とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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キングコング

2006年01月19日 20時38分19秒 | 映画評論
♪大きな山をひとまたぎ、
♪キングーコングがやって来る。怖くなんかないんだよ~。
♪キングーコングは友達さ。

アメリカのテレビアニメ「キングコング」のテーマソングは確かこんな歌詞だったように記憶する。
エピソードはほとんど覚えておらず、「スーパーマン」や「出て来いシャザーン」なんかと同じ会社が製作していたのではないか、ということはかろうじて覚えている。
ともかくキングコングといえばこのテレビアニメとSFブームの時にリメイクされたジョン・ギラーミン監督の「キングコング」ぐらいで、私の中の印象は総じて低い。

とりわけジョン・ギラーミン作品は当時の特殊効果技術の粋を集めて作られていたはずではあるが、期待ほどのものではなく、今は亡きNYのワールドトレードセンター・ツインタワーの上でキングコングがジェット戦闘機片手に大口開けて叫んでいる宣伝ポスターだけがやたらと記憶に残っている。

そもそもこのときは「精巧なロボットのキングコングを作って撮影しました」と公開前に種明かしをしてしまったものだから、映画そのものがドッチラケすることになってしまい、お気の毒としか言いようがない状況になった。

あれから30年。
キングコングは素晴らしいエンタテーメント作品として蘇ってきた。
もちろん、
♪キングーコングは友達、だったが、怖かった。

まずピーター・ジャクソンが監督した今回の2005年度版キングコングを是非観てみたいという人は以下の条件が必要であることを確認しておきたい。

1.スピルバーグの「ジュラシックパーク」を見ていて劇場から逃げ出したくなったことがある。
2.ベッドに入る直前に部屋でゴキブリを見つけると退治するまで眠る事ができない。
3.高所恐怖症である。
4.動物園や水族館は大嫌いだ。
5.痔持ちである。

以上、5項目に当てはまる人は最低でも劇場での観賞を避けて半年後にビデオになってから観賞することをおすすめしたい。

ともかく全編創意工夫を凝らしたアクションと特撮で、息つく暇もないくらい面白い映画なのだ。
登場するキングコングや恐竜の動きが素晴らしい。
巨大昆虫や巨大ヒルなどはリアルで恐ろしく、そしてチョー気持ち悪い。
中盤の「ドクロ島」の場面は全編がおどろおどろしく、よくもこんな映像を作ったな、と感心させられることしきりである。

しかし特殊効果で目を見張るものはなんといっても1930年代のNYの街並みだ。
クラシックカーが走り回り、トロリー(路面電車)が行き来するNYはリアルでまさにメトロポリスの名前に相応しい姿のなのだ。
エンパイヤステートビルの高層感は高さ3mでもビビってしまう私には、十分過ぎる以上の迫力だった。
「めぐり逢えたら Sleepless in Seattle」でメグ・ライアンとトム・ハンクスが出会うロマンチックな場所と同じところだとは、とても想像できない迫力なのだ。

そしてそして、あらゆる特撮の中で最も優れたものがキングコングの表情だろう。

21世紀のデジタル技術をして初めて完成された「キングコング」は3時間という超ロング上映時間にも関わらず、観客に時間の長さを忘れさせる驚くべき力量を備えた、最上のエンタテーメントに仕上がっていたのだった。
ともかくもう一度見たいと思わせる映画ではあるが、虫や恐竜が気持ち悪いし、摩天楼の高さが怖いので私はDVDになったら小さなデータに変換してiPodの画面で楽しみたいと考えている。

なお、キングコングの手に握られて振り回されていたヒロインが「どうしてゲロを上げたりせず、むち打ち症にもならないんだろう?」という疑問には、この際目をつむりたいと考えている。

~「キングコング」2005年作 ユニバーサル映画 UIP配給~


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