「真夏のバッハⅧ ~ オルガンで聴くバッハ、チェンバロで聴くバッハ」を聴く ~ 「フェスタサマーミューザ」 / 「第195回名曲全集」のチケットを取る ~ サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」他
6日(日)。来年3月2日(土)14時からミューザ川崎シンフォニーホールで開かれる、ミューザ川崎&東京交響楽団「第195回名曲全集」のチケットを取りました プログラムは①ドビュッシー「小組曲」、②サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」、③同「交響曲第3番”オルガン付き”」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=MINAMI(吉田南)、③のオルガン演奏=大木麻里、管弦楽=東京交響楽団、指揮=ピエール・ブリューズです
これはMINAMIの演奏が聴きたくてチケットを取りました
ということで、わが家に来てから今日で3127日目を迎え、ロシアの裁判所は4日、反体制指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏に対し、過激派団体を創設した罪などで新たに懲役19年の判決を下した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
プーチン政権は彼の暗殺に失敗してるからね 一生牢獄に閉じ込めておくつもりだろ
昨夜、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023 」参加公演「真夏のバッハⅧ ~ オルガンで聴くバッハ、チェンバロで聴くバッハ」を聴きました オール・バッハ・プログラムで、①「トッカータとフーガ ニ短調 BWV565」、②コラール「装いせよ、汝我が魂よ」BWV654、③「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV1021」、④「イタリア協奏曲 BWV971」、⑤「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 BWV1004」から「シャコンヌ」、⑥「パッサカリア BWV582」、⑦「管弦楽組曲第3番 BWV1068」から「エア」(弦楽アンサンブル)、⑧「チェンバロ/オルガン協奏曲 ニ短調 BWV1052」(弦楽アンサンブル)です 演奏はパイプオルガン/チェンバロ=大塚直哉、ヴァイオリン=桐山建志、大西律子、ヴィオラ=吉田篤、チェロ=西沢央子、コントラバス=栗田涼子です
自席は1C8列32番、センターブロック右通路側席です 多くのバッハ・ファンが集まりました 約20年間 定期会員を継続していたバッハ・コレギウム・ジャパンの定期会員を辞めてしまったので、今回はバッハの音楽をまとめて聴く貴重な機会です
1曲目は「トッカータとフーガ ニ短調 BWV565」です バッハと言えばこの曲を思い浮かべるほど超有名な作品ですが、加藤浩子さんのプログラムノートによると「自筆譜がなく、伝承されている筆写譜の信憑性や、音楽のスタイルの観点から、偽作説が絶えない作品でもある」そうです。マジか この曲で思い出すのは、若さだけが取り柄のアホな大学時代に、大学近くの喫茶店「白十字」で、ドアを開けた途端に奥の方から自分をめがけて押し寄せてきた「トッカータとフーガ」の音の洪水です その時の演奏はストコフスキーによる管弦楽版によるものでしたが、バッハの音楽に圧倒された瞬間でした
大塚直哉が2階正面のパイプオルガン席に着き、演奏に入ります 冒頭の演奏を聴いて、「あれっ、ちょっと違うぞ」と思いました 彼は即興で装飾音を付けて演奏しているようです 少し違和感を感じましたが、考えてみればバッハの時代には即興演奏など 当たり前田のクラッカーだったわけで(古っ!)、これでいいのだ、と思い直しました その後も、あるいは即興演奏があったのかもしれませんが、私のつたない知識では分かりませんでした
2曲目はコラール「装いせよ、汝我が魂よ」BWV654です 「コラール」とは讃美歌のことですが、この曲は1739~42年頃に作曲されたと考えられています
バッハのコラールを聴くと、教会で懺悔をしているような気分になります 勘違いしないで下せえ おれはやっちゃいねえんだ。信じてくれ。刑事さん
3曲目は「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV1021」です バロック時代のソナタに用いられた「緩ー急ー緩ー急」の「教会ソナタ形式」で書かれています 第1楽章「アダージョ」、第2楽章「ヴィヴァーチェ」、第3楽章「ラルゴ」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります
ヴァイオリンの桐山、チェロの西沢、ポジティフ・オルガンの大塚により演奏されます 弦楽器はガット弦を張った古楽器を使用し、ピリオド奏法によりノン・ビブラートで演奏されるため、ソフトでピュアな音が楽しめます リード役の桐山が素晴らしく、チェロの西沢の演奏も冴えています それを大塚が通奏低音でしっかり支えます
4曲目は「イタリア協奏曲 BWV971」です 正式なタイトルは「イタリア趣味による協奏曲」です 第1楽章(テンポ指定なし)、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります 大塚がチェンバロを弾きます いきなりですが、ここで問題です
「チェンバロとハープシコードとクラブサンの違いを述べよ」
馴染みのメロディーを聴きながら、オルガンの豊かな響きに比べチェンバロは儚いくらい弱い音だな、と思いました ミューザのような2000人近く収容できるホールでは、ソロだから隅々まで聴こえるのであって、管弦楽の中では埋もれてしまいます 大塚は軽快な演奏で弾き切りました
問題の答え「同じ楽器である ドイツ語でチェンバロ、英語でハープシコード、フランス語でクラブサンという」
5曲目は「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 BWV1004 」から「シャコンヌ」です この曲は6曲から成る「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」のうち「パルティータ第2番」の最終楽章にあたる作品です 「シャコンヌ」は同一の音型を繰り返す変奏曲の一種で、冒頭の主題が34回変奏されます
桐山のヴァイオリン・ソロで演奏されます 桐山は確かな技巧の裏付けのもと、ノン・ビブラートによる透明感溢れる演奏を繰り広げ、「本当に1本のヴァイオリンで多声の音楽を奏でているのか」と驚かせました 完璧な演奏でした
プログラム後半の1曲目は「パッサカリア BWV582」です 「パッサカリア」は低音主題による変奏曲を指します
大塚が再びパイプオルガン席に着きます 大塚は 脚による低音の演奏と、両手による中高音の演奏の組み合わせにより、見事なフーガを繰り広げ、音の大伽藍を築き上げました
後半の2曲目は「管弦楽組曲第3番BWV1068」から第3楽章「エア」です この曲は「G線上のアリア」という名称で知られています 演奏はポジティフ・オルガン=大塚直哉、ヴァイオリン=桐山建志、大西律子、ヴィオラ=吉田篤、チェロ=西沢央子、コントラバス=栗田涼子です 大塚直哉、桐山建志、吉田篤、西沢央子、栗田涼子が東京藝大出身で、大西律子が国立音大出身です
古楽器特有のソフトで優しい音色による演奏が展開します オルガンともよくマッチしていました
最後の曲は「チェンバロ/オルガン協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052」です バッハはそれまで通奏低音として使われてきたチェンバロを主役に起用し、協奏曲の独奏楽器としました この曲はヴァイオリン協奏曲をチェンバロ用に編曲したものと考えられています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります
この曲は大塚のアイディアにより、弦楽合奏をバックに第1楽章がチェンバロで、第2楽章がポジティフ・オルガンで、第3楽章が大オルガンで演奏されます これは素晴らしい試みです
第1楽章の演奏に入りますが、やはり弦楽合奏の中ではチェンバロは埋もれてしまいます チェンバロの音をよく聴くことができるのはカデンツァです これはとても素晴らしい演奏でした 第2楽章は大塚はポジティフ・オルガンに移って演奏します ノン・ビブラートの弦楽合奏に支えられて抒情的な演奏が繰り広げられました
ここで、大塚はステージ奥の階段(普段はない)を上がり P席脇を登り、パイプオルガン席に着きました 一方、弦楽合奏のメンバーは、ステージ奥の丘(床が60~70センチほど高くなったスペース)に上りスタンバイしました その上で第3楽章が開始されました 演奏者が1階と2階に離れている上、オルガン奏者は後ろ向きになっているので、合わせるのが困難と思われましたが、両者は見事にマッチ、絶妙のアンサンブルを奏で、聴衆を魅了しました
満場の拍手に6人は、アンコールにバッハ「カンタータ第147番『心と口と行いと生活で』」から第10曲「主よ、人の望みの喜びよ」を演奏、再び大きな拍手に包まれました