたらもっとよい話し合いになるのか検討し合った。
だから、教師も子供たちも、この教材については並の理解ではない。
言葉ひとつひとつにこだわって学んできたから
イメージの共有はもちろん
ごんの心の些細な変化、時間の経緯、そして作者の思いまで
一人一人が自分の考えを持って臨んでいる。 

Sさんの日記。

彼女は「さっきの話は、そりゃあ神様の仕業だぞ。」
というたった20文字の出番しかない。
しかし、その中でも「そりゃあ」の言い方にこだわり
「だぞ」の言い方にこだわり
絵まで描いて、台詞を話すときに自分の動作をイメージしている。

Rさんの日記
私のセリフは、「うん。」という、たった二言です。
だけど、いっぱい頑張って、これ以上できないぐらい心を込めて「うん。」を言いました。
息をいっぱい吸ってから、いい声を出しました。一番後ろの席まで届いたかな?
最高の声が出せて、嬉しかったです。

Hさんの日記
私は加助の役で、「へぇ~、変なこともあるもんだな。」と言うのですが、その言葉を私は工夫しました。
まず声です。声の最初は不思議そうにいい、だんだんびっくりしたように言います。
それと、動きです。私のセリフは最初は小さな動きしか出せなかったので、
兵十の役の人に合わせて、びっくりしたように腰を引て工夫して動いてみました。

【見合うことについて】
体育館での練習は10回あった。
最初の2回は、どのクラスもまだ手探りで、台詞の振り分けもできていなかった。
それでも、全クラスを体育館に集め、分かれて練習した。
私のクラスは、体育館の隅々まで届くように、一人一人が息を吸って張りのある声を出す練習をした。
一人一人チェックして、評価した。
そうした練習風景を互いに、子供たちも教師たちも見合う。
わたしのクラスがピリピリしていれば、他のクラスも集中せざるをえない。
他のクラスが,協力して群読していれば、私のクラスも元気に声を出さざるをえない。



3回目からは、まだ未完成でも、できたところまでを互いに見合った。
他のクラスの表現を見合うことは、見せる方にとっても、見る方にとってもメリットがある。
教師が、「声、目線、息をすう、動作を大きく」などとと口を酸っぱくして言うよりも
互いに見合って、どこが良くて、どこが良くないのかを評価し合うことで、
「よい表現とは何か」を共通理解することができる。 

 

【上手な人・知識のある人から学ぶことについて】
私は表現活動はあまり得意ではない。
他の先生方は初めて取り組む。
そこで、Mrヒデさんに来校して練習風景を見ていただくとともに、
基本を教えて頂いた。

電信柱ではいけないよ。
対応をするんだよ。
そういった「展開の核」は、これにより全員が共有できた。 

 

【反応について】
だれかが演じているとき、周りはそれを見て、何かしら反応する。
例えば、下の写真では大きな声でセリフを言っている友達の方をちゃんと見て
うなづいたり、おどろいたりして、即興で反応する。
そうすることで、演技者にスポットが当たる。



ごんぎつねの場合、役があるのは「ごん」「兵十」「加助」ぐらいしかでてこない。
その他の子供たちは、
時には風景になり
時には登場人物の心情表現になり
時には、皆ゴンになったり、いわし売りになったりする。
そうした、役のない子供たちに求めるのが反応である。

風景であっても、毎回同じ風景でなく、登場人物の様子に敏感に反応する。
たとえば、兵十と加助の会話を聞こうと後ろをついていく「ごん」役の子供たちは
「もっと聞きたい」と、ごんが思う時には耳をそばだてる反応をし
「違う違う!!」とごんが思うときには、首を振ったり怒ったりする反応をする。
それらは、その場所関係により、毎回ちょっとずつ違う。
違うが、友達の言葉や動作を敏感に感じて反応する。

 

【対応について】

皆が同じことをしていては、全員が目立たない。
動きがない構成になり、見ている方があきてしまう。
友達の言動に、常に「対応」して変化する。

例えば、下の写真では
皆、登場人物を見ている。
しかし、前・中・後ろと位置が重ならないように対応している。
高さも、低い・中ぐらい・伸び上がると高さの変化を付けている。
また、前に友達がいたら横からのぞいたり、少し前の人と間を開けたりして、
対応することで、全員が本当にのぞいている様子を表現する。

下の写真では、一人が前のめりになっているときは
もう一人は、後ずさりをする。
周りの子供たちは
それにたえず対応する。

【動作について】

小さな動作をいくつも行っても、見ている人には届かない。
大きく、ゆったり、一つ一つの関節、体全部の関節をゆっくり動かして
一つの動作でいいので、大きく、ゆっくり行う。
その際、動作に視線をからめる。

例えば、下の写真は
まず自分の手がしたにあるので視線は下向きになっているが
しだいに感情の高まりにつれて、視線も手も上に上がっていく。
 

ただ、「体を動かしながら言いなさい。」と指示するだけだと
体はまっすぐで、手だけをぐるぐる回すようになる。
まるで、電柱から手だけだして演技しているような、突っ立った演技になってしまう。 

 そんなことを、繰り返し指導することで、子供たちも少しずつ感覚が養われてきている。

57回

11月14日  土  9:00  15:00  天竜壬生ホール  第1会議室
58回 12月12日  土  9:00  12:00  天竜壬生ホール  第1会議室

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1 コメント

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これが教育ですね (Mrヒデ)
2015-11-11 18:01:13
 子どもたち、学年の先生方、みんなが満足しやりきった「ごんぎつね」のオペレッタの表現ほんとうによかったね。子どもも先生方もこの実践で大きく成長したことがわかります。
 成功の種は、子どもたちが、ソーラン節、ビリーブの合唱、ごんぎつねの授業それぞれで鍛えられてきたからでしょう。これが教育ですね。本物です。
 また、学年で演技を見合って話し合ったこともよかったことです。斎藤喜博もよく下見といって発表前には先生方で見合って批評し合って、演技を高めたようです。
 与進小の先生方、保護者の方にも感動を与え、学校全体がこのようにして前に進んでいくのです。素晴らしいことです。
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