8月1日(火)。日本全国津々浦々 今日から8月です 時間だけは平等です
ということで、わが家に来てから今日で3122日目を迎え、米実業家イーロン・マスク氏がツイッターのブランド名を「X」に変更したことに合わせてサンフランシスコ本社に設置した巨大なロゴ看板について、市当局や近隣住民から「明る過ぎる」「配慮のなさにはただ驚くばかりだ」などの苦情の声が出ている というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ツイッターのロゴ変更には異~論が出てるし 明る過ぎる看板も看板倒れになりそう
昨日、夕食に「豚の生姜焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「舞茸の味噌汁」を作りました 熱い夏は豚肉で栄養を取ると良いですね
昨夜、サントリーホールで東京フィル「第989回サントリー定期シリーズ」を聴きました プログラムはヴェルディ:歌劇「オテロ」(演奏会形式)です 出演は オテロ=グレゴリー・クンデ、デズデーモナ=小林厚子、イアーゴ=ダリボール・イェニス、ロドヴィーコ=相沢創、カッシオ=フランチェスコ・マルシーリア、エミーリア=中島郁子、ロデリーゴ=村上敏明、モンターノ=青山貴、伝令=タン・ジュンボ。合唱=新国立劇場合唱団、指揮=チョン・ミョンフンです
歌劇「オテロ」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)が1881年から86年にかけて作曲、1887年にミラノ・スカラ座で初演されました
ヴェネツィア共和国の将軍オテロは、若く美しい妻デズデーモナの不貞を疑い始める 旗手のイアーゴが、オテロを陥れるためにデズデーモナのハンカチをオテロの部下カッシオの家に密かに持ち込んだのだ 疑いを吹き込み、捏造した証拠で相手を信じ込ませるイアーゴの手口にまんまとはまったオテロは、デズデーモナを愛するがゆえに、疑念と嫉妬でがんじがらめになっていく 純真なデズデーモナは、自らの最期を予見して「柳の歌」を歌い、愛する夫オテロの手にかかって息絶える 侍女エミーリアから全てを明かされたオテロは絶望し自害する
オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東京フィルの並び。コンマスは近藤薫です P席には新国立劇場合唱団の男女コーラス・メンバー60人が市松模様配置でスタンバイします ステージ上には長椅子が左右に配置されているだけのシンプルな舞台です 歌手陣は基本的に、指揮者の両サイドのスペースで歌います
チョン・ミョンフンの指揮で第1幕が、荒れ狂う嵐のシーンで開始されます 東京フィルは、新国立オペラではオーケストラピットに入っているので、音の迫力には限界がありますが、この日は演奏会形式でステージの上に乗っているので迫力が違います それに新国立劇場合唱団の渾身のコーラスが加わり、圧倒的な演奏で一気に「オテロ」の世界に引きずり込みます これがチョン・ミョンフンの演奏スタイルです 劇中も、キビキビとした指揮により速めのテンポで演奏を進めます 驚くのは彼の前には譜面台がない。つまり、最初から最後まで暗譜で指揮をするのです 交響曲や管弦楽曲や協奏曲なら分かりますが、演奏会形式とはいえオペラ全曲を暗譜で指揮をするのはチョン・ミョンフンくらいしかいないでしょう すべてが頭に入っているので、何の迷いもなくオケに 歌手に 合唱に 的確な指示を出し、最高のパフォーマンスを引き出します
歌手陣は主役級を中心に世界レヴェルの歌手が揃いました
オテロを歌ったグレゴリー・クンデはアメリカ出身のテノールですが、オテロに成り切った演技力と安定した高度な歌唱力により聴衆を魅了しました 第2幕の終盤における妻への復讐を歌うイェニスとの二重唱は「これぞヴェルディ」と言いたくなるほど力強いデュオでした
デズデーモナを歌った小林厚子は東京藝大大学院出身のソプラノで、新国立オペラでも活躍していますが、第4幕冒頭の「柳の歌」をはじめ美しく張りのある歌唱で、演技力も申し分ありませんでした
イアーゴを歌ったダリボール・イェニスはスロヴァキア出身のバリトンですが、独特の深みのある声と、抜群の演技力で圧倒的な存在感を示しました 彼のイアーゴを聴くと、リヒャルト・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」が「オックス」というタイトルでも良かったと思うのと同様に、「オテロ」も「イアーゴ」というタイトルでも良かったのでは、と思ってしまいます
カッシオを歌ったフランチェスコ・マルシーリアはイタリア・ナポリ生まれのテノールですが、リリックな歌唱が印象的でした
エミーリアを歌った中島郁子は東京藝大大学院出身のソプラノですが、出番は少なかったものの、以前聴いた時より歌がかなり上達したと思いました
他の出演者も総じて大健闘でした また、新国立劇場合唱団も世界レヴェルのコーラスを聴かせてくれました
満場の拍手にカーテンコールが何度も繰り返され、ブラボーが飛び交い、スタンディングオベーションが見られました 歌手陣も、合唱も、オーケストラも全てが良かったですが、一番良かったのは類まれな統率力で彼らを束ねたチョン・ミョンフンでした