21日(木)。文京アカデミーのホームページによると、6月6日(土)15時から文京シビックホールで開催予定の「響きの森クラシック・シリーズVol72」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となりました 払い戻しについては後日HPで案内するとしています。また、トリトン・アーツ・ネットワークのホームページによると、6月20日(土)、22日(月)に第一生命ホールで開催予定の「トリトン晴れた海のオーケストラ『第九』公演」は中止となりました 現在、延期の方向で検討中とのことです
ということで、わが家に来てから今日で2059日目を迎え、東京高検検事長の黒川弘務氏が「ステイホーム週間」中の5月1日、産経新聞記者の自宅マンションで、朝日新聞社員らとともに賭けマージャンをやっていたことが「週刊文春」の取材でわかった というニュースを見て感想を述べるモコタロです
麻雀は典型的な3密ゲーム しかも賭けてたら賭博罪! 誰が文春に振り込んだ?
昨日、夕食に「ひき肉と野菜のドライカレー」を作りました 私の定番料理ですが、ヘルシーで美味しいです
ブルータス6月号(クラシック音楽特集)を読み終わりました 表紙に「クラシック音楽をはじめよう。ブルータス初めてのクラシック音楽入門」とあります 表紙の写真は、愛犬ニッキーと一緒にピアノに向かう紅顔の美少年グレン・グールド 15歳です 犬と少年のリサイタル、これを「ワン・マン・ショー」と言います。いえ、言いません 16ページにはその11年後、26歳の青年グールドがオケをバックにピアノを弾いています このページから79ページまでクラシック音楽入門特集が組まれています 全体を通して読んでみた印象は、「クラシック音楽入門」と名打ってはいるものの、かなりマニアックな内容になっているということです
63ページにわたる特集は次のような内容になっています
〇世界一のオーケストラはどこか ⇒ ベルリン・フィルとウィーン・フィルの紹介
〇まずは、何で選んだらいいか ⇒ 指揮者テオドール・クルレンティスとグスターボ・ドゥダメルの紹介
〇指揮者は大事か ⇒ 指揮者・山田和樹と沖澤のどかの対談
〇音楽は楽器で変わるか ⇒ ピリオド楽器(古楽器)の紹介
〇作曲家にはどんなに人がいるか ⇒ 作曲家31人の作品・エピソード等の紹介
〇ベートーヴェンはどこが凄いのか ⇒ 作曲家・阿部海太郎氏からみたベートーヴェンの偉大さ
〇なぜグレン・グールドが人気があるのか ⇒ コンサートを拒否し録音に専念したグールドの魅力とディスクを紹介
〇どの演奏も全部同じに聴こえないか ⇒ 違う指揮者と演奏家による名曲聴き比べ(10曲)
〇アドリブしてもいいのか ⇒ ジャズ作曲家・挟間美帆によるジャズとクラシックの相違点
〇オペラもクラシックか ⇒ 作曲家・藤倉大によるオペラ制作と作曲家の役割
〇最近の曲も「クラシック」とはどういうことか ⇒ バッハから現代までの流れが分かる相関図
〇決まり事ばかりか ⇒ インディペンデントな現代音楽の紹介
〇若くてイケてる演奏家はだれ ⇒ 原田慶太楼、反田恭平、荒木奏美、日橋辰朗、吉田誠、上野耕平ほか
〇音のいいホールは何がいいのか ⇒ 音響設計家・豊田泰久、ヴァイオリニスト・篠崎史紀、音楽ジャーナリスト・林田直樹による鼎談
〇映画で取り上げられているクラシック音楽 ⇒ 自作でクラシックを使う園子温監督が選ぶ映画
〇本に取り上げられているクラシック音楽 ⇒ 小説家・平野啓一郎が選ぶクラシックをテーマとする書籍
〇レコードやCD以外で聴くクラシック ⇒ サブスクリプション、デジタル配信など
〇クラシック通27人が選ぶ「マイ・クラシック」~個人的なテーマで選ぶ3曲、全81曲の紹介
〇アンドラーシュ・シフに作家・川上未映子が「芸術と愛と理解について」インタビュー
〇川上未映子「2020年の春の夜に起きたこと」~シフのリサイタルを聴いた感想
特集を読んで興味があったのは、大好きな映画監督・園子温氏が選んだ「映画音楽として使われてきたクラシック」の紹介です 園氏は自身の作品「愛のむき出し」「冷たい熱帯魚」「恋の罪」「ヒミズ」などでクラシック音楽を使っています 園氏は次のように語っています
「僕が自作にクラシックをよく使うのは、小さい頃から実家でベートーヴェンやヴィヴァルディのレコードを、ポップスやロックと同じような感覚で聴いてきたというのが大きい 単純に好きなんです。だから、仮の音楽をつけながら編集するときも、ついついクラシックに手が伸びるんです それに多くのクラシックは劇中で流すと、壮大な雰囲気が醸し出されて、シーンのスケール感を倍増させる効果もある ロックにもその手の曲はありますが、僕が使いたい外国の楽曲は権利料が高すぎて手が届きませんからね」
その上で、クラシックの使い方がとりわけ上手い監督としてスタンリー・キューブリックを挙げています 具体的には「2001年宇宙の旅」におけるリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」、「時計じかけのオレンジ」におけるベートーヴェンの「第九」、「アイズ・ワイド・シャット」におけるショスタコーヴィチの「ワルツ第2番」です このほか、ファスビンダー監督「13回の新月のある年に」におけるマーラーの「交響曲第5番」第4楽章「アダージェット」、スコセッシ監督「レイジング・ブル」におけるマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲をはじめ6作品を挙げています
もう一つ、読んでいて とても共感を覚えたのは、特集の最後を飾る川上未映子「2020年の春の夜に起きたこと」~3月19日に開催されたアンドラーシュ・シフのピアノ・リサイタルを聴いた感想~です 彼女は次のように書いています
「演奏を聴くとは不思議なことだなといつも思う。音が鳴らされている瞬間の連なりをつかむことはけっしてできず、そこで何が起きたのかを理解しようとするときには、それはすでに終わっているのである 胸に残ったあれこれを表現しようとしても、それがどんな手段であれ、けっきょくは比喩でしかないのだといつも思い知ることになる でも、たとえば数式であれ文章であれ感情であれ法則であれ、何かを表現しようとするときに、それが比喩でなかったことが一度としてあっただろうか 指し示したい当のものはつねに宙に浮かんだまま。すべては言葉にならないものをめぐる比喩として存在しているーシフの演奏を聴くと、いつもそのことを思う」
これほど、音楽を聴くことについての正直な告白はないのではないか、と思うほど、私が普段考えていることを的確に表現しています 同じ芸術でも、絵画はいつまでも目の前にあって消えることがないけれど、音楽は時間とともに流れ消えていってしまいます そこに、言葉や文章で表現することの難しさがあります
最後に(蛇足ですが)24ページにクルレンティス指揮ムジカ・エテルナの来日公演(昨年)の様子が写真で紹介されていますが、客席の最前列ど真ん中に、ワイシャツに吊りズボンがトレードマークのサスペンダー爺さんがしっかり写っているではありませんか 新型コロナウイルスの影響でコンサートの中止が相次ぐなか、唯一のメリットは、あの”自己顕示欲の塊り”の爺さんの姿を見なくても済むということでした まさかブルータスに登場しているとは想定外でした。「ブルータスよ お前もか」と叫びたくなりました