人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

池上彰著「新聞は考える武器になる」を読む ~ 「知る・考える・伝える」力を磨くのに役立ち、メディアの情報を読み解き フェイクやデマを見抜く力がつく

2023年08月08日 06時50分20秒 | 日記

8日(火)。昨日は映画を観に行く予定でしたが、本日から「フェスタサマーミューザ」の4日連続コンサートが控えているので、読書をして身体を休めました

世間のニュースによると、今日は「立秋」です。マジか  と言いたくなる猛暑が続きます   昨日で「暑中見舞い」は終わり、今日から「残暑見舞い」になります。マジか

ということで、わが家に来てから今日で3129日目を迎え、在ロシア中国大使館は4日、中央アジア・カザフスタン経由で訪ロを試みた中国人観光客5人がロシア連邦保安局国境警備隊に「4時間にわたる野蛮で過剰な聴取」を受け、入国を拒否されたとして、ロシア側に再発防止を求めたと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     野蛮で過剰な聴取は中国の専売特許じゃなかったんだね 同じ専制主義国家だもんね

 

         

 

昨日の夕食は、娘の大好物「お肉やわっやわっ鶏のガリチー煮」にパスタを和えました いつも娘は「ガリチー煮」を食べ終わってからパスタを茹でて食べていたので、一度に済ませようと言う魂胆です 鶏肉を半量にして、茹でたスパゲティを加えて和えました これならカロリー過多になる心配はありません とても美味しかったです

 

     

 

         

 

池上彰著「新聞は考える武器になる」(祥伝社黄金文庫)を読み終わりました 池上彰氏は1950年、長野県松本市生まれ。ジャーナリスト 慶応義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。1994年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍 2005年に独立した後は取材、執筆活動を続けながら、テレビ番組などでニュースを分かりやすく解説し、幅広い人気を得ている。名城大学教授、東京工業大学特命教授、立教大学客員教授など、11大学で教鞭をとっている。著書多数

 

     

 

本書は2019年11月、祥伝社から単行本「考える力と情報力が身につく  新聞の読み方」として刊行された作品を、加筆・修正のうえ第1章に掲載し、朝日新聞で連載した「池上彰の新聞ななめ読み」の2016年10月~2021年3月掲載分に編集・加筆したものを第2章以降に掲載し、文庫化したものです

本書は次の各章から構成されています

はじめに

第1章「子どもの頃から新聞好き。池上彰流読み方、活用術」

第2章「世の中を知るためにどう読んだいいのか?」

第3章「難しい話や専門用語をどのようにやさしく伝えるのか?」

第4章「新聞は『誰のためのものか』。報道は歴史になる」

第5章「新聞は事実を正確に伝えているか?」

第6章「どれも同じじゃない。読み比べて見えてくること」

第7章「新聞は読み方次第で考える武器になる」

第8章「埋もれた事実を掘り起こす」

第9章「同じニュースでも新聞社で違いがある」

おわりに

第1章で池上氏は「朝刊の文字数は約20万字で、新書2冊分の情報量に匹敵する。毎日、新書を2冊読むのは難しいが、新聞なら難なく読める。この情報を活かさない手はない」と主張します その上で、新聞は「知る」「考える」「伝える」力を磨くのに役立つとし、「メディアの情報を読み解き、フェイクやデマを見抜く力がつく」と解説します

池上氏は新聞の存在意義について次のように解説しています

「『ニュースはネットで見るから、新聞なんていらない 』と思うかもしれないが、ネットのニュースは新聞社(や放送、通信社)から提供されたニュースが基になっている そのニュースは記者が取材し、記事を執筆して初めて生まれる 新聞の存在意義の一つはこの『取材』にある

池上氏は「メディア・リテラシー」を備える必要性を説いています 「メディア・リテラシー」とは、メディアからの情報を読み解く、見極める能力のことで、「メディア・リテラシーを磨くには、さまざまなメディアに触れて、いろいろな視点、伝え方があることを知るのが大切だ」と主張します そのための一つの方法として「新聞の読み比べ」を勧めています 「新聞は客観報道を装っているが、実際には新聞によって伝え方は違っている 誤ったニュースに騙されないために、複数の新聞を読み比べるのがよい 1紙は保守系、1紙はリベラル系といったように、論調の異なる2紙を読むのがよい」と解説します。その上で、「大雑把にいえば、『朝日・毎日・東京』がリベラル・左、『読売・産経』が保守・右、真ん中に『日経』があるといった構図だろう」としています ちなみに私は40年以上、朝日と日経を定期購読しています

さらに、「かつて読売新聞は『反権力』色の濃い新聞だった 1950年代から60年代にかけて、社会部が大きな力を持っていたからだ しかし、今ではすっかり政権寄りの新聞とみなされている 政治部出身の渡辺恒雄氏が社内で力を持ったことが理由の一つだ」と解説します

第2章以降は、2007年から朝日新聞で掲載されてきたコラム「新聞ななめ読み」の中から主だった記事を抜粋したものです これは2007年4月に朝日新聞東京本社夕刊編集部から、「いろんな新聞を読み比べる論評を毎週執筆してほしい。何を書いても自由で、内容に関しては注文はつけない。朝日新聞の記事の批判も歓迎する」とオファーがあり、引き受けることにしたものです たくさんの新聞を読むためにざっと「ななめに読む」こともあるし、新聞記事を「斜に構えて」論評することもあるから、ということで付けたタイトルとのことです

私も読者としてリアルタイムでこのコラムを読んできましたが、最大のハイライトは2014年8月の朝日新聞の「誤報取り消し」をめぐる池上氏の批判記事不掲載事件です これは、朝日新聞が過去に掲載した「済州島で200人の若い朝鮮人女性を『狩り出した』という吉田証言」が虚偽であることを認め、これを報じた朝日の記事を取り消したという事実が基になっています 池上氏は「なぜ32年間も訂正しなかったのか、間違いを認めたら謝罪すべきではないか。検証すること自体は評価するが、遅きに失したのではないか」と批判するコラムの原稿を送ったところ、朝日の上層部が認めず、掲載されなかったのです そこで池上氏は「掲載するしないは新聞社の編集権の問題なので何も言わないが、信頼関係が崩れた以上、コラムの執筆は止めさせてもらう」と申し入れました これについて、池上氏は口外しませんでしたが、「週刊新潮」と「週刊文春」が報道した。朝日新聞社内の誰かが週刊誌に伝えたのだろう この事件をきっかけにライバル紙や週刊誌などから朝日新聞バッシングが始まった。朝日新聞の記者たちが実名でツイッターに自社の方針を批判する投稿を始めた こうしたことを背景に、朝日新聞は誤りを認め、コラムが掲載された この騒動は朝日の購読者数が大きく減るキッカケとなった 皮肉なことに、朝日タタキに走ったライバル紙も部数を減らした その後、朝日新聞は記事内容を社の内外の人たちがチェックするパブリックエディター制度を導入し、記事の訂正もどんどん掲載するようになった、とのことです

これを読んで思い出したのは、最近ツイッター(本当は X だけど)で見たあるツイートです そこには「朝日新聞の1月度ABC部数は380万部、読売新聞は653万部となっている」と書かれていました。これは衝撃でした ABC部数というのは日本ABC協会による「公称部数」です。私が新聞関係団体に勤務していた頃は朝日が840万部、読売が1000万部に達していました それに比べると朝日は55%の大幅減少、読売は35%の減少です とても信じられない部数減です しかし、これは朝日と読売だけの現象ではありません 全国の新聞が部数減に悩まされています なんとかこれ以上減らさないためにも、特に若い人たちに新聞を読んでほしいと思います 新聞ファンとしては本書がそのきっかけになれば嬉しいです

コメント
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