人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

芸術関係者に最大150万円 ~ 政府の第2次補正予算案 / 芸術への保護厚い欧州~フランス、ドイツ、イタリアの施策 / 加藤浩子著「オペラで楽しむヨーロッパ史」を読む

2020年05月28日 07時15分54秒 | 日記

28日(木)。わが家に来てから今日で2066日目を迎え、米国では新型コロナウイルスの感染拡大で、投票所に直接行かずに投票できる「郵便投票」への関心が高まっているが、トランプ米大統領が26日、「郵便受けが盗難に遭うだろうし、投票用紙は偽造され、違法なプリントアウトさえされ、不正署名されるだろう」とツイートしたことに対し、ツイッター社はこのツイートの下の部分に「!  郵便投票についての事実を知って」という警告のリンクをつけた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     感染リスクなど何とも思っていないトランプにとって投票所での投票が当たり前

 

         

 

昨日、夕食に「ポークカレー」と「生野菜サラダ」を作りました カレーは時々食べたくなります。お酒はワインですね

 

     

 

         

 

昨日の朝日新聞朝刊 国際面に「芸術は『産業』 保護厚い欧州 ~ 仏   劇団員救済 来夏まで手当、独  中止公演 報酬1部支払い」という見出しの記事が載っていました   超訳すると、

「欧州各国では新型コロナウイルスの影響を受けた文化・芸術活動に対し、政府が手厚い支援をしている 観光客を呼び込み、雇用も支える一大産業を守らねば、今後の経済に大きな打撃があることも背景にある フランスでは、文化・芸術関連の雇用は130万人に及ぶ。映画や演劇関連の経済効果は445億ユーロ(約5兆2千億円)に上る 行動規制の緩和が始まっているが、映画館や劇場は閉鎖されたままで、関係者の苦境は続く そうした中、フランス政府は今月、芸術分野で働く人への救済策を発表した。パリ郊外が拠点の劇団『グランテアトル』を営むエルザ・ロビンヌさんは1日50ユーロ(約5900円)の手当てを来夏まで受け取れる見通しになったという 一方、ドイツではメルケル首相が9日の演説で『文化的催しは私たちの生活にとってこのうえなく重要だ」と語り、文化や芸術を通して『私たちは過去をよりよく理解し、未来に全く新しい眼差しを向けられる』とし、『文化的環境を維持することが政府の優先順位の一番上にある』と語った ドイツでは、美術館や博物館には年間約1億1400万人が訪れ、オペラなどの公演には約3500万人が足を運ぶ。政府は音楽や映画、芸術、芸能などを『文化・創造産業』と定義。産業規模は1005億ユーロ(約11兆8600億円)に上る 約170万人が『文化・創造』に携わり、その約45%がフリーランスや自営業者だ。ドイツ政府は3月下旬、総額500億ユーロ(約5兆9千億円)の中小企業支援策をまとめ、芸術関係者らも対象としたが、4月末には、政府が資金援助する文化機関の公演に出るはずだったフリーランスの出演者への報酬のうち、40~60%を支払うことを決めた 州によっては個別に追加の芸術支援策も打ち出している。また、イタリアでも支援策に舞台などの中止による損害を救済する基金約2億ユーロ(約290億円)を盛り込んだ ただ、文化芸術団体からは、不十分だという声が上がる コンテ首相は支援について『私たちを楽しませてくれる芸術家のことも忘れてはいけない』と発言、著名な芸術家らが『文化芸術を軽視している』と反発した

それぞれが文化・芸術分野において歴史と伝統を誇る国々ですが、国のトップがどのように考えているかが具体的な支援策に表れていると思います 新型コロナウイルスへの全般的な対応にしても、文化・芸術家支援にしても、ドイツのメルケル首相の発言には重みがあります。こういう人がトップなら、多少の我慢を強いられても国民はついて行こうと思うでしょう

 

         

 

一方、日本はどうでしょうか 昨日の朝日新聞第1面に「芸術関係者に最大150万円  2次補正案  支援総額560億円規模」という見出しの記事が載りました 超訳すると、

「政府は26日、新型コロナウイルスに対応する第2次補正予算案に、文化芸術・スポーツ関係者や団体に対して、活動の継続や再開などを支援するために、総額560億円規模の新たな支援策を盛り込む方針を固めた 個人に対しては、最大で150万円を支援する方針。2月末に政府が大規模イベント開催の自粛を呼びかけてから、演劇や音楽会などが相次いで中止や延期に追い込まれており、関係者や与野党内からより踏み込んだ公的支援を求める声が高まっていた 関係者によると、活動の継続や稽古、公演準備、感染予防対策などに対し、個人や小規模事業者に最大で150万円を支援する 中・小規模事業者については文化芸術分野に限り、さらに増額した支援メニューを用意する。第1次補正で盛り込んだ収益力強化に取り組む団体への支援事業も拡充し、総額で約560億円とする見通しだ。芸能や音楽、映画など21団体でつくる文化芸術推進フォーラムによると、2月26日に政府が大規模イベントの自粛を要請してから3週間だけで約5600回の公演が中止され、損失は推計で約522億円にのぼる 緊急事態宣言の解除後も『新しい生活様式』に沿った感染症対策が必要とされ、採算面でもコロナ前にすぐ戻ることは難しいとみられる

これまでの支援策があまりにも的外れでお寒い内容だっただけに、やっとここまできたか という感じがします   ただ、アベノマスクにしても一連の助成金にしても、決めたは良いが、実行が遅々として進まないきらいがあります 安倍首相は「躊躇なく」「積極果敢に」「間髪を入れず」「一気呵成に」など言葉では勇ましく「やってる感」満載なのですが、いざ実行となると「ほふく前進」になってしまいます 「可及的速やかに」実行に移してほしいと思います

 

         

 

加藤浩子著「オペラで楽しむヨーロッパ史」(平凡社新書)を読み終わりました 加藤浩子は東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒、同大学院修了(音楽史専攻)。著書多数あり。音楽ツアーの企画・同行も行う 私にとっては、新国立オペラのプログラム冊子に掲載される「解説」でお馴染みの人です

 

     

 

著者は「はじめに」で次のように書いています

「オペラには、作品が生まれた時代が反映されている。モーツアルトもヴェルディもワーグナーもプッチーニも、多かれ少なかれ時代を投影した作品を書いた 『フィガロの結婚』も『魔笛』も『ニュルンベルクのマイスタージンガー』も『蝶々夫人』も『火刑台上のジャンヌダルク』も『マクベス』も、『時代』がなければ生まれ得なかった作品だ 『時代』を読めば、作品に託された別の面が見えてくる。登場人物も時代背景も、別の色を帯びて生き生きと動き始める

そして、主要な作曲家と作品を、次のような章立てにより、それぞれの時代背景の中で語って行きます

第1章「モーツアルト『三大オペラ』とフランス革命」~「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」

第2章「ヴェルディとイタリア統一」~「建国の父という神話」

第3章「ドイツ統一とワーグナーのオペラ」~「タンホイザー」「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

第4章「ジャポニスムが行き着いた『幻想の日本』」~「蝶々夫人」への道

第5章「時代の写し絵となったフランスの国民的ヒロイン~ジャンヌ・ダルクとオペラ

第6章「シェイクスピアと歴史とオペラと」~「マクベス」「ハムレット」

例によって、読み進めるうちに「ドッグイヤー」だらけになってしまいました 気にかかる箇所があるとそのページの片隅を折る癖は治りません フランス革命前夜の空気を音楽に遺したモーツアルト、イタリア統一運動とヴェルディとの関り、ドイツ統一運動とワーグナーとの関り、19世紀終わりのヨーロッパを席巻したジャポニスム、フランス史上最も有名な女性ジャンヌ・ダルクの物語・・・どれもが面白く知らないことだらけで参考になりました とくにジャンヌ・ダルクについてはオネゲルの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」しか知らなかった(しかも聴いたことがない)のですが、フランス人にとってはマリー・アントワネットよりも誇りに思っているヒロインであり、リアルのジャンヌが如何に若いながらも波瀾万丈の生涯を過ごしたのかがよく分かりました

ところで、加藤さんは2015年に「オペラでわかるヨーロッパ史」という本(平凡社新書)を刊行していますが、それから5年しか経たないのに なぜ同じようなタイトルの「オペラで楽しむヨーロッパ史」を刊行したのかの理由を「あとがき」に書いています

「これは、革命の音楽だ。2014年の秋、テオドール・クルレンティスが指揮する『フィガロの結婚』のCDを聴いた瞬間、『フィガロの結婚』という作品を取り囲む景色が一変した    嵐のように沸き起こる序曲。大胆な強弱やロックンロールのようなリズム感。あっと驚くような装飾やおびただしい即興。巻き込まれ、圧倒されているうちに、『時代』が見えた フランス革命という時代が。『フィガロの結婚』が革命直前に書かれたこと、特にボーマルシェの原作がフランス革命の空気を反映していることは頭では理解していたつもりだが、クルレンティスの演奏を聴いて腑に落ちた。さらにクルレンティスが『フィガロの結婚』について語った言葉を読んで頷いた 彼は決して奇をてらっているわけではなく、モーツアルトの自筆譜をくまなく研究し、前後数世紀の演奏法を実践した結果、このような刺激的な演奏にたどり着いたのだ 本書『オペラで楽しむヨーロッパ史』の直接の出発点は、そこにある。あの時、モーツアルトの三大オペラを『フランス革命』という視点から見直したいという考え方が芽生えたのだった

こういう風に書かれたら、クルレンティス指揮ムジカエテルナによるモーツアルト「フィガロの結婚」のCDを聴かざるを得ないではないですか 以前から気になっていたCDなので、6月に入ったら新宿のタワーレコードに行って(5月末まで営業自粛中)買い求めようと思います

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