26日(土)。来年2月29日(木)7時15分から すみだトリフォニーホール(小)で開かれる新日本フィル「第164回 室内楽シリーズ ~ 弘田徹プロデュース編」のチケットを取りました プログラムは①吉松隆「3つの白い風景」、②デイヴィット・マスランカ「Out of This World」、③ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」他です 出演はチェロ=弘田徹、コントラバス=武田勉、フルート=野口みお、サックス=林田和之、パーカッション=山内創一朗、ハープ=高野麗音、ピアノ=高橋ドレミ、宮本正太郎です 高野麗音さんが出演するので取りました
ということで、わが家に来てから今日で3147日目を迎え、ドナルド・トランプ前米大統領は24日夜、ジョージア州フルトン群の拘置所に出頭し 逮捕され、指紋を採取され、大統領経験者として初めて刑事被告人として顔写真を撮影され、20万ドル(約2900万円)の保釈金を払って釈放されたが、記者団に「私は何も悪いことはしていない」と主張した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
多くの訴訟を起こされて「悪いことはしていない」とは 自覚症状欠如か認知症か?
昨日、夕食に「お肉やわっやわ鶏のガリチー煮+スパゲティ」を作りました 前回作った時に麺がスープを吸ってしまい少なくなったので、今回はスープを多めに作りました とても美味しかったです
昨日、池袋の新文芸坐で前田哲監督による2023年製作映画「ロストケア」(114分)を観ました
ある早朝、民家で老人と訪問介護センター所長の死体が発見された 死んだ所長が務める介護センターの介護士・斯波宗典(松山ケンイチ)が犯人として浮上するが、彼は介護家族からも慕われる心優しい青年だった 検事の大友秀美(長澤まさみ)は斯波が働く介護センターで老人の死亡率が異様に高いことを突き止める 取調室で斯波は多くの老人の命を奪ったことを認めるが、自分がした行為は「殺人」ではなく「救い」であると主張する 大友は事件の真相に迫る中で、心を大きく揺さぶられる
この映画は、葉真中顕の小説「ロスト・ケア」をもとに、前田哲が監督、龍居由佳里が前田監督と共同で脚本を手掛けた作品です
映画の冒頭、マタイ福音書7章12節の「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい」という言葉がクローズアップされます。これがこの映画のキーワードになります
尋問で、斯波は42人を殺したと自白しますが、実際に介護センターで亡くなったのは41人でした 大友が、斯波が介護士になる前の空白の3年4か月を調べると、脳梗塞の後遺症で独りでは生活できなくなった父親(柄本明)と同居して介護をしており、その後心不全で死亡していたことが判明します これについて尋問すると、「アルバイトをしながら介護していたが、父親が認知症になり、付ききりで世話をすることになったため生活保護の申請をした しかし、『あなたは働けるでしょう』として拒否された 本当に困窮しているのに生活保護さえ受けられない。この社会には穴がある。この穴に落ちたらなかなか抜けられず、頭がおかしくなってくる ある日、父親が自身の認知症を認め、自分も息子も苦しんでいる、頼むから殺してくれと言われた。数日後、入手した注射器とタバコのニコチンで父親に注射して死亡させた」と告白します つまり彼が殺したのは父親を含めて42人だったのです
「なぜ、父親の死後、他人の家族を殺すようになったのか」と尋ねる大友に、斯波は「ばれなかったからですよ」と答えます 介護士として働き始めた斯波は、かつての自分のように介護に疲弊している家族をたくさん目の当たりにしたことから、「自分が救ってほしかったように、彼らを救うべく」密かに殺人を続けてきたのです 自分の行為を正当化する斯波に対し、大友は「あなたに、他人の家族の絆の大切さが分かるわけがない 勝手に人の命を奪う権利などない」と糾弾します これに対し、斯波は「あなたは”安全地帯”にいるから、そんなことが言えるのだ」と反論します 大友は複雑な心境に陥ります。実は大友には、幼い頃に両親の離婚により生き別れた父親がいて、数週間前に電話があったのに忙しさにかまけて無視していたところ、後で孤独死していたという過去を抱えていました 大友は斯波を責めながらも、自分も同じようなものではないかと自覚するようになります 彼女の「世の中は見えるものと見えないものがあると言うけれど、見たいものと見たくないものがあるのかもしれない」という言葉が印象的です
斯波は裁判で、「家族の”絆”は”呪縛”でもある。自分のしたことは喪失の介護・ロストケアだ。殺したのではなく救ったのだ」と言い、自分の犯した罪は認め刑に服する覚悟はあるが、「自分のしたことは間違っていない」と主張します このシーンで、傍聴人も映画を観ている観客もおそらく「斯波の言うことも もっともだ」と同情することになりますが、傍聴席から、父親を殺された娘が「お父ちゃんを返せ! 人殺し」と叫び、退場させられます この時、斯波のお陰で苦しい介護から解放されて”救われた”と思う家族もいれば、殺されて”悲しく悔しい”思いをする家族もいるのだということを改めて認識することになります
この映画を観終わって頭に思い浮かべたのは2016年に発生した、神奈川県相模原市の知的障碍者施設で元職員が19人を刺殺した「やまゆり園」事件です しかし、この映画の原作の刊行は事件より以前の2013年です。この事件に触発されて書いたのではなく、頻発する介護施設でのトラブルや人手不足などの現状を踏まえて執筆したものと思われます
高齢化社会から、今や少子高齢社会に移りつつある日本の社会において、身近な問題として考えさせられるテーマを扱った作品です 主役の松山ケンイチと長澤まさみの迫真の演技が素晴らしかったです