とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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中華弁当の恐怖

2007年09月22日 19時22分14秒 | 旅(海外・国内)
三連休前夜の金曜日。
東京駅から西へ向かう新幹線はほとんど満席。
みどりの窓口のディスプレーには「×」印が並んでいた。

私はこの状態を予想していたので、大阪を出発す数日前に東京からの戻りの列車も予約しておいたのだった。
しかも今回は疲れも溜まっていたし荷物も多かったのでエキスプレス予約のグリーン特約でグリーン車を予約していたのだ。

仕事は予定より二時間ほど早く終ったので列車の予約を変更しようとしたが、できなかった。
前述したように満席だったのだ。
仕方がないのでアキバで適当に時間を潰し、軽い夕食をとって時間をつぶした。
本来なら金曜日の夜は10年以上も通っている英会話スクールのある日なのだが、スクールは大阪の梅田なので行くことはできない。

私のクラスの他のメンバーがマジメ(と思いますけど)に授業を受けている時、私はアキバのオタッキーたちを観察していたというわけだ。
で、気がついたのは最近はラジオ会館の前で屯しているメイドさんが心なしか少なくなっていることと、フーゾク店の呼び込みよろしく強引にギャラリーへ誘い込もうとする胡散臭い絵はがき配りをあまり見かけなくなったことだった。

それはともかく、電車の出発時間が迫ってきたので重い荷物を引きずって、山手線で東京駅へ向かった。

ここ半年ほど、私は帰りの新幹線でビールを飲まなくなってしまった。
「ダイエットしとるんか?」
と疑いのアナタ。
アナタは誤解している。
私は新幹線では極力読書をすることにしており、ビールを飲むと集中できず寝てしまうことが少なくない。
だいたい、最近は毎週大阪~東京を往復しているためヘトヘトなので、アルコールを飲むとすぐに眠くなってしまうのだ。

そこで、今はおつまみと「お茶」を買って乗り込むことにしている。

昨夜も同じであった。
しかもグリーン車なのでゆっくりとできる。
落ち着いて読書ができると思って座席に着くと、隣に弁当を抱えた中年のオバハンが腰を掛けた。
そして最初の停車駅「品川駅」を出発と同時に悲劇が私を襲ってきた。
オバハンが弁当の蓋を開けたのだ。
その瞬間、私は卒倒しそうになった。
なぜならメチャクチャ臭かったのだ。

なにも弁当が腐っていたのではない。
その弁当は得体のしれない中華弁当なのであった。

そのクッサーイ中華弁当をオバハンは嬉々として食べている。
しかもオバハンも読書しながらなのでゆっくりゆっくりと箸を運ぶのだ。

私は臭いに敏感なほうではないが、これはたまらない。
通路を挟んで斜め前に座っている白人のビジネスマンのオッチャンも迷惑顔で振り返った。

オバハンはグリーン車を個室と勘違いしているのだろうか。
まったくもって周囲の迷惑顔に気付かないのだ。
私はすっかり集中力を失い、読もうとしていた本を前の網ポケットに収納し、仕方がないのでヘッドホンをステレオジャックに差し込んで音楽かラジオを聴こうと思った。
私の持っているヘッドホンは密閉型のノイズキャンセリングヘッドホンだが、いくら密閉式でも耳は塞ぐことはできるが、鼻の穴は塞げない。

オバハンはそのクッサーイ弁当を食い終ったのは静岡駅付近を通過していた頃であった。(つまり1時間もチマチマと食べていたのだ、このオバハンは)
中華弁当を食い終ると、今度はカマンベールチーズのような匂いのするケーキを取り出し食べはじめた。

「オバハン、名古屋で降りてくれ」

神を信じない私も思わず祈った。
しかしその願いもむなしく、オバハンは京都まで乗車し、嬉々として旦那と思われる大学教授風のオッサンと、その連れであろうラテン系外国人と連れ立って降りていったのであった。
お前ら、マイカーで移動したらんかい!

ということで、車内の空気は間もなく正常に戻ったが、グリーン特約をメチャクチャにされた私の恨みは浅くはない。