人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

クララ・シューマンを主人公とした音楽映画と伊藤恵のピアノ・リサイタル 「愛の調べ シネマ&リサイタル 伊藤恵 plays シューマン」を鑑賞する:浜離宮朝日ホール

2023年08月30日 00時01分26秒 | 日記

30日(水)。わが家に来てから今日で3151日目を迎え、ロシアのぺスコフ大統領報道官は29日、小型ジェット機の墜落で死亡したロシアの民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏の葬儀に、プーチン大統領は出席を予定していないと発表したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     汚れ仕事を押し付けて 最後には暗殺して葬儀にも出ない さすがは冷血漢プーチン!

 

         

 

昨日、夕食に「サーロインステーキ」を焼き、卵スープを作りました 野菜類はワンプレートに盛り付けて洗い物を少なくしました 上州牛はとても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日13時から浜離宮朝日ホールで「愛の調べ シネマ&リサイタル 伊藤恵 plays シューマン」を鑑賞しました 第1部=映画「愛の調べ」、第2部「伊藤恵 ピアノ・リサイタル」です

会場に着いて驚いたのは、女性客の比率が非常に高いことです 8対2くらいの割合で女性が多いように思いました

第1部の映画「愛の調べ」は作曲家ロベルト・シーマンの妻クララ・シューマンを主人公とした、クラレンス・ブラウン監督による1947年製作アメリカ映画(モノクロ・102分)です キャストは、クララ・シューマン=キャサリン・ヘプバーン、ロベルト・シューマン=ポール・ヘンリード、ブラームス=ロバート・ウォーカー、リスト=ヘンリー・ダニエルほかです

ストーリーは次の通りです

天才ピアニストとして名前を知られたクララ・ヴィーク(1819-1896)は、ピアノ教師の父フリードリヒ・ヴィークの反対を押し切って作曲家ロベルト・シューマン(1810-1856)と結婚する 8人もの子宝に恵まれたシューマン家だったが、彼の音楽はなかなか世に認められず、クララは生活費を得るためにコンサートを開き大成功する しかし、ロベルトの苦悩はさらに深まるばかりだった ロベルトの弟子として同居していたブラームス(1833-1897)は、一家の友人であったフランツ・リスト(1811-1886)の助力を頼み、ロベルトが心血を注いだ大作「ファウスト」の作曲者指揮による初演が実現する しかし、満員の聴衆の中、ロベルトには最後まで指揮を続ける力は残っていなかった クララは懸命に病の夫を支えるが、精神を病み死亡する その後、ブラームスはクララにプロポーズするが、彼女はロベルトの思い出と共に生きていくとして断る

 

     

 

冒頭はクララがリストの「ピアノ協奏曲第1番」を弾くシーンです この曲をはじめ本作で演奏されるピアノ曲はすべて巨匠アルトゥール・ルービンシュタインによる演奏吹替ですが、クララを演じるキャサリン・ヘプバーンの指使いを見ていると、本当に彼女が弾いているようにしか思えません キャサリン・ヘプバーンがピアノの心得があるのか、全くの演技なのか定かではありませんが、もし演技だとしたら「アカデミー賞のオスカーを4回受賞した唯一の俳優というのは伊達ではない」と言いたくなります これは劇中で弾かれるすべての曲について言えることです ところで、このシーンを見ていて「おやおや」と思ったシーンがあります。それは、クララがリストの協奏曲を弾いている間、譜めくりが座る位置に父親ヴィークが座っていて、演奏しているクララに「そこからクレッシェンド」とか指示を出していた場面です いくら何でも本番中、こんなことはあり得ないでしょう

映画の最後は、ロベルトの死後、彼の記念演奏会が開かれた際に、年老いたクララがロベルトの「ピアノ協奏曲 イ短調」を弾くシーンです 私はこの曲が大好きなので演奏を楽しみましたが、実際の演奏はウィリアム・スタインバーグ指揮MGMシンフォニー・オーケストラです 面白いと思ったのは、クララだけがステージ上でピアノを弾き、オケは手前のオーケストラ・ピットの中で演奏していたことです こういうスタイルは本当にあったのだろうか? ステージの狭さからするとあったかもしれないな、と思いました

以上のほか劇中で演奏されるのは、シューマンの「献呈」「謝肉祭」「トロイメライ」「森の情景」「アラベスク」「ピアノ五重奏曲 変ホ長調」、ブラームス「2つのラプソディト短調」「ハンガリアン舞曲」(ヴァイオリンで演奏)「子守歌」(同)「交響曲第1番」、「献呈」(リスト編曲)です このうち、シューマンの「献呈」は3回弾かれます 最初はロベルトがクララに弾いて聴かせる時、2回目はリストが華やかな技巧を凝らした編曲版を披露する時、そして、そのすぐ後でクララがリストの演奏について的確な批評を加えながら弾く時です 同じ曲を3人の奏者が演奏する”弾き分け”は、巨匠ルービンシュタインならではの妙技です

それにしても、ブラームスを演じた役者は若き日のブラームスの写真によく似ていました 密かにクララを愛し続けたブラームスは、クララの死の翌年(1897年)に彼女の後を追うように息を引き取りました

この映画はユーモラスな場面もあり予想以上に良く出来た作品で、十分に楽しめました

休憩時間には、予想通り女性用トイレに長蛇の列が出来ていました

 

     

 

第2部は「伊藤恵 ピアノ・リサイタル」です 演奏曲目は①シューマン「幻想小曲集 作品12」より「夕べに」「飛翔」「なぜに」「夜に」、②クララ・シューマン「4つの束の小品作品15」、③シューマン「ピアノ・ソナタ第3番 ヘ短調 作品14」より第3楽章(クララ・ヴィークのアンダンティーノによる変奏曲)、③ブラームス「6つの小品作品 118」より第1曲「インテルメッツォ イ短調」、第2曲「インテルメッツォ イ長調」、④シューマン「幻想曲 ハ長調 作品17」より第1楽章、⑤シューマン/リスト編「献呈」です

伊藤恵はザルツブルク・モーツアルテウム音楽大学、ハノーファー音楽大学で名教師ライグラフ氏に師事。1983年に第32回ミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ部門で日本人として初めて優勝 その後、国内外のオーケストラと共演。2018年にはジュネーヴ国際音楽コンクールの審査員を務めた 現在、東京藝大教授、桐朋学園大特任教授を務めています

全曲を通して聴いた感想としては、ブラームスの2曲の「インテルメッツォ」が凄く良かったと思います この曲は最晩年のブラームスがクララに捧げた作品ですが、哀愁溢れるメロディーがブラームスの心境を表しているようで、心に沁みました その後に演奏された「幻想曲ハ長調」第1楽章も情熱的な曲想で、傑作だと思います 最後の「献呈」を聴きながら、映画の3つのシーンを思い起こしていました あらためて伊藤恵の弾くシューマンとブラームスはすごくいいと思いました

演奏後、伊藤さんはマイクなしで次のように語りかけました

「10年ほど前に、今回と同じような企画をやりましたが、10年はあっという間でした 今回も、クララの作品と、彼女に影響を与えたロベルトやブラームスやリストの作品をプログラミングしました そもそもシューマンの曲に最初に興味を持ったのは、クララ・シューマンの伝記を読んでからです ロベルトの妻として、作曲家・ピアニストとして立派に生きた彼女にすごく憧れを抱きました 彼女を通してロベルトの作品が好きになりました

そして、アンコールに「トロイメライ」を演奏し、大きな拍手の中、コンサートを閉じました 終演は16時7分でした

作曲家の伝記映画とライブ演奏をミックスした試みは、これから増えていくのではないか、と思います

 

     

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