人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

沼尻竜典 ✕ 辻井伸行 ✕ 神奈川フィルでショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第2番」、リヒャルト・シュトラウス「英雄の生涯」、オネゲル「夏の牧歌」を聴く

2023年08月11日 00時03分26秒 | 日記

11日(金)。わが家に来てから今日で3132日目を迎え、米南部ジョージア州フルトン群の地区検事が、トランプ前大統領やその仲間が2020年米大統領選の同州の結果を覆そうとして進めた取り組みについて、来週大番審に事件を提示し、共謀とゆすりを含む12を超える罪状で起訴を求める見込みであるとCNNが明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     さすがは米国元大統領だ  国レベルでも州レベルでも 被告人として引っ張りだこ!

 

         

 

昨日、夕食に「豚の冷しゃぶ」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「舞茸の味噌汁」を作りました 冷しゃぶの上には紫蘇が、下にはキャベツとスプラウトが敷いてあります

 

     

 

         

 

昨夜、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「神奈川フィルハーモニー管弦楽団 辻井のショスタコと熱狂の『英雄の生涯』」を聴きました プログラムは①オネゲル:交響詩「夏の牧歌」、②ショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 作品102」、③リヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40です   演奏は②のピアノ独奏=辻井伸行、指揮=神奈川フィル音楽監督・沼尻竜典です

 

     

     

地元のオケのバックで人気の辻井伸行がピアノを弾くということでか「完売御礼」です

拍手の中、オケのメンバーが配置に着きます。オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び。コンマスは石田組長、隣は今年4月からコンマスに就任した大江馨というダブル・コンマス態勢を敷きます

1曲目はオネゲル:交響詩「夏の牧歌」です この曲はアルチュール・オネゲル(1892-1955)がA.ランボーの詩「夏の暁を抱きて」に基づき1920年に作曲、1921年2月にパリで初演されました

弦楽器の爽やかな演奏が心地よい涼しげな曲です 中盤のオーボエとホルンも素晴らしかったです

2曲目はショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 作品102」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)が19歳の誕生日を迎えた息子マキシムのために1957年に「ピアノ協奏曲第1番」とともに作曲、同年モスクワで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の辻井伸行は2009年6月「第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で日本人として初めて優勝 それ以降、国内外のオーケストラとの共演を続けています

沼尻の指揮で第1楽章に入ります 辻井は軽妙洒脱な演奏を繰り広げたかと思えば、アグレッシブな演奏を展開します 目が見えないのに、なぜあれほどオケとの丁々発止のやり取りができるのか?と驚きを禁じ得ません 第2楽章では弦楽器の抒情的な演奏に導かれ、辻井のソロが入ってきますが、ピュアで美しい音が静寂の会場を満たします 続けて演奏される第3楽章では一転、軽快なテンポで飛ばします 沼尻✕神奈川フィルがピタリとつけます。胸のすくような快演でした

満場の拍手に辻井は、ショパン「ノクターン 第20番 嬰ハ短調(遺作)」をロマンティックに演奏、再び満場の拍手に包まれました

     

     

 

プログラム後半はR.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1897年から翌98年にかけて作曲、1899年にフランクフルトで初演されました プレトークにおける自称「指揮界の綾小路きみまろ」沼尻竜典氏の解説によると、「英雄の生涯」は「ひでおの いきがい」ではありません 第1曲「英雄」、第2曲「英雄の敵」、第3曲「英雄の伴侶」第4曲「戦場での英雄」、第5曲「英雄の業績」、第6曲「英雄の隠遁と完成」から成ります

管・打楽器が増員され、ハープが下手に2台スタンバイします

沼尻の指揮で演奏に入りますが、第1曲冒頭のチェロセクションの渾身の演奏が光ります 8本のホルンが半端ない迫力です そして弦楽セクションの渾身の演奏が印象的です 第3曲では組長のソロが聴かれましたが、演奏スタイルは昔と変わらないなぁと思いながら聴いていました 彼は23年前に東京フィルと新星日響が合併する前、新星日響のコンマスを務めていましたが、その時はイヤリングを付けてヴァイオリンを弾いていました 今でこそイヤリングはつけていませんが、ヴァイオリンを持つ仕草や、座る時の仕草などは当時とまったく変わっていません 人はそう簡単に変わるものではありませんね 第4曲での金管楽器の咆哮、打楽器の炸裂、弦楽器の渾身の演奏による容赦ない音の洪水、エネルギーの放出はまさに「戦場」における戦いでした この曲はライブで聴く機会がさほど多くないので、「あれっ?」と思ったのは、最後の第6曲のフィナーレは弦楽器はお休みで、管楽器群の演奏で終わるのですね 今さらながら気がついて新鮮な感覚を覚えました

沼尻は大きな腕の振りで神奈川フィルからスケールの大きな演奏を引き出していました 神奈川フィルは頼もしい音楽監督を迎えたと思います

 

     

     

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カーチュン・ウォン ✕ 須川展也 ✕ 日本フィルで菅野祐悟「サクソフォン協奏曲 ”Mystic  Forest”」、ムソルグスキー(ラヴェル編)「展覧会の絵」、ヴェルディ「運命の力」序曲を聴く

2023年08月10日 00時02分18秒 | 日記

10日(木)。わが家に来てから今日で3131日目を迎え、ドナルド・トランプ前米大統領が、国家を欺こうと共謀した罪や、国民の権利を侵害しようと共謀した罪などで新たに起訴された件で審理を担当する ワシントン連邦地裁の判事の変更を要求している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプも 大統領への返り咲きか 監獄で余生を送るかの瀬戸際だから 必死だよね

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキのソテー」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「豚汁」を作り、「鯵の刺身」と一緒にいただきました 和食は健康的でいいですね

 

     

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「日本フィルハーモニー交響楽団 カーチュン・ウォンの描く『展覧会の絵』」を聴きました プログラムは①ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲、②菅野祐悟「サクソフォン協奏曲 ”Mystic  Forest” 」、③ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲「展覧会の絵」です 演奏は②のサクソフォン独奏=須川展也、指揮=カーチュン・ウォンです

カーチュン・ウォンはシンガポール出身。2016年のマーラー国際指揮者コンクールで優勝 2022年8月までニュルンベルク交響楽団首席指揮者を務める。2023年9月から日本フィルの首席指揮者とドレスデン・フィル首席客演指揮者、2024年秋にハレ管弦楽団首席指揮者兼アーティスティックアドヴァイザーに就任予定

 

     

 

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び。コンマスは田野倉雅秋です ホルンのトップには東京フィルの首席・高橋臣宣がスタンバイしています

1曲目はヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲です この歌劇はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)がマリーンスキー劇場の依頼により1862年に作曲、同年ペテルブルクの同劇場で初演されました

カーチュン・ウォンの指揮で演奏に入りますが、この悲劇のオペラを凝縮した序曲をドラマティックに歌い上げ、聴衆を惹き付けました 中盤でのオーボエ、フルート、クラリネットの悲壮感漂う演奏が白眉でした

2曲目は菅野祐悟「サクソフォン協奏曲 ”Mystic  Forest”」です この曲は菅野祐悟(1977~)が須川展也のために作曲、2021年2月に初演されました 第1楽章「Blooming Flowers」、第2楽章「Falling Leaves」、第3楽章「Crystal Forest」の3楽章から成ります 小室敬幸氏のプログラムノートによると、この曲のキーワードは「目に見えない力」で、第1楽章は「満開の桜吹雪が舞う風景」、第2楽章は「散りゆく紅葉」、第3楽章は「植物が枯れ果てたあとに訪れる銀世界」を表しています

サクソフォン独奏の須川展也は東京藝大卒。第51回日本音楽コンクール、第1回日本管打楽器コンクール最高位受賞 日本を代表するクラシカル・サクソフォン奏者です

オケは12型に縮小し、ピアノがステージ下手にスタンバイします 拍手の中、須川が赤と金に輝くサックスを携えて登場します

演奏に入りますが、菅野はNHK大河ドラマのテーマ音楽などを手がけているだけあって、全体的に分かりやすい曲想で、ドラマティックです 驚いたのは第3楽章です。神秘的に始まったかと思ったら、突然サクソフォン・ソロが狂ったように演奏を展開し、「まるでフリージャズだ」と思いました

大きな拍手の中、作曲者・菅野祐悟氏が客席からステージに呼ばれ、楽団員と聴衆から大きな拍手を浴びました

須川はアンコールに真島俊夫「シーガル」の前半部分を鮮やかに演奏、再び満場の拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」です この曲はモデスト・ムソルグスキー(1839-1881)が友人の画家ガルトマンの追悼展覧会の絵を見た印象をもとに1874年にピアノ独奏曲として作曲しました その後、モーリス・ラヴェルが1922年に管弦楽用に編曲しました ①小人、②古城、③テュイルリー、④ビドロ(牛車)、⑤卵の殻をつけたひな鳥の踊り、⑥サミュエル・ゴールデンベルクとシュムイレ、⑦リモージュ、⑧カタコンブ、⑨バーバ・ヤガー、⑩キエフの大門の10曲から成ります

オケは再び16型に拡大します。サクソフォンの須川もホルンの隣にスタンバイします

カーチュン・ウォンの指揮で演奏に入ります 冒頭の「プロムナード」でのトランペットの”輝く演奏”が素晴らしい 第2曲「古城」における須川のサクソフォンは味わい深く、息の長い演奏を展開しました また、チェロセクションの通奏低音的な演奏が印象に残りました 第3曲「テュイルリー」ではフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットによる賑やかな音楽が楽しい 第4曲「ビドロ」ではチェロとコントラバスの低弦に乗せてテューバが素晴らしい演奏を展開しました 第5曲「卵の殻をつけたひな鳥の踊り」は木管群と弦のピッツィカートによる掛け合いが楽しく聴けました さて個人的にはこの曲のハイライトと思う「サミュエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」の出番です 金持ちで高慢なユダヤ人(弦楽器群)と貧乏なユダヤ人(ミュート付きトランペット)の対話ですが、私には次のように聞こえました

プーチン大統領:せっかくウクライナの領土を占領しても、ウクライナ軍に一部が奪還されてるじゃん

ショイグ国防相:多くの兵士が死傷して戦力不足に陥ってるんです

プーチン:だから来年1月から徴兵年齢を27歳から30歳に引き上げるように手を打ってるじゃんか

ショイグ:それに、欧米側の経済制裁の影響で武器が不足してるんですわ

プーチン:だからあんたに北朝鮮に行ってもらって話を付けたんじゃないのよ

ショイグ:あの国はミサイルばかりに金をつぎ込んで、通常兵器はうちらの国と同じで古いんですよ

プーチン:言い訳ばかりの「お前はクビだ

ショイグ:それはアメリカのトランプ某の台詞じゃないんですかい

大幅に脱線しました。元に戻します 第8曲「カタコンブ」ではトロンボーン、テューバ、ホルンといった金管楽器の深く豊かな響きが印象的でした 第9曲「バーバ・ヤガー」から第10曲「キエフの大門」にかけては、オーケストラ総力を挙げての渾身の演奏で音の大伽藍を築き上げ、圧倒的な音量で大ホールを揺るがしました

大きな拍手とブラボーの嵐が指揮者とオケに押し寄せ、カーテンコールが繰り返されました カーチュン・ウォン ✕ 日本フィルはアンコールにエルガー「エニグマ変奏曲」から第9変奏「ニムロッド」を思い入れたっぷりに演奏、再び大きな拍手に包まれました 彼のセンスの良さを感じさせる選曲ですが、なぜ彼が英国の作曲家エルガーの曲を選んだかと言えば、冒頭でご紹介した通り、彼は来年秋に英国の「ハレ管弦楽団」首席指揮者兼アーティスティックアドヴァイザーに就任予定だからだと思います

これまで私はカーチュン・ウォンという指揮者に対し、あまり興味を持っていませんでした しかし、この日の指揮ぶりを見て、かなり良い指揮者だと思いました 今後、日本フィルとのコンビによる公演に注目していきたいと思います

 

     

     

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秋山和慶 ✕ HIMARI ✕ 日本センチュリー交響楽団でブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、シューベルト「交響曲第5番」、ドヴォルザーク「交響曲第8番」を聴く

2023年08月09日 00時34分46秒 | 日記

9日(水)。わが家に来てから今日で3130日目を迎え、2024年米大統領選への出馬を表明した共和党のデサンティス・フロリダ州知事は7日放送の米NBCテレビのインタビューで、20年大統領選でトランプ前大統領が「もちろん負けた」と明言した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     他の共和党候補は トランプが怖くて何も言えないんだ 共和党に言論の自由はない

 

         

 

昨日、夕食に「野菜とひき肉のドライカレー」を久しぶりに作りました 辛いカレーには甘い目玉焼きがよくマッチします

 

     

 

         

 

昨夜、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「日本センチュリー交響楽団   天下の台所(大阪)からのクラシックフルコース 」公演を聴きました プログラムは①シューベルト「交響曲第5番 変ロ長調 D485」、②ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 作品26」、③ドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=HIMARI、指揮=秋山和慶です

日本センチュリー交響楽団は1989年創設の若いオーケストラ(楽団員数=52名)で、首席指揮者=飯森範親、首席客演指揮者=久石譲、ミュージックアドヴァイザー=秋山和慶、名誉指揮者=ウリエル・セガルという布陣です

19時からの公演に先立ち、18時20分からプレコンサートがありました プログラムは①モーツアルト「ディヴェルティメントK.136」から第1楽章、②久石譲「Student  Quartet」、③ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲第12番”アメリカ”」から第4楽章です 演奏はヴァイオリン=高橋宗久、宮下絢子、ヴィオラ=木田奏帆、チェロ=末永真理です 演奏はいずれも変な癖のない素直な演奏で好感が持てました 特に久石氏の曲はモーツアルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」風の軽快な曲で楽しく聴けました 進行役を高橋氏が務めましたが、早口で話すため、話していることの半分も聞き取ることが出来ませんでした 彼に限らず、マイクで話す場合はコンサートホールの残響特性を考えてほしいと思いました

 

     

 

さて、本番です。オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び コンマスはゲスト・コンマスの山本友重(都響・コンマス)です

1曲目はシューベルト「交響曲第5番 変ロ長調 D485」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1816年に作曲、同年ウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「メヌエット:アレグロ・モルト」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

秋山氏の指揮で第1楽章に入ります 推進力に満ちた演奏が心地よく進みます 秋山氏の適格な指揮を見ていると、いつもながら演奏者は演奏しやすいだろうな、と思います 第2楽章ではフルートとオーボエが冴えていました 第3楽章を聴いていてモーツアルトを感じました 第4楽章を聴いていてハイドンを感じました 19歳のシューベルトはこの時、彼らの影響下にあったようです。全曲を通して、力強くも爽やかな演奏でした

2曲目はブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 作品26」です この曲はマックス・ブルッフ(1838-1920)が1866年に作曲、同年コーブレンツで初演され、その後改訂、1868年1月にブレーメンでヨーゼフ・ヨアヒムの独奏により現在の形で演奏され、大きな成功を収めました 第1楽章「前奏曲:アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「終曲:アレグロ・エネルジーコ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏のHIMARIは2011年生まれの12歳。2022年に難関名門校・カーティス音楽院に最年少で合格 リピンスキ・ヴィエニャフスキ国際、グリュミオー国際、ポスタッキー二国際をはじめ42のコンクール全てで1位、あるいはグランプリを獲得している逸材です

拍手の中、HIMARIが赤のドレスで登場、ステージ中央にスタンバイします 身長とヴァイオリンの大きさの関係で、どう見ても小学校6年生の可愛い女の子がヴィオラを携えているようにしか見えません

第1楽章が独奏ヴァイオリンのカデンツァ風の演奏で開始されますが、この演奏を聴いて「これはただものではない」と思いました 彼女の弾くのは1717年製ストラディバリウス「Hamma」ですが、「思うように鳴らすのが難しい」と言われるストラドを完全に自分のものにして演奏しています 第2楽章で彼女の演奏の最大の美点が表れました それは弱音でも美しく響くビブラートです 第3楽章に入ると、輝かしい音で喜びに満ちた演奏が繰り広げられました 技巧的には完璧だと思いました 秋山 ✕ センチュリー響はソリストに寄り添いつつ、渾身の演奏を展開しました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返され、HIMARIはナタン・ミルシテイン「パガニーニアーナ」を超絶技巧であっけらかんと演奏し、再び大きな拍手とブラボーに包まれました

現在12歳の HIMARI は第2の五嶋みどりになれるのか? ただの人で終わるのか? これからが勝負だと思います

 

     

 

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1889年に作曲、1890年2月に作曲者の指揮によりプラハで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ ~ モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

秋山氏の指揮で第1楽章に入ります フルート、クラリネットといった木管楽器、ホルン、トロンボーンといった金管楽器が素晴らしい 第2楽章ではトランペットとホルンがいい味を出しています 山本コンマスのソロも素晴らしかった 第3楽章では冒頭の弦楽合奏の憂いに満ちたアンサンブルが印象的でした そして、ファゴット、オーボエ、フルートがいい味を出しています 第4楽章では冒頭のトランペットが”突き抜けて”いてとても良かったと思います その後のチェロ・セクションの落ち着いた演奏が光りました そしてフィナーレに向けての総力を挙げてのエネルギッシュな演奏が聴衆に強いインパクトを与えました

会場いっぱいの拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました 大阪から東京にやってきたオーケストラ「日本センチュリー交響楽団」、とても良かったです プロ野球セリーグのペナントレースは現在、我らが阪神タイガースが首位を独走しています 音楽もプロ野球も、この調子で行きましょうね

 

     

     

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池上彰著「新聞は考える武器になる」を読む ~ 「知る・考える・伝える」力を磨くのに役立ち、メディアの情報を読み解き フェイクやデマを見抜く力がつく

2023年08月08日 06時50分20秒 | 日記

8日(火)。昨日は映画を観に行く予定でしたが、本日から「フェスタサマーミューザ」の4日連続コンサートが控えているので、読書をして身体を休めました

世間のニュースによると、今日は「立秋」です。マジか  と言いたくなる猛暑が続きます   昨日で「暑中見舞い」は終わり、今日から「残暑見舞い」になります。マジか

ということで、わが家に来てから今日で3129日目を迎え、在ロシア中国大使館は4日、中央アジア・カザフスタン経由で訪ロを試みた中国人観光客5人がロシア連邦保安局国境警備隊に「4時間にわたる野蛮で過剰な聴取」を受け、入国を拒否されたとして、ロシア側に再発防止を求めたと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     野蛮で過剰な聴取は中国の専売特許じゃなかったんだね 同じ専制主義国家だもんね

 

         

 

昨日の夕食は、娘の大好物「お肉やわっやわっ鶏のガリチー煮」にパスタを和えました いつも娘は「ガリチー煮」を食べ終わってからパスタを茹でて食べていたので、一度に済ませようと言う魂胆です 鶏肉を半量にして、茹でたスパゲティを加えて和えました これならカロリー過多になる心配はありません とても美味しかったです

 

     

 

         

 

池上彰著「新聞は考える武器になる」(祥伝社黄金文庫)を読み終わりました 池上彰氏は1950年、長野県松本市生まれ。ジャーナリスト 慶応義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。1994年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍 2005年に独立した後は取材、執筆活動を続けながら、テレビ番組などでニュースを分かりやすく解説し、幅広い人気を得ている。名城大学教授、東京工業大学特命教授、立教大学客員教授など、11大学で教鞭をとっている。著書多数

 

     

 

本書は2019年11月、祥伝社から単行本「考える力と情報力が身につく  新聞の読み方」として刊行された作品を、加筆・修正のうえ第1章に掲載し、朝日新聞で連載した「池上彰の新聞ななめ読み」の2016年10月~2021年3月掲載分に編集・加筆したものを第2章以降に掲載し、文庫化したものです

本書は次の各章から構成されています

はじめに

第1章「子どもの頃から新聞好き。池上彰流読み方、活用術」

第2章「世の中を知るためにどう読んだいいのか?」

第3章「難しい話や専門用語をどのようにやさしく伝えるのか?」

第4章「新聞は『誰のためのものか』。報道は歴史になる」

第5章「新聞は事実を正確に伝えているか?」

第6章「どれも同じじゃない。読み比べて見えてくること」

第7章「新聞は読み方次第で考える武器になる」

第8章「埋もれた事実を掘り起こす」

第9章「同じニュースでも新聞社で違いがある」

おわりに

第1章で池上氏は「朝刊の文字数は約20万字で、新書2冊分の情報量に匹敵する。毎日、新書を2冊読むのは難しいが、新聞なら難なく読める。この情報を活かさない手はない」と主張します その上で、新聞は「知る」「考える」「伝える」力を磨くのに役立つとし、「メディアの情報を読み解き、フェイクやデマを見抜く力がつく」と解説します

池上氏は新聞の存在意義について次のように解説しています

「『ニュースはネットで見るから、新聞なんていらない 』と思うかもしれないが、ネットのニュースは新聞社(や放送、通信社)から提供されたニュースが基になっている そのニュースは記者が取材し、記事を執筆して初めて生まれる 新聞の存在意義の一つはこの『取材』にある

池上氏は「メディア・リテラシー」を備える必要性を説いています 「メディア・リテラシー」とは、メディアからの情報を読み解く、見極める能力のことで、「メディア・リテラシーを磨くには、さまざまなメディアに触れて、いろいろな視点、伝え方があることを知るのが大切だ」と主張します そのための一つの方法として「新聞の読み比べ」を勧めています 「新聞は客観報道を装っているが、実際には新聞によって伝え方は違っている 誤ったニュースに騙されないために、複数の新聞を読み比べるのがよい 1紙は保守系、1紙はリベラル系といったように、論調の異なる2紙を読むのがよい」と解説します。その上で、「大雑把にいえば、『朝日・毎日・東京』がリベラル・左、『読売・産経』が保守・右、真ん中に『日経』があるといった構図だろう」としています ちなみに私は40年以上、朝日と日経を定期購読しています

さらに、「かつて読売新聞は『反権力』色の濃い新聞だった 1950年代から60年代にかけて、社会部が大きな力を持っていたからだ しかし、今ではすっかり政権寄りの新聞とみなされている 政治部出身の渡辺恒雄氏が社内で力を持ったことが理由の一つだ」と解説します

第2章以降は、2007年から朝日新聞で掲載されてきたコラム「新聞ななめ読み」の中から主だった記事を抜粋したものです これは2007年4月に朝日新聞東京本社夕刊編集部から、「いろんな新聞を読み比べる論評を毎週執筆してほしい。何を書いても自由で、内容に関しては注文はつけない。朝日新聞の記事の批判も歓迎する」とオファーがあり、引き受けることにしたものです たくさんの新聞を読むためにざっと「ななめに読む」こともあるし、新聞記事を「斜に構えて」論評することもあるから、ということで付けたタイトルとのことです

私も読者としてリアルタイムでこのコラムを読んできましたが、最大のハイライトは2014年8月の朝日新聞の「誤報取り消し」をめぐる池上氏の批判記事不掲載事件です これは、朝日新聞が過去に掲載した「済州島で200人の若い朝鮮人女性を『狩り出した』という吉田証言」が虚偽であることを認め、これを報じた朝日の記事を取り消したという事実が基になっています 池上氏は「なぜ32年間も訂正しなかったのか、間違いを認めたら謝罪すべきではないか。検証すること自体は評価するが、遅きに失したのではないか」と批判するコラムの原稿を送ったところ、朝日の上層部が認めず、掲載されなかったのです そこで池上氏は「掲載するしないは新聞社の編集権の問題なので何も言わないが、信頼関係が崩れた以上、コラムの執筆は止めさせてもらう」と申し入れました これについて、池上氏は口外しませんでしたが、「週刊新潮」と「週刊文春」が報道した。朝日新聞社内の誰かが週刊誌に伝えたのだろう この事件をきっかけにライバル紙や週刊誌などから朝日新聞バッシングが始まった。朝日新聞の記者たちが実名でツイッターに自社の方針を批判する投稿を始めた こうしたことを背景に、朝日新聞は誤りを認め、コラムが掲載された この騒動は朝日の購読者数が大きく減るキッカケとなった 皮肉なことに、朝日タタキに走ったライバル紙も部数を減らした その後、朝日新聞は記事内容を社の内外の人たちがチェックするパブリックエディター制度を導入し、記事の訂正もどんどん掲載するようになった、とのことです

これを読んで思い出したのは、最近ツイッター(本当は X だけど)で見たあるツイートです そこには「朝日新聞の1月度ABC部数は380万部、読売新聞は653万部となっている」と書かれていました。これは衝撃でした ABC部数というのは日本ABC協会による「公称部数」です。私が新聞関係団体に勤務していた頃は朝日が840万部、読売が1000万部に達していました それに比べると朝日は55%の大幅減少、読売は35%の減少です とても信じられない部数減です しかし、これは朝日と読売だけの現象ではありません 全国の新聞が部数減に悩まされています なんとかこれ以上減らさないためにも、特に若い人たちに新聞を読んでほしいと思います 新聞ファンとしては本書がそのきっかけになれば嬉しいです

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広上淳一 ✕ 新日本フィルによるベートーヴェン「交響曲第5番&第6番」を聴く ~ 井上道義の代役:「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演

2023年08月07日 00時04分40秒 | 日記

7日(月)。わが家に来てから今日で3128日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は4日、年2回に分けて実施している徴兵の対象年齢の上限を来年1月以降、27歳から30歳に引き上げる改正法案と、召集令状が出された国民の出国を禁じる法案に署名し、法律が成立した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大義のない戦争に駆り出され 戦死しなければならないロシアの若者も可哀そうだ     

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「新日本フィルハーモニー交響楽団 ~ 広上淳一のザ・ベートーヴェン!」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「交響曲第6番 ヘ長調 作品68」、②同「交響曲第5番 ハ短調 作品67」です 本公演は本来「新日本フィル ~ 道義のザ・ベートーヴェン!」のタイトルで、井上道義氏の指揮が予定されていましたが、同氏が結石性腎盂腎炎によりドクターストップがかかったため、急きょ指揮者が変更になったものです

プログラム冊子に掲載された井上氏のメッセージに「誰がなんと言おうと来る気があれば来る道義ですが、吐き気が続き、人前で話す・・・それもベートーヴェンの指揮をするのは・・・無理です、お許しを。親愛なる広上君が代役を引き受けてくれたのは本当にありがたい しかも彼は俺の考えた趣向をそのまま取り入れてくれるそうだ。ありがとう」と書かれています さて、どんな趣向が凝らされているのか見ものです

 

     

 

16時開演の公演に先立って、15時から弦楽五重奏による「プレコンサート」が開かれました プログラムは①モーツアルト「ディヴェルティメント  ニ長調 K.136」、②モンティ「チャールダッシュ」です 演奏はヴァイオリン=崔文洙(ソロ・コンマス)、丹羽紗絵(8月から第2ヴァイオリン首席)、ヴィオラ=瀧本麻衣子(首席)、チェロ=服部誠(客演:東京フィル首席)、コントラバス=菅沼希望(首席)です 当初は弦楽四重奏で演奏する予定だったようですが、最終的にコントラバスを加わりました

5人の演奏でモーツアルトのK.136の演奏に入ります 崔コンマスのリードのもと、軽快な演奏が繰り広げられましたが、初めて聴く丹羽紗絵さんの躍動感あふれる演奏が特に印象に残りました 2曲目のチャールダッシュは崔コンマスの超高速演奏を4人がしっかり支え、聴衆を興奮の渦に巻き込みました

 

     

 

さて、本番です。デジタル・サイネージに表示された「完売御礼」の通り、会場は満席です 間違いなく「井上道義」の名前で発売開始間もなく完売になったものです

演奏にあたり、広上氏と池田卓夫氏による「プレトーク」がありました それによると井上氏はすでに退院したようですが、指揮ができるまでには回復していないようです 井上氏が「彼(広上氏)は俺の考えた趣向をそのまま取り入れてくれるそうだ」と書いていることに関して、広上氏が どういう趣向なのかをユーモアを交えて解説しました    楽器の配置と演奏人数に秘密があるようです    そのうち楽員が三々五々入場し 配置に着いたのでトークは終了となりました

1曲目はベートーヴェン「交響曲第6番 ヘ長調 作品68」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1807年から08年にかけて作曲、1808年12月22日にアン・デア・ウィーン劇場で「交響曲第5番」とともに初演されました 本作はベートーヴェン自身により当初「田園生活の思い出」、その後「田園交響曲」と名付けられました   この作品の大きな特徴は①それまでの4楽章でなく5楽章構成となっていること、②第3~第5楽章が続けて演奏されること、③トロンボーンやピッコロが使用されていること、④最終楽章が静かに終わること、⑤「標題交響曲」の先駆けとなる作品で、各楽章に内容を示す説明の言葉が記されていること、などです

この作品は第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ(田舎に着いた時の愉快な感情の目覚め)」、第2楽章「アンダンテ・モルト・モッソ(小川のほとりの風景)」、第3楽章「アレグロ(田舎の人たちの楽しい集い)」、第4楽章「アレグロ(雷雨、嵐)」、第5楽章「アレグレット(牧歌 ~ 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち)」の5楽章から成ります

オケは6型の小編成で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置をとります。コンマスは崔文洙です 第2ヴァイオリンのトップには丹羽紗絵が、チェロのトップには東京フィルからの客演で服部誠がスタンバイします

広上の指揮で第1楽章に入ります。弦楽器が少ないだけに透明感のある演奏が際立ちます フルート、オーボエ、ファゴットの演奏が冴えています 第2楽章ではオーボエとファゴットの掛け合いが楽しく聴けました 演奏の途中で、舞台下手からトランペット奏者(2)が入場し、第1ヴァイオリンの下手の壁際でスタンバイし、演奏に加わります さらに、第3楽章に入る直前にトロンボーン(2)、ピッコロ、ティンパニ奏者が入場しトランペット奏者に並びます この「バンダ」的な編成は第4楽章「雷雨、嵐」の場面で大活躍します 以上の一連の流れによる演奏形式が、井上氏が求めていた”趣向”です 広上は小柄な身体ながら、精力的かつスケールの大きな指揮で、とても6型とは思えない迫力のある演奏を新日本フィルの楽員から引き出していました

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第5番 ハ短調 作品67」です この曲は1807年から08年にかけて作曲、1808年にアン・デア・ウィーン劇場で「交響曲第6番」とともに初演されました この作品の大きな特徴は①ハ短調の第1楽章からハ長調の第4楽章へ、「暗から明へ」「闘争から勝利へ」という音楽の流れ、②冒頭の「運命の動機」が全楽章に登場し統一感を持たせていること、③交響曲史上初めてピッコロ、コントラファゴット、トロンボーンを採用したことなどです

この曲は第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「アレグロ」、第4楽章「アレグロ ~ プレスト」の4楽章から成ります

弦楽器が「田園」の2倍以上の16型に拡大します 管・打楽器を含めて100人規模の大編成は見た目だけでもインパクト大です 古典派の交響曲で16型は見たことありません 弦楽器だけを見れば、まるでマーラーやブルックナーを演奏するような編成です

広上の指揮で第1楽章が集中力に満ちた迫力のある演奏で開始されます オーボエ、ファゴット、フルート、クラリネットといった木管楽器が冴えています 穏やかな第2楽章を経て、第3楽章では弦楽器を中心に重心の低い演奏が展開し、ホルンが咆哮します そして、底辺を蠢くような音楽が続き、次第に盛り上がり、頂点に達して最終楽章に移行します これは音楽における「勝利宣言」です 広上はアグレッシブな指揮で各セクションを煽り立て、オケの持てる力を存分に引き出します

ド迫力の演奏でした 文字通り満場の拍手とブラボーの嵐が広上氏とオケの面々に押し寄せ、カーテンコールが繰り返されました

この日の演奏は、ほぼ同時期に並行して作曲され 同じ日に初演されたベートーヴェンの「第6番」と「第5番」の性格の違いをオーケストラの規模と音量で表すとともに、ベートーヴェンの音楽の先進性を、新たに採用した楽器(トロンボーン、ピッコロなど)を視覚的に際立たせることによって表現しました

井上氏の意を汲んで演奏で結果を出した広上氏の誇らしい姿を見ると、井上氏のバトン(指揮棒)は最適任者に渡されたと思わずにいられません 胸のすくような素晴らしい演奏でした

 

     

     

さて、プログラム後半の「第5交響曲」の第1楽章が始まって間もなくのことでした すぐ後ろの列の高齢男性2人がいきなり大きな声で会話を始めたのです どうやら演奏のテンポについて論評しているようでした 3列前の人が振り返ったくらい大きな声だったので、私は思わず振り返り2人を睨めつけ”黙れビーム”を飛ばしました 演奏中 声を出すわけにはいきませんから それで何とか収まりましたが、私の怒りは収まりません 演奏の真っ最中に大きな声で会話をする馬鹿がどこにいるか  これほど規格外の非常識は見たことがない だから”老害”と言われるんだ  もう二度とコンサート会場に来るな    てなもんです

実を言うと、「プレコンサート」の崔氏のトークも この2人のおしゃべりのせいでほとんど聞き取ることが出来ませんでした 演奏中ではないのでクレームはつけませんでしたが、本番を前にいやーな予感がしました 予感が当たってしまったわけで、背中に悪寒が走りました

先日は同じ会場の2階席で、演奏直前に駄々をこねて、床に寝転がって演奏を聴いていたオバさんがいたようですが、どうもこの酷暑で自律神経が大幅に狂っている人間が増えているようです 少なくとも、同じ種族にならないように気をつけねば、と思う今日この頃です

 

     

     

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「真夏のバッハⅧ ~ オルガンで聴くバッハ、チェンバロで聴くバッハ」を聴く ~ 「フェスタサマーミューザ」 / 「第195回名曲全集」のチケットを取る ~ サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」他

2023年08月06日 00時01分01秒 | 日記

6日(日)。来年3月2日(土)14時からミューザ川崎シンフォニーホールで開かれる、ミューザ川崎&東京交響楽団「第195回名曲全集」のチケットを取りました プログラムは①ドビュッシー「小組曲」、②サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」、③同「交響曲第3番”オルガン付き”」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=MINAMI(吉田南)、③のオルガン演奏=大木麻里、管弦楽=東京交響楽団、指揮=ピエール・ブリューズです

これはMINAMIの演奏が聴きたくてチケットを取りました

 

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3127日目を迎え、ロシアの裁判所は4日、反体制指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏に対し、過激派団体を創設した罪などで新たに懲役19年の判決を下した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチン政権は彼の暗殺に失敗してるからね 一生牢獄に閉じ込めておくつもりだろ

 

         

 

昨夜、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023 」参加公演「真夏のバッハⅧ ~ オルガンで聴くバッハ、チェンバロで聴くバッハ」を聴きました オール・バッハ・プログラムで、①「トッカータとフーガ  ニ短調 BWV565」、②コラール「装いせよ、汝我が魂よ」BWV654、③「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ  ト長調 BWV1021」、④「イタリア協奏曲 BWV971」、⑤「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 BWV1004」から「シャコンヌ」、⑥「パッサカリア BWV582」、⑦「管弦楽組曲第3番 BWV1068」から「エア」(弦楽アンサンブル)、⑧「チェンバロ/オルガン協奏曲 ニ短調 BWV1052」(弦楽アンサンブル)です    演奏はパイプオルガン/チェンバロ=大塚直哉、ヴァイオリン=桐山建志、大西律子、ヴィオラ=吉田篤、チェロ=西沢央子、コントラバス=栗田涼子です

 

     

 

自席は1C8列32番、センターブロック右通路側席です 多くのバッハ・ファンが集まりました 約20年間 定期会員を継続していたバッハ・コレギウム・ジャパンの定期会員を辞めてしまったので、今回はバッハの音楽をまとめて聴く貴重な機会です

1曲目は「トッカータとフーガ  ニ短調 BWV565」です バッハと言えばこの曲を思い浮かべるほど超有名な作品ですが、加藤浩子さんのプログラムノートによると「自筆譜がなく、伝承されている筆写譜の信憑性や、音楽のスタイルの観点から、偽作説が絶えない作品でもある」そうです。マジか  この曲で思い出すのは、若さだけが取り柄のアホな大学時代に、大学近くの喫茶店「白十字」で、ドアを開けた途端に奥の方から自分をめがけて押し寄せてきた「トッカータとフーガ」の音の洪水です その時の演奏はストコフスキーによる管弦楽版によるものでしたが、バッハの音楽に圧倒された瞬間でした

大塚直哉が2階正面のパイプオルガン席に着き、演奏に入ります 冒頭の演奏を聴いて、「あれっ、ちょっと違うぞ」と思いました 彼は即興で装飾音を付けて演奏しているようです 少し違和感を感じましたが、考えてみればバッハの時代には即興演奏など 当たり前田のクラッカーだったわけで(古っ!)、これでいいのだ、と思い直しました    その後も、あるいは即興演奏があったのかもしれませんが、私のつたない知識では分かりませんでした

2曲目はコラール「装いせよ、汝我が魂よ」BWV654です 「コラール」とは讃美歌のことですが、この曲は1739~42年頃に作曲されたと考えられています

バッハのコラールを聴くと、教会で懺悔をしているような気分になります    勘違いしないで下せえ おれはやっちゃいねえんだ。信じてくれ。刑事さん

3曲目は「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ  ト長調 BWV1021」です バロック時代のソナタに用いられた「緩ー急ー緩ー急」の「教会ソナタ形式」で書かれています 第1楽章「アダージョ」、第2楽章「ヴィヴァーチェ」、第3楽章「ラルゴ」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります

ヴァイオリンの桐山、チェロの西沢、ポジティフ・オルガンの大塚により演奏されます 弦楽器はガット弦を張った古楽器を使用し、ピリオド奏法によりノン・ビブラートで演奏されるため、ソフトでピュアな音が楽しめます リード役の桐山が素晴らしく、チェロの西沢の演奏も冴えています それを大塚が通奏低音でしっかり支えます

 

     

 

4曲目は「イタリア協奏曲 BWV971」です 正式なタイトルは「イタリア趣味による協奏曲」です 第1楽章(テンポ指定なし)、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります 大塚がチェンバロを弾きます いきなりですが、ここで問題です

「チェンバロとハープシコードとクラブサンの違いを述べよ」

馴染みのメロディーを聴きながら、オルガンの豊かな響きに比べチェンバロは儚いくらい弱い音だな、と思いました ミューザのような2000人近く収容できるホールでは、ソロだから隅々まで聴こえるのであって、管弦楽の中では埋もれてしまいます 大塚は軽快な演奏で弾き切りました

問題の答え「同じ楽器である ドイツ語でチェンバロ、英語でハープシコード、フランス語でクラブサンという

5曲目は「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 BWV1004 」から「シャコンヌ」です この曲は6曲から成る「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」のうち「パルティータ第2番」の最終楽章にあたる作品です 「シャコンヌ」は同一の音型を繰り返す変奏曲の一種で、冒頭の主題が34回変奏されます

桐山のヴァイオリン・ソロで演奏されます 桐山は確かな技巧の裏付けのもと、ノン・ビブラートによる透明感溢れる演奏を繰り広げ、「本当に1本のヴァイオリンで多声の音楽を奏でているのか」と驚かせました 完璧な演奏でした

 

     

 

プログラム後半の1曲目は「パッサカリア BWV582」です 「パッサカリア」は低音主題による変奏曲を指します

大塚が再びパイプオルガン席に着きます 大塚は 脚による低音の演奏と、両手による中高音の演奏の組み合わせにより、見事なフーガを繰り広げ、音の大伽藍を築き上げました

後半の2曲目は「管弦楽組曲第3番BWV1068」から第3楽章「エア」です この曲は「G線上のアリア」という名称で知られています 演奏はポジティフ・オルガン=大塚直哉、ヴァイオリン=桐山建志、大西律子、ヴィオラ=吉田篤、チェロ=西沢央子、コントラバス=栗田涼子です 大塚直哉、桐山建志、吉田篤、西沢央子、栗田涼子が東京藝大出身で、大西律子が国立音大出身です

古楽器特有のソフトで優しい音色による演奏が展開します オルガンともよくマッチしていました

最後の曲は「チェンバロ/オルガン協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052」です バッハはそれまで通奏低音として使われてきたチェンバロを主役に起用し、協奏曲の独奏楽器としました この曲はヴァイオリン協奏曲をチェンバロ用に編曲したものと考えられています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

この曲は大塚のアイディアにより、弦楽合奏をバックに第1楽章がチェンバロで、第2楽章がポジティフ・オルガンで、第3楽章が大オルガンで演奏されます これは素晴らしい試みです

第1楽章の演奏に入りますが、やはり弦楽合奏の中ではチェンバロは埋もれてしまいます チェンバロの音をよく聴くことができるのはカデンツァです これはとても素晴らしい演奏でした 第2楽章は大塚はポジティフ・オルガンに移って演奏します ノン・ビブラートの弦楽合奏に支えられて抒情的な演奏が繰り広げられました

ここで、大塚はステージ奥の階段(普段はない)を上がり P席脇を登り、パイプオルガン席に着きました    一方、弦楽合奏のメンバーは、ステージ奥の丘(床が60~70センチほど高くなったスペース)に上りスタンバイしました    その上で第3楽章が開始されました   演奏者が1階と2階に離れている上、オルガン奏者は後ろ向きになっているので、合わせるのが困難と思われましたが、両者は見事にマッチ、絶妙のアンサンブルを奏で、聴衆を魅了しました

満場の拍手に6人は、アンコールにバッハ「カンタータ第147番『心と口と行いと生活で』」から第10曲「主よ、人の望みの喜びよ」を演奏、再び大きな拍手に包まれました

 

     

     

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N響特別コンマス・篠崎史紀氏の「こころの玉手箱」~ 日経のコラムより / 「METライブビューイング アンコール2023」東劇で上映決定 / 中山七里著「ヒポクラテスの悔恨」を読む

2023年08月05日 06時34分08秒 | 日記

5日(土)。7月31日(月)から8月4日(金)までの5日間、日経夕刊のコラム「こころの玉手箱」でNHK交響楽団特別コンサートマスターの篠崎史紀さん(愛称:マロ)が取り上げられていました 記事を超略すると次の通りです

「3歳からヴァイオリンを始め、4歳の頃は『将来はウルトラセブンになる』と思い込んでいた テレビ『ウルトラセブン』ではヨハン・シュトラウス2世『皇帝円舞曲』やシューマン『ピアノ協奏曲』が使われていたが、セブンの音楽だと思っていた 中学1年から高校3年までアマオケ『北九州交響楽団』に所属し、高校生の時 初めてコンマスを務めた 高校卒業後はウィーン市立音楽院に入学しトーマス・クリスティアンに師事し8年間を過ごした 3学年下のチェロ奏者・桑田歩は鈴木メソッドで一緒に学んだ仲で、彼が欧州に来た時にはウィーンの家にしばらく泊っていった その時、知り合いの先生を紹介したところ、私と同じ音楽院に留学することになった 彼は私が作った『東京ジュニアオーケストラソサエティ』の指導にも当たってくれた しかし、以前から崩していた体調が戻らず4月に亡くなった 1月の私の誕生日にくれた万年筆は常に持ち歩いている

この記事を読んで初めて、N響を退団し新日本フィルの首席チェリストを務めた桑田歩氏が、マロさんの親友だったことを知りました それと同時に、今年1月13日(金)にすみだトリフォニーホールで開かれた新日本フィル「クラシックへの扉シリーズ」1月度定期演奏会を思い出しました この時、1曲目に高関健の指揮、ネルソン・ゲルナーのピアノによりブラームス「ピアノ協奏曲第2番」が演奏されましたが、第3楽章「アンダンテ」冒頭で桑田氏のソロにより”枯れた”とでも言うべき抒情的な演奏が繰り広げられました まさか、3か月後に亡くなるとは思いもよりませんでした

マロさんは最後に「4歳のときに夢想したように空を飛ぶことはできない だけど私は音楽を奏でることによって、聴衆のみなさんとともに時空を超えることができるのだ」と書いています まさに、音楽は時間と空間を超えて訴えかけてきます

ということで、わが家に来てから今日で3126日目を迎え、ロシア語の独立系メディア「メデゥーサ」は7月29日から8月2日までの5日間で、ロシア国内の徴兵事務所や関連施設への放火や放火未遂が少なくとも28件発生したと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     誰だって プーチンのために戦地で無駄死にしたくないからね プーチンこそ戦地へ! 

 

         

 

昨日の夕食は3週間ぶりに「鶏の唐揚げ」を作りました 栗原はるみ先生の「旨味醤油」が沁みてとても美味しく出来ました これもまた久しぶりにサッポロCLASSICを飲みました

 

     

 

         

 

「METライブビューイング アンコール2023」の上映スケジュールが発表されています 公式サイトによると、今年は東銀座の東劇で8月25日(金)から9月28日までの間に28演目がアンコール上映されます

 

     

 

上映演目とスケジュールは下のチラシの通りです

 

     

 

上演される作品を作曲家別に見ると、次の通りです

1.ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」「仮面舞踏会」「ルイザ・ミラー」「椿姫」「ファルスタッフ」

2.プッチーニ 「ラ・ボエーム」「トスカ」「トゥーランドット」

3.リヒャルト・シュトラウス 「サロメ」「カプリッチョ」「ばらの騎士」

4.モーツアルト 「皇帝ティートの慈悲」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」

5.テレンス・プランチャード 「Fire  Shut  Up in My  Bones」「チャンピオン」

6.マスネ 「タイス」「マノン」

7.ワーグナー 「パルシファル」「ローエングリン」

8.オッフェンバック 「ホフマン物語」

9.ロッシーニ 「アルミーダ」

10.ドニゼッティ 「ドン・パスクワーレ」

11.ベッリーニ 「ノルマ」

12.ヘンデル 「アグリッピーナ」

13.ゲルビー二 「メデア」

14.ケヴィン・プッツ 「めぐりあう時間たち」

15.ジョルダーノ 「フェドーラ」

上記の中で過去に観て歌手・演出ともに素晴らしかったのはヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」(2010ー2011シーズン)と「仮面舞踏会」(2012-2013シーズン)です 両方とも今は亡きディミトリ・ホヴォロストフスキーが出演しています

フランコ・ゼフィレッリの豪華絢爛の演出が素晴らしかったのはプッチーニ「ラ・ボエーム」(2013-2014シーズン)と「トゥーランドット」(2019-2020シーズン)です

好きな歌手で選ぶとすればエリーナ・ガランチャが出演するモーツアルト「皇帝ティートの慈悲」(2012-2013シーズン)です

好きな作品で選ぶとすればベッリーニ「ノルマ」(2017-2018シーズン)です

以上の演目を中心に、コンサートの日程と被らないようにスケジュールを組みたいと思います

 

         

 

中山七里著「ヒポクラテスの悔恨」(祥伝社文庫)を読み終わりました 中山七里は1961年岐阜県生まれ。2009年「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー 社会性に富んだ幅広いテーマを扱い、「中山七里は七人いる」と言われるほど数多くの著書を出している 本書は浦和医大法医学教室の教授・光崎藤次郎を主人公とする「ヒポクラテスの誓い」「ヒポクラテスの憂鬱」「ヒポクラテスの試練」に次ぐ、シリーズ第4弾です

 

     

 

浦和医大法医学教室の光崎藤次郎教授に宛てた「1人だけ殺す。絶対に自然死にしか見えないかたちで」という脅迫文がネットに書き込まれた 日本の解剖率の低さを訴えるテレビ番組での、「問題の9割はカネで解決できる」という光崎教授の発言が発端だった 光崎は書き込みの背景を気にする様子だったが、いつもの冷静さで解剖に当たる 一方、同医大助教の栂野真琴(つがの まこと)は、光崎の過去に犯人の手がかりを求める すると解剖をめぐってある人物と因縁があったことが判明する

本書は令和3年5月、祥伝社から刊行された作品に加筆修正を加えたものです 光崎教授の「モノを言えない亡骸の心の声を聞く」(死体は雄弁に語る)という姿勢が、弟子の栂野真琴に受け継がれているところが頼もしく感じます また、彼女と埼玉県警捜査一課の刑事・小手川和也とのコンビが微笑ましい 今回は途中で、「この人が犯人かも」と気がついて、「驚愕のどんでん返し」までの衝撃は受けませんでしたが、伏線は巧妙に張り巡らされています

巻末に「本書を刊行するにあたって、東京医科歯科大学法医学分野・上村公一教授に監修していただいた」旨が書かれていますが、法医学の分野に限らず、中山七里の作品は幅広く社会問題を扱っており、ミステリーの面白さに加え、各専門分野の知識も知ることが出来て参考になります

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”フライング拍手”論争 ~ ダウスゴー ✕ PMFオケによるブルックナー「交響曲第9番」の演奏をめぐって / 浅倉秋成著「六人の嘘つきな大学生」を読む ~ 就職試験をめぐるミステリー

2023年08月04日 06時53分45秒 | 日記

4日(金)。✕(ツイッター)上でコンサートにおける”フライング拍手” 論争が勃発しました 対象となったのは8月1日(火)19時からサントリーホールで開かれた「PMFオーケストラ東京公演」(指揮=トーマス・ダウスゴー)です 当日は①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」(Vn:金川真弓)と②ブルックナー「交響曲第9番ニ短調(第4楽章補筆完成版)」が演奏されましたが、ブルックナーの第4楽章の終結部で”フライング拍手”が起こったようです

発端となったのはTさんの次のツイートです(以下「X」でなく「ツイート」と表記します)

「ブルックナー九番のフィナーレ。終了後、指揮者のバトンが下りている途中で一番最初に拍手した御仁。なぜあと5秒待てない。本当にあと『たったの5秒だ』」

これに対し当該者のMさんが次のように投稿します

「わざとしました。指揮者のGPには”ウンザリ”だったのと、補筆版第4楽章にも・・・。不快に思われた方々もいらしたとは思いますし、大人げなかったとも思います。ただ、フラ むべなるかな?とのツイートも少なからず🐜〼 勿論、若い方々の演奏には をおしみません」

これについては別のMさんから「わざとしたら、いかんでしょ。」という投稿があり、Mさんは次のように返答しています

「反省しております。”ブーイング”にすべきでした。私は聴いておりませんが(すぐに退出しましたので)。少なからずあったようですね?」

また、0さんからは次のようなコメントが寄せられました

「大人げないどころではない。マナー違反だと思います。プログラムに記載されていることも多々あります。こういう人たちのせいでお金を払ってせっかく聴きに来た多くの人の余韻を台無しにします。すみません。強く言いすぎたかもしれません」

これに対しMさんは次のようにツイートします

「いいえ。ただ、余韻に浸る時間は”十分に”あったと思います。いわゆる”フラ拍”ではありません。なかなか指揮棒を降ろさないのは、私的にはデュダメル/ロスフィル/GM9以来の”長さ”で、その時も思いましたが(3月でしたので、”追悼”の意味をこめた、とか)、言葉は悪いですが”あざとい”」

また、Lさんは次のようにツイートしています

「ていうか、なんで3楽章終了時に拍手をしなかったのですか?4楽章に対する抗議ならそうすべきかと」

これに対しMさんは次のように返しています

「少しは期待がありました。”予習”は全くせずに臨みました」

また、Gさんは次のようにコメントしています

「余韻、長かったですね。消え入る終わり方じゃないわりには、長めでした。気に入らない演奏を早めの拍手するのならば、拍手をせずに席を立ってしまうというのも1つの手で、空気を壊さずに済むからなと。それを拍手で表現してしまうと、『気に入らないのをわかって~!』的になってしまいます」

Kさんは次のようにコメントしています

「音楽の受け止め方は人それぞれなので、余韻を楽しみたかった人もいることを踏まえると、ちょっと大人げないかなと私も思います。演奏の方は、色々問題はあったと思いますが、個人的には結構楽しみました」

別のKさんは次のようにコメントしています

「非常に幼稚で低劣な自己顕示ですね。常識ある人間は、そんなことは思っても実行に移しません。2千人余りの不特定多数の暗黙の了解で成り立っている演奏会場の静粛な環境を故意に損じることは音楽文化への攻撃と侮辱であり、もし追従者があれば、あなたも被害者になるやもしれません。自省を願います」

以上のほかにも、複数のツイートが投稿されていますが、とても追いきれません 上にご紹介した通り、ほとんどのツイートが当該者のMさんの行動に対し批判的な意見を寄せています 私も基本的には「指揮者の手が降ろされるまでは拍手をしない」のが常識だと思います Mさんも「反省しております」と書いていますが、まさかこれほど大きな反響を呼ぶとは思ってもみなかたったのではないかと推測します

ただ、Mさんの「余韻に浸る時間は”十分に”あったと思います。いわゆる”フラ拍”ではありません。なかなか指揮棒を降ろさないのは、私的にはデュダメル/ロスフィル/GM9以来の”長さ”で、その時も思いましたが(3月でしたので、”追悼”の意味をこめた、とか)、言葉は悪いですが”あざとい”」というコメントには一部、共感を覚えます 私も、いくつかのコンサートで、演奏が終わってもなかなか指揮者のタクトが降りず、「そこまで引っ張る必然性はどこにあるのか? あざとくないか!」と思いイライラしたことがあります 作曲家は最後の一音が鳴り終わった後のことについては楽譜上に何の指示も書いていませんから、タクトをいつ降ろすかは指揮者次第になります。これは宿命です 聴衆としては、指揮者のタクトが降ろされて初めて演奏が完結したと理解するしかないのではないか、と思います

ということでわが家に来てから今日で3125日目を迎え、ウクライナ南部オデーサ州へのロシア軍による攻撃をめぐり、ウクライナのクブラコウ副首相は2日、アフリカや中国、イスラエル向けの約4万トンの穀物が被害を受けたと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシア軍は 攻撃が世界中の食料事情に影響を与えることなど 微塵も考えていない

 

         

 

昨日、夕食に「茄子とピーマンの煮浸し」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「豆腐とオクラの味噌汁」を作りました 「煮浸し」は麺つゆを使ったので簡単で美味しく出来ました

 

     

 

         

 

浅倉秋成著「六人の嘘つきな大学生」(角川文庫)を読み終わりました 浅倉秋成は1989年生まれ。2012年に「ノワールレヴナント」で第13回講談社BOX新人賞Powersを受賞しデビュー 19年に発表した「教室が、ひとりになるまで」が第20回本格ミステリ大賞(小説部門)と第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編編集部門)にWノミネートされる 21年刊行の本書は2022年本屋大賞にノミネートされた

 

     

 

2011年。成長株のIT企業スピラリンクスの新卒採用の最終選考に残ったのは男4人、女2人の計6人の大学生だった 当初はグループディスカッションを実施し、内容次第で全員の内定もあると伝えられたため、6人は定期的に集まって対策を練っていた しかし東日本大震災の影響で、直前になって採用枠が「一つ」だけとなり、ディスカッションでは「6人の中で誰が最も内定に相応しいかを議論してほしい」という通達が出る 選考当日、主人公・波多野の提案で30分ごとに投票を行うことに決め2時間半のディスカッションが始まる すると開始早々に部屋の隅で不審な6通の封筒が見つかる そこには各自の「罪」が綴られた告発文が入っていた 内容や状況をみると会社側が用意したとは思えない ということは、部屋にいる6人の中にこれらの封筒を用意した”犯人”がいる いったい誰がやったのか?  最後に選ばれたのは誰か? そして、選ばれた者が真犯人なのか

本作では、選考過程の間に、後に行われた当時の人事部長や学生たちへのインタビューが挿入されています インタビュアーは最終的に内定を勝ち取り社員となっている人物ですが、名前は明かされていません

物語の後半は、その8年後の6人の様子が描かれています スピラリンクスに入社した人物が当時の人事部長や学生たちにインタビューすることになった経緯や、最終選考の真相が明かされていきます その過程で、最終選考の当日、誰知れず6通の封筒を部屋の隅に置いた人物が特定されますが、実は本人は封筒の中身が何なのかを知らず、ある人物から脅迫されて置いたことが明かされます それでは誰がなぜ封筒の中の告発文を書いたのか・・・最後にその真相が明らかになります

最初の段階では、6人はそれぞれ優秀な人物だと思いながら読み進めていきますが、封筒が発見され、告発文により次々と各自の過去の「罪」が明らかになると、6人に対する印象がガラッと変わります

物語の後半では、内定後に社員として働く人物が、社内で新卒採用試験の面接官を打診され、悩みながらも引き受ける様子も描かれています 著者が真犯人を通じて主張したかったのは、「採用する側は、きちんと本当に優秀な人物を選んでいるのか」ということです

私も採用試験の面接官を2度ほど務めたことがあるので、応募書類や限られた面接時間の中で、複数の候補者の中から採用者を選ぶのがいかに難しいかは理解できます はっきり言うと、「誰が最も採用するに相応しいかなど、誰にも判断できない」のです 実際に採用して、ある程度の期間 一緒に働いてみて初めて分かるものです

最近読んだミステリー小説の中で最も面白かった作品です いずれ映画化されるようなので、公開されたら是非観たいと思います

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出口大地 ✕ 清水和音 ✕ 東京フィルでチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」、ベルリオーズ「幻想交響曲」他を聴く ~ フェスタサマーミューザKAWASAKI

2023年08月03日 00時02分10秒 | 日記

3日(木)。わが家に来てから今日で3124日目を迎え、米連邦大陪審は1日、2021年1月6日の連邦議会占拠事件に関わった疑いでトランプ前大統領を起訴したが、米大統領経験者として初めて起訴された3月以降3度目となる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプさんおめでとう! 元米大統領で初の 刑事被告人ハットトリック達成です!

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「鯵を塩焼き」にして、「生野菜とアボカドのサラダ」と「山芋の味噌汁」を作り、「鯵のタタキ&マグロの刺身」と一緒にいただきました 鯵は大振りで脂が乗って美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「東京フィルハーモニー交響楽団 俊英マエストロ & 円熟のピアニスト ~ ドラマティック名曲集」を聴きました プログラムは①ハチャトゥリアン:組曲「仮面舞踏会」より「ワルツ」、②チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番 変ロ長調 作品23」、③ベルリオーズ「幻想交響曲 作品14」です 演奏は②のピアノ独奏=清水和音、管弦楽=東京フィル、指揮=出口大地です

出口大地は第17回ハチャトゥリアン国際コンクール指揮部門で日本人初の優勝 クーセヴィツキー国際指揮者コンクール最高位およびオーケストラ賞を受賞。東京フィル定期演奏会で日本デビューを果たしました

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東京フィルの並び。コンマスは依田真宣です

東京フィルはつい2日前にチョン・ミョンフンの指揮でヴェルディの歌劇「オテロ」を聴いたばかりです こんなに公演日程が詰まっていて、「働き方改革」が喧伝されるなか 問題ないのか ー と心配するには及びません 何しろ東京フィルは日本一の楽団員数(160名)を誇るオケなので、同日同時間帯にコンサートがあっても2手に分かれて演奏することが出来るのです ちなみに「オテロ」では近藤薫がコンマスを務めていました ヴィオラ首席には須田祥子がスタンバイします。チョン・ミョンフンの公演で降り版だったのが意外でしたが、こちらの公演を任せられていたのですね

1曲目はハチャトゥリアン:組曲「仮面舞踏会」より「ワルツ」です この曲はアルメニア人のアラム・ハチャトゥリアン(1903-1978)が1941年に作曲しました

出口が指揮台に上り演奏に入ります 「おやっ?」と思ったのは、タクトが左手に握られていたからです その瞬間、彼が東京フィルを振った日本デビュー公演を思い出しました。彼はサウスポーだったのです サウスポーの指揮者は世界でも珍しいのではないかと思います。私には名前を挙げることが出来ません

出口の指揮で演奏に入りますが、華麗にして退廃的な舞踏会の雰囲気が良く出ており、主人公の妻ニーナの死の予感が漂っていました

2曲目はチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番 変ロ長調 作品23」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1874年から翌75年にかけて作曲、1875年にボストンで初演されました 当初ニコライ・ルビンシテインに献呈するつもりでしたが、彼が「低俗」「陳腐」と酷評し初演を断ったため、ドイツのピアニストで指揮者のハンス・フォン・ビューローに初演を依頼し、彼に献呈されました 初演と言えば、彼の「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調」(1878年作曲)も当初、レオポルド・アウアーに初演を依頼したものの「演奏不可能」として拒否され、ブロツキーに依頼したという経緯があります チャイコフスキーの作品があまりにも伝統からかけ離れていて先進的だったがために、最初は受け入れられなかったというのが歴史的事実です しかし、真の名曲はいずれ音楽界で認められ、人口に膾炙するのも歴史的事実です

この曲は第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ・エ・モルト・マエストーソ」、第2楽章「アンダンティーノ・センプリーチェ」、第3楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の3楽章から成ります

清水は持ち前のパワフルな演奏を展開し、出口 ✕ 東京フィルがピタリとつけました

清水はラフマニノフ(ワイルド編)「何という苦しさ」をアンコールに演奏しました 酷暑続きの毎日を踏まえ、「何という暑苦しさ」の意味を込めたパロディーか

 

     

 

プログラム後半はベルリオーズ「幻想交響曲 作品14」です この曲はエクトル・ベルリオーズ(1803-1869)が1830年に作曲、同年パリで初演されました この曲はイギリスのシェイクスピア劇団の女優ハリエット・スミッソンへの熱烈な思慕を標題音楽として表現したものです 第1楽章「夢 ~ 情熱」、第2楽章「舞踏会」、第3楽章「野の風景」、第4楽章「断頭台への行進」、第5楽章「サバトの夜の夢」の5楽章から成ります

ステージ下手にはハープが2台スタンバイします

出口の指揮で第1楽章に入りますが、あらためて感じるのはヴァイオリン・セクションを中心とする弦楽器群の切れ味の良い美演です それは第2楽章のワルツに入ると一層際立ちます ハープの美しい音色が優雅に響きます 第3楽章は冒頭の、コーラングレ(イングリッシュホルン)とオーボエとの対話が素晴らしい オーボエはどこで吹いていたんだろう? 遠くから聴こえてきました 万行千秋のクラリネットが素晴らしい 第4楽章ではファゴットのキザミが堪りません。第2楽章のワルツと同様、大好きな音楽です また、弦楽セクションの渾身の演奏が印象的です 第5楽章では、下手の舞台裏で叩かれる教会の鐘に続き、テューバの重低音が鳴り響き、ホルンの重厚感溢れる演奏が続く終盤の演奏が素晴らしい 出口はテンポアップして楽員を煽り立て、アグレッシブな演奏で圧倒的なフィナーレを飾りました

全曲を聴き終わってあらためて驚くのは、この曲がベートーヴェンの「第九交響曲」の初演(1824年)からわずか6年後に世に出たという事実です

満場の拍手とブラボーの中 カーテンコールが繰り返され、出口 ✕ 東京フィルはハチャトゥリアン「仮面舞踏会」より「マズルカ」を華やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました

 

     

     

 

本公演をもって、7月25日から続いてきた9日間連続コンサートも終わりです マチネありソアレありで開催時間がまちまちだったので、反って疲れました まだまだ酷暑は続くので、今日は読書をして身体を休ませようと思います

フェスタサマーミューザはこの後、5日(土)=真夏のバッハ、6日(日)=新日本フィル、8日(火)=日本センチュリー、9日(水)=日本フィル、10日(木)=神奈川フィル、11日(金)東響フィナーレと続きます 熱中症にならないように気をつけて川崎通いを続けようと思います

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セバスティアン・ヴァイグレ ✕ 読売日響でベートーヴェン「交響曲第8番」、ワーグナー(デ・フリーヘル編)「ニーベルングの指環」~オーケストラル・アドヴェンチャーを聴く

2023年08月02日 00時06分07秒 | 日記

2日(水)。昨日午後、雷雨の後、豊島健康診査センターで肺がん検診(レントゲン)を受けてから、ミューザ川崎に向かいました 全国的には雨が降り過ぎて困っている地域が多いようですが、東京は久しぶりの雨で少し涼しくなりました

ということで、わが家に来てから今日で3123日目を迎え、刑事事件に直面するトランプ前米大統領やその仲間の弁護士費用がかさむ中、費用を負担するトランプ氏の政治活動委員会(PAC)が同氏を支援する特別政治活動委員会(スーパーPAC)に対し、以前寄贈した6000万ドル(約86臆円)の返還を求めていることが分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプは過去の悪事で 次々と起訴されてるから お金がいくらあっても足りない  

     

         

 

昨日、夕食に「牛バラカルビ焼き肉(塩だれ&醤油だれ)」「生野菜とアボカドのサラダ」「ブナピーの味噌汁」を作りました スタミナをつけないと毎日の酷暑を乗り切れませんから

 

     

 

         

 

昨夜、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「読売日本交響楽団 サマーミューザ初登場!オペラの名匠ヴァイグレ ✕ 指環」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「交響曲第8番 ヘ長調 作品93」、②ワーグナー(デ・フリーヘル編曲):楽劇「ニーベルングの指環」 ~ オーケストラル・アドヴェンチャーです 指揮はセバスティアン・ヴァイグレです

セバスティアン・ヴァイグレはベルリン生まれ。1982年からベルリン国立歌劇場の首席ホルン奏者を務めた後、指揮者に転向。バルセロナのリセウ大劇場の音楽総監督(2004年~2009年)、フランクフルト歌劇場の音楽総監督(2008年~2023年)を歴任し、2019年4月から読響第10代常任指揮者を務めています 他のオケの常任指揮者と違い、コロナ禍では何度も隔離期間を経て来日し、読響と充実した演奏を繰り広げ、オーケストラの楽員と聴衆の大きな信頼を勝ち取りました

     

     

     

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び コンマスは日下紗矢子、隣は林悠介というダブル・コンマス態勢を敷きます

1曲目はベートーヴェン「交響曲第8番 ヘ長調 作品93」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1811年から翌12年にかけて作曲、1813年にウィーンのルードルフ大公邸で私的に初演され、1814年にウィーンの大レドゥーテンザールで公開初演されました 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ」、第2楽章「アレグレット・スケルツァンド」、第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

ヴァイグレの指揮で第1楽章に入りますが、速めの快速テンポで進めます フリスト・ドブリノヴのフルート、荒木奏美のオーボエが素晴らしい 第2楽章はヴァイグレのユーモラスな音の表情づけが巧い 第3楽章では中盤の松坂隼のホルンと中館壮志のクラリネットのコラボが素晴らしい 第4楽章は弦楽セクションの渾身の演奏と、曲にアクセントを付ける固いマレットで叩かれるティンパニのリズム感が冴え渡っていました

 

     

 

プログラム後半はワーグナー(デ・フリーヘル編曲):楽劇「ニーベルングの指環」 ~ オーケストラル・アドヴェンチャーです 楽劇「ニーベルングの指環」はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が1853年から1874年にかけて作曲、1876年8月、自作の上演のために建設したバイロイト祝祭劇場の落成記念として初演した4部作(ラインの黄金、ワルキューレ、ジークフリート、神々の黄昏)から成る楽劇です 「オーケストラル・アドヴェンチャー」は1991年にオランダ放送フィルの打楽器奏者ヘンク・デ・フリーヘルが編曲し、翌1992年に初演されました 内容は「序夜+3夜」の約15時間にわたる4作品の場面を物語順に登場させ、1時間ほどの管弦楽作品にまとめた音楽となっています

全曲は次のような順で演奏されます ①前奏曲、②ラインの黄金、③ニーベルハイム、④ヴァルハラ、⑤ワルキューレたち、⑥魔の炎、⑦森のささやき、⑧ジークフリートの英雄的行為、⑨ブリュンヒルデの目覚め、⑩ジークフリートとブリュンヒルデ、⑪ジークフリートのラインへの旅、⑫ジークフリートの死、⑬葬送行進曲、⑭ブリュンヒルデの自己犠牲

オケは16型に拡大し、舞台下手にはハープが4台スタンバイします

ヴァイグレの指揮で第1曲「前奏曲」の演奏に入ります 冒頭、コントラバスとホルンを中心とする重心の低い音楽がゆったりと展開し、次第に明るさを増していきます この部分の”魅力”にどっぷり漬かるとワーグナー中毒になります 気をつけた方がよいと思います 「ワルキューレたち」は「ワルキューレの騎行」で名前が通っていますが、ワグナー・チューバを含むホルン・セクションを中心とする金管楽器群のド迫力の演奏が強く印象に残ります さらに「ジークフリートの英雄的行為」では松坂隼の独奏ホルンが朗々と会場を満たし、聴衆に大きな感銘を与えました 私が好きなのは「ジークフリートのラインへの旅」です この曲でもホルン、トロンボーンをはじめ金管楽器が大活躍しますが、「METライブビューイング」のテーマ音楽になっていて、この曲を聴くと「これからオペラが始まる」とワクワクするのです 「葬送行進曲」も素晴らしい曲です。いかにも英雄の死に相応しい雄大な葬送の音楽です ここでも分厚いブラスと渾身の弦楽セクションの演奏が光ります

ヴァイグレのタクトが降ろされると同時に、満場の拍手とブラボーの嵐がヴァイグレと読響を包み込みました

この日の演奏は、オペラ指揮者ヴァイグレのタクトにより、ドイツ音楽を読響のゴージャスなサウンドで存分に楽しめる絶好の機会となりました こういう演奏を聴くと、演奏会形式でもよいから「指環4部作」を上演してほしいと期待してしまいます

 

     

     

 

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