人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラ,ヴェルディ「椿姫」を観る~屈指のヴィオレッタ=ベルナルダ・ボブロ

2015年05月11日 07時01分05秒 | 日記

11日(月).わが家に来てから214日目を迎え,白ウサちゃんから蓄財状況を尋ねられ,返答につまっているモコタロです 

 

          

           いくら貯まった?って訊かれても きのう始めたばかりだしなぁ

 

   閑話休題  

 

昨日,初台の新国立劇場でヴェルディの歌劇「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」を観ました 新国立劇場の「椿姫」は2002年,2004年,2008年,2011年に続いて今回が5回目の公演になりますが,前回までがルーカ・ロンコーニによる演出だったのに対し,今回はヴァンサン・ブザールによる新制作です 私は過去3回は観ていると思います

キャストは,ヴィオレッタにベルナルダ・ポブロ,アルフレードにアントニオ・ポーリ,ジェルモンにアルフレード・ダザ,フローラに山下牧子,ガストン子爵に小原啓楼ほかで,指揮はイヴ・アベル,管弦楽は東京フィルハーモニー交響楽団です

 

          

 

物語はーパリの高級娼婦ヴィオレッタは,富豪の息子アルフレードから求愛されるが,ためらう しかし真摯な愛に心を開く.二人は郊外の田舎家で暮らし始めるが,アルフレードはヴィオレッタが自らの財産を処分して生活費を捻出していたことも知らない.そんな中,アルフレードが不在中,彼の父ジェルモンがヴィオレッタを訪ね,自分の娘の縁談のためにも息子と別れてくれと頼みこむ ヴィオレッタは涙を呑んで身を引く決意をする.これを彼女の裏切り行為だと捉えたアルフレードは夜会で彼女を罵倒する しかし,やがてそれが誤解であることが分かった時にはすでに遅く,再会を喜んだヴィオレッタは肺炎が悪化し,ベッドの中で愛するアルフレードの腕に抱かれて息絶える

 

          

 

カナダ出身のイヴ・アベルの指揮で悲しい序曲が始まります.数あるオペラの序曲の中でもこれほど悲しい序曲はないでしょう 幕には「マリー・デュプレシここに眠る」というフランス語が浮かび上がります.このオペラの主人公のモデルになった実在の人物の名前です これから始まるオペラは彼女の短い生涯を描いた物語であることを暗示しています

幕が開き,ヴィオレッタと夜会に参加する人々が登場します.女性に関しては一人として同じ衣装を着けている人はいません 間もなく有名な「乾杯の歌」の合唱が始まります 舞台は床と左側の壁が鏡張りになっていて,人々の姿と影が映ります.中央には古いピアノが1台置かれ,その上にワイングラスがピラミッド状に積まれています それ以外に舞台に存在する物はありません.極めてシンプルな舞台です ちょっと気になるのは,舞台の右側がオーケストラ・ピットの方に三角形にせり出していることです.これはどういう意味があるのか・・・・それは最後の最後に分かります

ところで,演出家による「プロダクション・ノート」によると,このピアノはこのオペラが作られた19世紀に製作されたピアノだということです 19世紀と現代を繋ぐ象徴的なアイテムとして全ての幕に登場します

ヴィオレッタ役のベルナルダ・ボブロはスロベニア生まれのソプラノですが,このオペラのタイトル・ロールは11年にシュトゥットガルト歌劇場,12年に英国ロイヤルオペラで演じ,賞賛を浴びているとのことです 最初,舞台に登場した時は,あまりにも整いすぎた顔に無機質な感じを受けましたが,歌を歌い,演じるのを観ているうちに人間味のある表情が見て取れるようになりました 歌は文句なし,とにかく美しい歌声で,人を感動させる力を持っています ヴェルディはこのオペラのヒロインを「優雅な容姿で,若く,情熱的に歌うソプラノ」であることを求めましたが,その意味でボブロは最適任者であると言えるでしょう 第1幕の「ああ,そはかの人か~花から花へ」,第2幕の,ジェルモンとの二重唱,第3幕の「さようなら,過ぎた日よ」,アルフレードとの二重唱「パリを離れて」・・・いずれも感動的に歌い上げました これまで何度か聴いてきたヴィオレッタの中でも屈指のヒロイン役です

アルフレード役のアントニオ・ポーリはイタリア生まれのテノールですが,最近では英国ロイヤルオペラなどで歌っているそうです.歌は文句なしなので,いま一歩,より演技が上手になると完璧だと思います

ジェルモン役のアルフレード・ダザはメキシコ生まれのバリトンですが,ベルリン州立歌劇場のファースト・バリトンとして活躍しているとのことです 最初聴いた時は,ちょっともごもごしていて何を歌っているのかよくわからない感じだったのですが,歌に力があり,次第に説得力を持って迫ってきました

この公演でもう一つ特筆すべきことは,イヴ・アベル指揮東京フィルによる演奏です.序曲はもちろんのこと,アリアの伴奏にしても,オーケストラ自らが歌い,嘆き,泣いていました

 

          

 

演出上よく分からなかったのは,第2幕パリ郊外の田舎家のシーンです.空には何故か白いパラソルが浮かんでいます.あのパラソルは何を意味しているのか.さっぱり分かりません

さて,第3幕ではピアノがベッド代わりになっており,ヴィオレッタがピアノの上で寝ています.「そこまでやるか」と思いましたが,演出家の意図があるのでしょう また,舞台の手前側のヴィオレッタと,舞台の奥のスペースとの間は薄いレースのような膜で隔てられ,直接ヴィオレッタと他の人物とが触れ合えないようになっています.あたかも,幕の向こう側はヴィオレッタの手の届かない夢の世界であるかのようです

演出家のヴァンサン・ブサールはプロダクション・ノートに次のように書いています

「『椿姫』には表社会,裏社会,現実の社会と夢の世界という相反する二つの世界の間に生じる問題が描かれています それは,現代にも通じる非常に重要な問題です.西洋の女性にしろ日本やアジアの女性にしろ,いずれも男性社会の中で生きているという共通項があります.男性社会の中で負けたくない,存在を認めてほしい,男性社会を見返したい,という思いは共通して持っているのではないでしょうか 物語の核にあるテーマは,時代や国を超えて今の女性たちすべてに共通するものだと思います.日本の観客の皆さんにこうしたテーマを感じ取ってもらえたらありがたいですし,またそのために私は,今回のプロダクションをつくりあげたのです

演出家の意図が明確に現われていたのがこのオペラの最後の場面です これまでのオーソドックスな演出では,ヴィオレッタはアルフレードの腕に抱かれて息を引き取ります.しかし,ブサールの演出では,ヴィオレッタとアルフレードの間は薄い膜で隔たられているのです.それではヴィオレッタはどういう結末を迎えたのか・・・それが今回のプロダクションで一番主張したかったテーマだったのではないかと思います 何故,舞台の一部がオーケストラ・ピット側にせり出しているのか・・・ここでその意図が明確に分かります これからこのプロダクションでご覧になる方のため,より具体的に書くと楽しみが減ってしまうのでこれ以上書けないのが残念です 

いずれにしても,ブサールは「椿姫」の演出に新しい局面を切り開いたと言えるのではないでしょうか

 

          

 

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飯守泰次郎+東京シティ・フィルでブルックナー「交響曲第8番ハ短調」を聴く

2015年05月10日 09時41分57秒 | 日記

10日(日).わが家に来てから213日目を迎え,蓄財に励むモコタロです 

 

          

           10万円貯めて世界一周旅行に行くんだ~い・・・・行ける?

 

  閑話休題  

 

5月の連休中に開かれた「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2015」で配られた「来場者アンケートにご協力のお願い」↓のお知らせにあったURLにアクセスしたら,LFJのホームページの「来場者アンケートご協力のお願い」の画面が出てきました しかし,アンケートのフォーマットはどこにも見当たりません お願いしておきながら回答方法を示さないとは「人をおちょくっているのか」と怒り心頭になっていたところ,LFJ事務局からメルマガでアンケート依頼が届きました そこにあったURLをクリックすると今度はちゃんと回答フォーマットが現われたので,質問項目に沿って回答していきました.よく見ると同じURLなのにどうして片方はダメだったのか不思議です.どうもbitというのが曲者のようですが,よく分かりません

 

          

 

最後に自由に感想を書く欄があったので,次の2つのことを書いておきました 

一つは2日午後6時半からホールAで開かれたベートーヴェン「交響曲第3番」の公演(公演番号115)です.第2楽章の演奏中に気分を悪くしたお客さんが倒れた際に,会場内の係員の対応が遅かったというものです 結局,一般客2人がその人を担いで運んでいきましたが,本来は係員がやるべきことでしょう ボランティアの皆さんの活躍はよく理解しているつもりです.むしろ主催者側に緊急時の対応策を考えておいて欲しいと思います

もう一つは3日午後8時半からホールAで開かれたバッハ「ヨハネ受難曲」公演(公演番号216)です.配布されたプログラム表にソリストの名前が載っていないのはおかしいと思ったことです ソリスト達はローザンヌ声楽アンサンブルのメンバーだったと思われますが,それでも大曲「ヨハネ受難曲」のソリストなのですから,名前くらいは載せるべきでしょう

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,東京オペラシティコンサートホールで飯守泰次郎指揮東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団のコンサートを聴きました これは同フィルの第289回定期演奏会で,ブルックナーの「交響曲第8番ハ短調」(ノヴァーク版第2稿 1890年)が演奏されました

 

          

 

開演に先立って,1時25分から指揮者・飯守泰次郎氏によるプレ・トークがありました 東京シティ・フィル指揮研究員の横山奏氏が聴き手となりインタビューしました.飯守氏はブルックナーについて,

「彼はジャガイモのような顔をしていて,修道院の僧侶の着るような地味な衣装を身に付け,礼儀を知らず,ひどい訛りで話し,自作の長大な交響曲を短くカットするように求められれば『はい,はい』と言って応じるような素直な人でした 彼はそうした性格から『聖なる野人』と呼ばれました.彼はまず教会のオルガ二ストであり,次に作曲家でした.彼が最初に作曲したのは40歳の時でした

そして,ピアノを弾きながら交響曲第8番について第1楽章から順に曲の解説に入って行きます

「ブルックナーの交響曲には特徴があります.出だしの部分は弦のトレモロで始まります.”ブルックナー開始”です また,曲がクライマックスを迎えると,次の瞬間にオケ全体が急に止まって静かになる”ブルックナー休止”があります.これは彼がオルガ二ストだったことに起因します.オルガンの休止です.また曲の中には”ブルックナー・リズム”が登場します 第8番のフィナーレは,通常は上昇形で終わり,勝利宣言をするのですが,この8番は下降形で終わっています.ブルックナーならではの凄いところです

当初プレ・トークに何分費やすのか決めていたと思いますが,飯森氏の「あれも紹介したい,これも話しておきたい」という気持ちが強く,終わったのは開演時間の5分前だったので,まるまる30分間プレ・トークをやっていたことになります その結果,開演時間が10分遅れ2時10分になりました

開演直前,左サイドにスタンバイする2人のハープ奏者が練習しています.すると,「ドン」という何かが倒れるような大きな音が聞こえてきました.どこで何が起こったのかまったく分かりません 1階席も,2階席も,聴衆が「いったい何が起きたのか??」とキョロキョロしています すると,オケの関係者らしき人が舞台に現われ,ちょうどハープ奏者の前あたりの床に落ちていた化粧ポーチほどの大きさのかなり重そうな物体を取り上げ,真上の2階バルコニー席の客と話し始めました.どうも,2階の客がバルコニーの前のスペースにその物体を置いたところ,そこが斜めに傾いていることから滑って落下したというのが実態のようでした その後,いつものアナウンスに加え「物を落とさないようにご注意ください」という異例のアナウンスが入りました.その後,楽員が配置に着きましたが,落下した所はホルン奏者のすぐ近くでした.もし本番中だったら大混乱だったでしょう へたをすると「ハート直撃」の代わりに「頭直撃」になるところでした

2階のバルコニー席から物が落ちてくることはよくあることです 多いのはコンサートのプログラムやチラシが舞って落ちてくるケースです.チラシだったら紙一重 ですから怪我もしないでしょうが,今回のような物体は大けがの元になりかねません バルコニー席がある会場では,事前に必ず「前のスペースに物を置かないよう」に注意していますが,それでもこうしたうっかり者が絶えないのが現状です コンサート中に救急車を要請しなくても済むようにお互い気を付けましょう

 

          

 

自席は1階14列4番,左ブロック左から4つ目です.会場は1階後方にかなり空きが目立ちます 「飯守泰次郎のブルックナーでもこれか」とちょと寂しい気持ちです コンマス・戸澤哲夫の合図でチューニングが行われ,桂冠名誉指揮者の登場を待ちます

飯守泰次郎が登場,第1楽章の演奏に入ります.プレ・トークでの話の通り『ブルックナー開始』で始まります そしてスケールの大きな音楽が展開していきます.飯守+東京シティ・フィルの演奏を聴くのはいつ以来か思い出せないほどかなり前のことですが,弦楽器がかなり厚みを増しているな,と感じました メンバーも何人か変わっているのだろうか? 第2楽章は『ブルックナー・リズム』全開の音楽です そして第3楽章の長大なアダージョに移ります.この楽章だけで,モーツアルトの後期の交響曲1曲がすっぽり収まってしまう長さです 私は,前夜の「飲んでカラオケ 」の影響と,この曲のあまりの心地よさが相まって,いつしか舟を漕いでしまいました いけない,いけない

しかし,第4楽章は冒頭の力強い行進曲風の音楽に,否が応でも目が覚めます 咆哮する管楽器 うねる弦楽器 ハートを直撃するティンパ二の連打 ブルックナーの交響曲の集大成のフィナーレを迎えます

残念だったのは最後の音が鳴り終るや否や,「ブラボー」がかかったことです つられて別の「ブラボー」がかかり,拍手が湧きましたが,まだ指揮者のタクトは下りていませんでした クラシック音楽を生で聴く醍醐味は最後の音が鳴り終った直後の一瞬の”しじま”にあることを考えると,明らかにフライングです 指揮者のタクトが下りないうちに「ブラボー」をかけたり拍手をしたりするのは,演奏する側に対しても失礼だし,感動に浸りたい聴衆にとっても興ざめで迷惑な行為です クラシックを聴く際のマナーとして控えたいものです

 

          

 

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伊坂幸太郎著「夜の国のクーパー」を読むクーパーとは何者?

2015年05月09日 07時29分29秒 | 日記

9日(土)。わが家に来てから212日目を迎え,けんか相手の白ウサちゃんをなだめるモコタロです 

 

          

               ねえねえ そろそろ機嫌なおして 遊ぼうよ

 

  閑話休題  

 

伊坂幸太郎著「夜の国のクーパー」(創元推理文庫)を読み終わりました 伊坂幸太郎の作品は文庫化すると必ず買います.彼は1971年千葉県生まれ.2000年に「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビューしました その後は,書いた作品が次々と文学界の賞を受賞し並々ならぬ実力を見せつけました.現在,仙台在住

 

          

 

この本の語り手は1匹の猫”トム君” と一人の40歳の男性公務員の”私”  ”私”が見覚えのない土地で目を覚ますと”猫”に話しかけられる.それがトム君で,「ぼくが住む国では,いろいろなことが起きて,8年間の戦争が終わったんだ」と話し始める 話によると,トム君が住む町では,周囲に高い外壁が外敵から町を守るためにめぐらされており,年に1度はその年に発生するクーパーという生き物を倒すべく数名を「クーパーの兵士」として選んで谷へと送り込んでいた 退治方法は分かっているが,クーパーを倒した時にまき散らされる体液を浴びた人間の身体は透明になってしまうと言われている 果たしてクーパーとは何者なのか?奇想天外な話の結末は???

人間に話しかけるネコがいたかと思うと,ネコに話かけるネズミが出てきます 本能でネズミを追いかけるネコに対して,ネズミが条件闘争に持ち込もうとするところなど,伊坂幸太郎ならではの展開です 444ページの大作ですが,あっという間に読み終わってしまいました.文句なしの面白小説としてお薦めします

 

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近藤史恵著「ヴァン・ショーをあなたに」を読む~フランス料理を巡るミステリー

2015年05月08日 07時02分24秒 | 日記

8日(金).わが家に来てから211日目を迎え,おとなしそうな顔をして風船を狙っているモコタロです 

 

          

           風船 また噛みたいなぁ あの感触がたまんないんだよな

 

  閑話休題  

 

トッパンホールクラブのレギュラー会員会費3,000円を振り込みました.これはもともとルノー・カプソン+ユジャ・ワンのコンサート・チケットを会員優先販売で確保するため会員になったもので,今回が2年目になります 狙いは10月1日~4日のハーゲン・クァルテットのモーツアルト「後期弦楽四重奏曲+クラリネット五重奏曲ツィクルス」のチケット確保です 2年前の「ベートーヴェン弦楽四重奏曲ツィクルス」は会員先行発売で完売になっていたため涙を呑んで諦めたのです.会員になっていれば席の良しあしはともかくチケットは入手できるでしょう

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

近藤史恵著「ヴァン・ショーをあなたに」(創元推理文庫)を読み終わりました これは先日このブログでご紹介した「タルト・タタンの夢」の第2弾とでも言うべき作品です 下町の小さなフレンチ・レストラン「ビストロ・パ・マル」を舞台に料理にまつわるちょっとした事件を変人シェフの三舟が解決していきます

 

          

 

収録作品は次の通りです

「錆びないスキレット」・・・田上家のスキレットはなぜすぐ錆びるのか?猫がカギを握るって?

「憂さ晴らしのビストゥ」・・・・ベジタリアンに提供するフレンチに関するシェフの矜持の話です

「ブーランジェリーのメロンパン」...女性パン職人はなぜ開店直前に失踪したのか?という話

「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」・・・・来店するたびに同じブイヤベースばかり注文する女性の正体は?

ここまではお店側からの視点で書かれていますが,「氷姫」と「天空の泉」の2作品は客の物語になっています

そして最後の作品は,この本のタイトルにもなっている「ヴァン・ショーをあなたに」です ヴァン・ショーというのはシェフお手製のホットワインですが,若き日の三舟シェフがいかにして独特のヴァン・ショーの味を手に入れたのか,その秘密も明かされています

それにつけても,近藤史恵という人は,相当”フレンチ通”ですね フランス料理はもちろん,ワインから食材に関する知識まで半端ではありません.こういう本を読むと,たまにはフレンチでも食べてみようかと思わされます ただ,前にも書いたように,フランス料理はバターをふんだんに使用するので,ワタシ的に本音を言えば健康上は控えた方が良いのです

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「世界最高のクラシック」「死のドレスを花婿に」「王国」「迷宮」「日本語が亡びるとき」他を買う

2015年05月07日 07時01分21秒 | 日記

7日(木).連休中の3日間連続コンサート通いと,飲んでカラオケ”放歌哄笑”が原因で非常に疲れたので,昨日は主に大人しく家で過ごしました 朝,娘が慌てて飛び起きてきて「いけない,今日は約束があるんだった」と言って,イチゴを3粒食べただけでそそくさと出かけて行きました そのため,夕食メニューの餃子作りは私と息子の仕事として残されました 皮にひき肉などの具を包む作業自体は何度かやった経験があるので,下ごしらえが分かればそれほど難しいことではありません.娘から具の作り方のレシピをメールで送ってもらい息子と餃子作りに励みました.ひき肉とニラを入れるのは知っていましたが,小ネギと小松菜も入れるのは初めて知りました 結果,70個ほど作ったので,帰って来た娘が約半分焼いて,残りを冷凍保存しました 「餃子にはやっぱりビールだよね」ということでビールを飲みながら食べました ということで,わが家に来てから210日目を迎え,相変わらず風船を食べるモコタロです 

 

          

           別に食べてる訳じゃないよ 噛むのが心地よいんだべさ

 

  閑話休題  

 

本を7冊買いました 最初の1冊は東川篤也著「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」(文春文庫)です 東川篤也の作品は文庫化すると必ず買っています.ユーモア・ミステリー小説というジャンルがあるなら,その筆頭の著者による作品です

 

          

 

2冊目は許光俊著「世界最高のクラシック」(光文社文庫)です 目次を見る限り「歴代の世界最高レヴェルの指揮者による世界最高レヴェルの演奏」を紹介した本です.これはすごく楽しみです

 

          

 

3冊目は中村文則著「王国」(河出文庫)です 中村文則は,世界中で翻訳され絶賛された「掏摸(スリ)」で一躍有名になった若手の小説家です

 

          

 

4冊目は同じく中村文則著「迷宮」(河出文庫)です

 

          

 

5冊目はピエール・ルメートル著「死のドレスを花婿に」(文春文庫)です ルメートルと言えば「その女アレックス」を読んだときの衝撃が忘れられません.あの作品の「原点」というのが出版社の売り文句です

 

          

 

6冊目は水村美苗著「増補 日本語が亡びるとき」(ちくま文庫)です これは,かなり前に当ビルのテナントのSさんから飲み会の席で紹介された本で,文庫化するのを待っていた作品です 巻末に著者が「文庫版によせて」を46ページにもわたって書かれているので,これから読むつもりです

 

          

 

7冊目は串田孫一著「考えることについて」(徳間文庫カレッジ)です 目次には「考えることについて」「疑うことについて」「幸福について」「不安について」など45項目ほどのテーマが取り上げられています 普段ろくに考えることのない私などは,この本を読んで自らの人生を振り返ることも必要かな,と思って買いました

 

          

 

いずれも当ブログでご紹介していきます

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近藤史恵著「タルト・タタンの夢」を読む~中途半端な数のチョコレートの詰め合わせを売るのは何故?

2015年05月06日 10時42分08秒 | 日記

6日(火・休).昨日は休日にも関わらず何の予定もなかったので,夕方から都内某所で友人と待ち合わせて,夕食のあとカラオケ を歌ってきました.気が付いたら23時を回っていて,酔いも回っていました と言う訳で,わが家に来てから209日目を迎え,またお気に入りの袋に入って下界を眺めるモコタロです 

 

          

          ご主人はカラオケ行ったのか 精密採点でなくてよかったな        

 

  閑話休題  

 

近藤史恵著「タルト・タタンの夢」(創元推理文庫)を読み終わりました この本は朝日新聞の書評欄で紹介されていたものです.近藤史恵は1969年大阪市生まれ.大阪芸術大学文芸学部卒.2008年に「サクリファイス」で第10回大藪春彦賞を受賞し一躍脚光を浴びました

これは,ある商店街にある小さなフレンチ・レストラン『ビストロ・パ・マル』を舞台に,シェフ(料理長)の三舟忍,副料理長の志村洋二,ソムリエの金子ゆき,ギャルソンの高築智行の4人のスタッフと来客者たちとの間で起こった小さな事件や不可解な出来事の謎を,普段は無口な三舟シェフが解いていくという筋立てです

 

          

 

常連の西田さんはなぜ体調を崩したのか?フランス人の恋人はなぜ最低のカスレを作ったのか?などフランス料理にまつわるテーマで謎解きを展開していきます.連作短編集と言ってもよいでしょう

タイトルを見ると,「タルト・タタンの夢」,「ロニョン・ド・ヴォーの決意」,「ガレット・デ・ロワの秘密」,「オッソ・イラティをめぐる不和」,「理不尽な酔っぱらい」,「ぬけがらのカスレ」,「割り切れないチョコレート」といった具合で,ほとんど,フランス料理を知らないと理解できないように思いますが,そこは何とか読んでいるとそれとなく分かってきます

読んでみて一番印象に残ったのは最後の「割り切れないチョコレート」です.あるチョコレート専門店は超人気店ですが,なぜか箱に入ったチョコレートの数は2,3,5,7,11,13,17,19,23,29と中途半端な数なのです 感が良い人はすぐに気が付くはずですが,「素数」です つまり,1とその数以外の数では割り切れない数のことです.それでは,なぜその店では「素数」の個数入りのチョコレートばかり売っているのか・・・・その理由を知った時,ちょっとした感動を覚えます

普段フランス料理を食べる習慣はないのですが(バターを大量に使うので),こういう本を読むとたまにはフランス料理を食べてみたいと思ったりします.これは読書の効用でしょうか,悪影響でしょうか

 

  閑話休題  

 

2日から4日までのラ・フォル・ジュルネ音楽祭で,スマホで写メしておきながら当ブログでご紹介できなかった写真を掲載しておきます

 

          

 

          

 

          

 

                                       

 

          

          

 

          

 

          

          

 

          

    

          

         

 

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「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭第3日目②」~5月4日のリポートその2

2015年05月05日 10時32分04秒 | 日記

5日(火・祝)その2.よい子は「その1」から見てね 「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」第3日目(4日)の後半3公演について書きます

 

          

 

午後4時から東京国際フォーラム・ホールB7で開かれた「恋する作曲家たち~シューマンの愛妻に捧げる五重奏」(公演番号324)を聴きました プログラムは①ショパン「ピアノ・ソナタ第2番」、②シューマン「ピアノ五重奏曲変ホ長調」。演奏はピアノ=ベアトリ―チェ・ラナ、アルデオ弦楽四重奏団です

自席は9列14番,左ブロック右通路側席です.会場はほぼ満席 拍手の中,ラナが上が黒,下が銀のラメ入り衣装で登場,ピアノに向かいます.1曲目のショパン「ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調」は「葬送」という愛称が付いています.これは第3楽章の葬送行進曲に因みます ラナは最弱音から最強音まで落差の大きいダイナミックな演奏を展開します この曲は4つの楽章から成りますが,ラナは楽章間を空けることなく続けて演奏します.圧巻は第4楽章「プレスト」.地下で何かが蠢いているかと思うと,最後に爆発します.スケールの大きい演奏でした

 

          

 

2曲目は前日シューベルトの弦楽五重奏曲を演奏した女性グループ,アルデオ弦楽四重奏団にラナが加わり,シューマン「ピアノ五重奏曲変ホ長調」が演奏されます.この曲はシューマンがクララと結婚した2年後に作曲した傑作です ヴァイオリンの二人が前日と入れ替わり,東洋人の女性が第1ヴァイオリンを務めます

チューニングが行われますが,かなり念密にやっていると思ったら,第1ヴァイオリンから一人一人順番にやっていました ピアノのラナは若干手持無沙汰な感じです.やっと調弦が完了して第1楽章「アレグロ・ブリランテ」に入ります ラナを含めて5人とも力が入っていますが,とくに第1ヴァイオリン奏者が腰を浮かせて全精力を傾けて弾いているのが印象的です この曲はどの楽章も情熱的な曲想ですが,例えば第2楽章などは弦楽奏者同士のバトルのような様相を呈しており,「ほとばしる情熱」を感じます 3楽章「スケルツォ」が終了すると会場から拍手が起こりましたが,「この熱演では楽章間の拍手も無理もないかな」とさえ思いました 終演後は会場一杯の拍手とブラボーです

 

          

 

次に午後6時半からホールAで開かれた「パシオンの邂逅から3台のピアノがつなぐバッハと現代」(公演番号315)を聴きましてた プログラムは①ドゥカイ「上弦の月のライオンの井戸ー赤ー」(日本初演)、②バッハ「2台のピアノのための協奏曲第1番」、③ドゥカイ「儚さと永遠~笑顔の裏の涙」(日本初演)、④バッハ「3台のピアノのための協奏曲第1番」、⑤バッハ(ドゥカイ編)「コラール前奏曲”最愛のイエスは、私たちは”」(世界初演),⑥バッハ「3台のピアノのための協奏曲」です 演奏はピアノ=デジュー・ラーンキ、フュロップ・ラーンキ、エディト・クルコン(3人は親子)、バックを務めるのはアンドラ―シュ・ケラー指揮コンチェルト・ブタペストです

ステージには蓋を取ったピアノが3台,鍵盤が見える形で設置されています.ステージに登場したコンチェルト・ブタペストは15人の弦楽奏者から成る音楽集団ですが,立って演奏します 指揮者のケラーとラーンキ夫妻が登場します.位置的にはピアノと弦楽奏者の間に指揮台が置かれているという状態です

 

          

 

1曲目はドゥカイの「上弦の月のライオンの井戸ー赤ー2台のピアノのための声のポエジー」ですが,ドゥカイは1950年生まれのハンガリーの作曲家です.タイトルの意味はよく分かりませんが,まさに「ポエジー」という意味が込められた静かな曲です 日本初演ということです.短い曲が終わると指揮者とオケのメンバーが立ち上がり,2人をソリストにバッハの「2台のピアノのための協奏曲第1番」を演奏します

バッハのコンチェルトを聴いていていつも思うのは,まるでジャズだ,ということです もちろんバッハの方が先なので,ジャズがバッハを採り入れたのですが,脳に心地よい振動を与える音楽です

ここで息子のヒュロップが登場,3人でドゥカイ「儚さと永遠ー笑顔の裏の涙ー3台のピアノのための2つのカノン:J.S.バッハの思い出に」が演奏されます.この曲もタイトルの意味はよく分かりませんが,静かな曲です.この曲も日本初演

続いてオケが加わってバッハ「3台のピアノのための協奏曲第1番」が演奏されます.前日の「ヨハネ受難曲」を思い起こすと,バッハという人は実に多面的な音楽を作った人だったのだな,とあらためて感心し,その無尽蔵な才能に驚きます

次にバッハ(ドゥカイ編)「コラール前奏曲”最愛のイエスは,私たちは」が3人のソリストによって演奏されます.3つの楽章から成りますが,第1楽章は”輝く楽章”とでも言うような明るい曲,第2楽章は静かな”アダージョ楽章”,第3楽章は再び”輝く楽章”です.これは世界初演

最後はバッハの「3台のピアノのための協奏曲第2番」がオケとともに演奏されました この日のプログラムは普段のコンサートではあまり聴く機会のない「3台のピアノによる協奏曲」がまとめて聴ける絶好のチャンスでしたが,ドゥカイの『静』とバッハの『動』との絶妙な組み合わせによるコンサートでした

最後にソリスト達に促され作曲者のドゥカイが会場から呼ばれ,カーテン・コールに加わりました.日本初演,世界初演に立ち会うことが出来て聴衆の一人として嬉しく思います

 

          

 

今年最後の公演は午後9時からホールAで開かれた「L.F.Jの大団円を飾るパシオンの饗宴」(公演番号316)です プログラムは①プッチーニ:オペラ「ジャンニ・スキッキ」より『私のお父さん』,②同:オペラ「ラ・ボエーム」より『私の名前はミミ』,③ドニゼッティ:オペラ「愛の妙薬」より『人知れぬ涙』,④ヴェルディ:オペラ「ラ・トラヴィアータ」より『乾杯の歌』,⑤グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」、⑥マルケス「タンソン第2番」です 出演はソプラノ=アマンダ・パピアン、テノール=アキレス・マチャド、ピアノ=ユリアンナ・アヴデーエワ、ロベルト・トレヴィーノ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

ソプラノのアマンダ・パビアンとテノールのアレッサンドロ・リベラトーレによるプッチーニとヴェルディの「愛の二重唱」は,第1日目(2日)の「ルネ・マルタンの”ハート直撃コンサート”」で歌われ,会場の大喝采を浴びましたが,あの時の再演です 二人の歌唱を一言で言えば,「オーケストラの音を超えて会場に響き渡る最強のソプラノ,テノール」です.この日の二人も絶好調で,会場の大喝采を浴びました

次いで,グリーグの「ピアノ協奏曲イ短調」が,2010年のショパン国際コンクールの優勝者ユリアンナ・アヴデーエワの独奏により演奏されます 彼女の優勝は1965年のマルタ・アルゲリッチの優勝以来,女性では45年ぶりの快挙でした 彼女の演奏は生のコンサートで何度か聴きましたが,鋭いタッチとしなやかな抒情性に満ちた演奏です 第2楽章のアダージョで美しい弱音を聴かせたかと思うと,第3楽章のアレグロでは激しい感情の発露を見せ,聴衆の心を鷲づかみします 鳴り止まない拍手にショパンのワルツ(?曲名を思い出せない)を鮮やかに演奏,拍手の嵐を巻き起こしました

アヴデーエワが舞台袖に戻り,代わりに4人の男性スタッフがピアノを片付けるために現われると,次のプログラムの出演者と勘違いした聴衆から大きな拍手が湧き,事実に気が付くと嘲笑に変わりました.よくあることです

今年度のLFJ最後のプログラムはメキシコの作曲家マルケスの「ダンソン第2番」です.キューバやベネズエラなど中米エリアの民族舞曲をアレンジした曲で,管弦楽,打楽器が総動員の賑やかな曲です

トレヴィーノ+シンフォニア・ヴァルソヴィアは情熱的な演奏を展開,会場を興奮の坩堝に巻き込みました これが最終公演,当然アンコールがあります.再びパビアン,リベラトーレが登場し「乾杯の歌」を最強音で歌い上げ,聴衆の手拍子も誘い出して,またしても会場の温度を上げました それでも鳴り止まない拍手に,オケだけでブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」を民族色豊かに演奏し,止めを刺しました

プログラム上は午後10時終了となっていましたが,実際の終演は10時半を回っていました

長いようで短かった私のLFJ音楽祭もこれで終わり.一抹の寂しさを感じます 3日間で聴いた18公演のすべてを,睡眠時間を切り詰めながら,遅くとも翌朝にはブログにアップ出来たことは良い思い出になるでしょう

例年通り,今年のLFJの思い出に公式CD「PASSIONS~ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015」(2枚組・1,500円)を購入しました アヴデーエワの演奏も入っています.まだ連休が残っているのでゆっくり聴きながらこの3日間を振り返りたいと思います

 

          

          

          

 

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「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭第3日目①」~5月4日のリポートその1

2015年05月05日 01時46分16秒 | 日記

5日(火・祝)。わが家に来てから208日目を迎え,白ウサちゃんを従えるモコタロです 

 

          

             いったい どっちが偉いんだか・・・・・おせーて!

 

  閑話休題  

 

「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015」第3日目(4日)に聴いた6公演のうち前半の3公演について書きます

 

          

 

最初に午前10時半から東京国際フォーラム・G409で開かれた「あふれる想い~バッハの最愛の兄との別れ」(公演番号361)を聴きました プログラムは①バッハ「3声のシンフォニアより第11番」、②同「カプリッチョ変ロ長調”最愛の兄の旅立ちにあたって”BWV797」、③モーツアルト「ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331”トルコ行進曲付き”」。演奏はピアノ:クレール=マリ・ルゲです

LFJ音楽祭に通って10年目になりますが,初めてガラス塔の4階会議室G409で聴きました 153席と少人数収容のため抽選に当たらないと聴けないのです 自席は3列25番,センター右ブロック右から2つ入った席です.会場はほぼ満席 グランド・ピアノを3方から囲むように客席が設置されています

濃紺のビロードの半そでと黒のパンツ姿が良く似合うルゲの登場です 最初にバッハの「3声のシンフォニア」から第11番が演奏されます.譜面立てがないので暗譜かと思っていると,ピアノの蓋に楽譜が映っています.必ずしも暗譜で弾く必要はないでしょう

次いでバッハの「カプリッチョ変ロ長調”最愛の兄の旅立ちにあたって」の演奏に入ります この曲は,バッハが19歳の頃,ともに育った兄が,スウェーデン国王カール12世の軍楽隊に入隊するため故郷を離れることになり,別れを惜しむ気持ちで6曲から成る「ちょっとした曲」として書いたものです 普段聴く機会のない曲ですが,第5曲「ポコ・アレグロ」はどこかで聴いたことのある軽快な曲です

最後はモーツアルトの「ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331”トルコ行進曲付”」です.ルゲは軽快にモーツアルトの世界を表出します 狭い会場なので音が直接迫ってくる感じがします

ルゲはアンコールにバッハの「イタリア協奏曲」から最終楽章を演奏し,喝さいを浴びました

 

          

           チケット売り場は残り少ない券を求める人たちでいっぱい

 

次に午後12時15分からホールCで開かれた「祈りのバロック~バッハによる喜びのカンタータ」(公演番号342)を聴きました プログラムは①バッハ「カンタータ”神の時こそいと良き時”」、②同「カンタータ”天の王よ、よくぞ来ませり”」。演奏は鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン.ソリストはソプラノ=ドロテー・ミルズ,アルト=青木洋也,テノール=ハンス・イェルク・マンメル,バス=ドミニク・ヴェルナーです.いよいよBCJのLFJデビューです

 

          

 

自席は2階14列21番,センターブロック左通路側席です.会場はほぼ満席 BCJのメンバーが登場します.左にリコーダー2人,中央に通奏低音のチェンバロ=鈴木優人,ヴィオローネ(コントラバス)=西澤誠治(読響),その隣はヴィオラ・ダ・ガンバ=武澤秀平(元・新日本フィル首席)です 次いで合唱団の入場です.総勢16人の構成は男9対女7です

1曲目のバッハのカンタータ「神の時こそいと良き時」BWV106は2月22日のBCJの定期演奏会で聴いたばかりです 葬送のために書かれたと言われています.やはり,バッハのカンタータはBCJで聴くのが一番安心感があります

2曲目のバッハのカンタータ「天の王よ,よくぞ来ませり」BWV182は,1714年にワイマール宮廷の楽士長に就任して最初に作曲したカンタータです オケは弦楽器が左右に分かれる対向配置をとります.ヴィオリンは左サイドが若松夏美,右サイドは高田あずみがコンマスの役割を果たします.最初の「ソナタ」から8曲目の「合唱」までありますが,曲に応じてリコーダーが伴奏を務め,ソリストを盛り立てます

バッハのカンタータは,慣れもあるかも知れませんが,BCJの演奏が一番しっくりきます 古楽器の演奏もいいし,合唱も透明感があり素晴らしいです

終演後,地下の展示ホールに行ったら別のコンサートに出演したBCJの写真が掲示されていました

 

          

 

チケットの半券を持っていると,展示ホールでこんなコンサートも無料で聴けます

 

          

 

          

 

次に午後2時からホールCで開かれた「祈りのバロック~バッハとヘンデルによる宗教音楽」(公演番号343)を聴きました プログラムは①バッハ「ミサ曲ト短調BWV235」、②ヘンデル「主は言われた(ディキシット・ドミヌス)」。演奏はダニエル・ロイス指揮ローザンヌ声楽・管楽アンサンブルです

 

          

 

自席は1階6列4番,左サイドのどん詰まりから4つ中に入った席です ローザンヌ声楽・器楽アンサンブルのメンバーが入場します.前日,ミシェル・コルボの指揮で「ヨハネ受難曲」を聴いたばかりです 前日「ヨハネ」でソリストを務めた歌手たちが再び登場します.ただし,前面に出てスタンバイするのはカウンターテナーの歌手だけで,残りのソリストは合唱団の中に加わります.してみると彼らはもともと合唱団のメンバーだったのか ここでも配布されたプログラムにソリストの名前が載っていないので,誰が歌っているのかさっぱり分からないのです

1曲目のバッハ「ミサ曲ト短調」BWV235はバッハがライプツィヒ・トーマス教会の楽長を務めていた1730年代後半に作曲されたと推定されています 今回初めて聴きましたが,とても良い曲です.第1曲「キリエ」から第6曲「クム・サンクト・スピリツ」まで6曲から成りますが,それぞれ独唱が活躍します.バックではオーボエが良いサポートをしています

2曲目のヘンデル「主は言われた」(ディキシット・ドミヌス)は冒頭の合唱が有名ですが,通して聴くのは今回が初めてです 局面に応じてソリストが前に出てきて歌いますが,ソプラノの二重唱は聴きごたえがありました.この曲も素晴らしい曲です 前へ前へという推進力を感じさせる名曲だと思います CDは持っているはずですが,いったいどこにあるのか,見当がつきません

終演後,ホールCのゲートを出ると,インフォメーション・ボードに今聴いたばかりの公演の「出演者のお知らせ」が掲示されていました これが出来るんだったら,前日の「ヨハネ受難曲」の時もやってくれれば良かったのに・・・・と思いました.あるいは私が気が付かなかっただけか・・・・・・   

 

          

          

4日(月・休)に聴いた6公演のうち後半3公演は次のブログでご紹介します

          

          

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「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2日目②」~5月3日のリポートその2

2015年05月04日 09時22分32秒 | 日記

4日(月・休)その2.「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015」第2日目(3日)の後半3公演について書きます

 

          

 

午後3時45分からホールB7で開かれた「あふれる想い~シューベルトの最晩年」(公演番号224)を聴きました プログラムは①シューベルト「弦楽五重奏曲」です。演奏はアルテオ弦楽四重奏団+ヴィオラ=オーレリアン・パスカルです.弦楽五重奏曲と言えば,たとえばモーツアルトのように弦楽四重奏曲にヴィオラを加えたスタイルが一般的ですが,シューベルトはヴィオラの代わりにチェロを加えています つまりヴァイオリン2,ヴィオラ1,チェロ2という組み合わせです.この曲の完成は1828年8~9月頃と考えられていますが,この年の11月に彼は”腸チフス”らしい病気で死去しているので最晩年の曲と言うことになります.それにしても享年31歳とは早すぎます

アルデオ弦楽四重奏団は女性のみ4人のグループですが,2001年にパリ国立音楽院の中で結成されました.西洋人と東洋人各2人という珍しい組み合わせです 助太刀の黒一点パスカルはパリ国立音楽院に学ぶ若者です

自席は11列31番,右ブロック左通路側席です.会場はほぼ満席 拍手の中5人が登場,第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」に入ります.静かに始まりますがシューベルト特有の息の長いメロディーが綿々と続きます 第1楽章が中盤に差し掛かろうとした時,急に揺れを感じました.会場がざわつきます.隣の中年男性が「あ,地震だ」と声にします すぐに時計を見ると3時55分でした.ステージ上の奏者たちも気が付いたのだと思います.正面のチェロ奏者が不安そうな顔で演奏を続けています.震度3くらいではないか,と感じました

その後余震もなく,1時間近くもかかるシューベルト晩年の大作「弦楽五重奏曲」の演奏を無事に終えました とくに第2楽章「アダージョ」のナイーヴな演奏が印象に残っています.余震でなく余韻に浸ることができて良かったと思いました

 

          

 

次に午後6時半からホールCで開かれた「ロシアのパシオン~チャイコフスキーの超名曲」(公演番号245)を聴きました プログラムは①N.チェレプニン「遠き王女のための前奏曲」,②チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番変ロ長調」。出演は、ピアノ=ベアトリーチェ・ラナ、アジス・ショハキモフ指揮デュッセルドルフ交響楽団です

自席は3階4列39番,右ブロック左から4つ入った席です.会場は文字通り満席 この日演奏するデュッセルドルフ交響楽団はドイツで2番目に古い市民オーケストラとのことで,かつてメンデルスゾーンやシューマンが音楽総監督を務めていたこともあるそうです 指揮のショハキモフは1988年,ウズベキスタンの生まれで,マーラー国際指揮者コンクール2位に入賞しています

オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという態勢をとります

1曲目の「遠き王女のための前奏曲」は,1873年サンクト・ペテルブルク生まれのチェレプニンが,「遠き王女」という劇のために作曲した付随音楽です.リムスキー・コルサコフの弟子ということもあって,色彩感豊かな曲想が展開します

ピアノがセンターに運ばれ,金ぴかのゴージャスな衣装に身を包まれたベアトリーチェ・ラナの登場です 1993年生まれといいますから弱冠22歳です.モントリオール国際コンクールで優勝,ヴァン・クライバーン国際コンクール第2位入賞など輝かしい受賞歴の持ち主です

ショハキモフのタクトで第1楽章がホルンによる勇壮なテーマで開始されます.この曲はスケールの大きさにおいてベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番”皇帝”と1,2位を争う名曲ですが,一定レベル以上の技術があれば,誰が弾いても”名演奏”に聴こえるので,どこで他者と差別化して個性を発揮するのかが難しいとも言えます

彼女をサポートするオケを見ると,確かに管楽器は「市民オケ」という性格上,抜群に上手いところまでは達していないかも知れませんが,それでもなかなか聴かせます 弦楽器では,局面で独奏チェロが活躍しますが,このチェロが素晴らしい活躍です

ラナの演奏は,速いパッセージのところはとにかく”速い”というのが特徴かも知れません とくに第4楽章の終盤におけるラナの演奏は,「これほど速く弾いた人は見たことがない」と思うほど,超高速でしかも正確でした

終演後は拍手とブラボーの嵐でしたが,指揮者が首席チェリストを称えて立たせようとしましたが,彼は立たずに,弓でラナの方を指して,「賞賛されるべきは彼女だよ」とでも言いたげの表情でした.ラナも良かったけれど,このチェリストも素晴らしかった

 

          

 

2日目の最後は午後8時半からホールAで開かれた「受難曲の傑作~バッハの金字塔”ヨハネ”」(公演番号216)を聴きました プログラムはJ.S.バッハの「ヨハネ受難曲BWV245」。演奏はミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽・管楽アンサンブルです

 

          

 

私は毎年のようにLFJ音楽祭でミシェル・コルボの指揮でバッハの受難曲を聴いていますが,その都度,深い感銘を受けてきました 今回も楽しみにしていました

自席は1階19列11番,左ブロック右から1つ入った席です.会場は1階後方左右席が多少の空席がある程度でしょうか.5,000人規模の大ホールにしては良くぞ入ったと言うべきでしょう

LFJ音楽祭では会場入り口で,その公演のプログラム(ペラ1枚の簡単なもの)が配られますが,この公演のプログラムを見てオヤッ?と思いました 出演者=ローザンヌ声楽・管楽アンサンブル,ミシェル・コルボ(指揮)とありますが,ソリストの名前が書かれていません バッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートでは「ソリストも合唱の一人」という位置付けを取っていますが,それでもソリストの名前は書きます.案内で「歌詞カードは別売りしている」旨をアナウンスしていましたが,そちらに書かれていたのでしょうか?誰もが手に入れるプログラムにソリストの名前くらいは入れるべきでしょう.スペースは十分にあるのですから

 

          

                 ホールAの入り口に向かう人たち  

 

と言う訳で,オーケストラと合唱のメンバーが登場し,ソリストの5人がコルボとともに登場したのですが,ソリストが誰なのか一人も分かりません 昨年まではこんなことはなかったと思います.非常に残念です.来年以降の改善に期待したいと思います

コルボの指揮で受難曲が始まります.曲の冒頭の合唱とオケの演奏を聴いていて,「いつもバッハ・コレギウム・ジャパンで聴いているヨハネとは違うな」と思いました BCJの場合は,音楽表現がより明確というか,合唱,オケの音が分離して聴き取れるというか,メリハリが効いているというか,そういう印象があるのですが,コルボによるローザンヌの演奏はオケと合唱が混然一体となって聴こえてくるという印象があります

考えてみると,そのように聴こえるのは①合唱はローザンヌの方が総勢33人で,BCJの方はその半数くらいであること,したがって人数が少ないBCJの方が透明感のある合唱が聴けるということ,②鈴木雅明+BCJの方は若干速めのテンポで進めるのに対し,コルボの方はかなりゆったりしたテンポで演奏している,というのが原因ではないか,と思いました.もちろん,これは聴衆ひとりひとりの受け止め方が違うと思います

名前は知らないけれど,あのエヴァンゲリスト(福音史家)を歌ったテノール歌手は素晴らしかった BCJで聴くテュルクに勝るとも劣らない素晴らしいパフォーマンスでした 小柄で黒髪のソプラノ歌手も澄んだ美しい声でバッハを歌い上げました もちろん,カウンターテナーを含めた3人のソリストも,それぞれがバッハに真摯に対峙し素晴らしい歌声を聴かせてくれました

バックを務めた器楽アンサンブルでは何と言ってもオーボエ(形を見るとコールアングレか?),ファゴット,フルートといった管楽器が抜群のパフォーマンスを見せてくれたし,弦楽器ではヴィオラ・ダ・ガンバ(チェロからエンド・ピンを外したような楽器)が受難曲の悲しみを湛えた良い演奏でした

2時間に及ぶヨハネ受難曲が終わると会場は興奮の坩堝です そこかしこでスタンディング・オベーションが見られます 3日間のマラソン・コンサートの真っ最中の私も,途中で「休憩時間がないのは辛いな・・・」と弱音を吐きそうになりましたが,それでは弱音受難曲になってしまうぞ,と思い直して最後まで聴き通しました

やっぱりバッハは偉大である,ということをあらためて感じさせられたコルボ+ローザンヌの演奏でした

 

          

 

さて,速いもので今年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭も今日で終わり.私は今日も6公演を聴きます.早ければ今夜のうちに前半の3公演をごしょうかいできると思います.合言葉は「オレは寝てはならぬ」

 

          

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「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2日目①」~5月3日のリポートその1

2015年05月04日 01時27分51秒 | 日記

4日(月・休)。わが家に来てから207日目を迎え,風船を膨らませているモコタロです 

 

          

       風船を膨らませてんじゃなくて 食べてんだよ ああフウセンのトモシビ

 

  閑話休題  

 

「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015」第2日目の昨日も6公演聴きました ここでは前半の3公演について書きます

 

          

 

午前10時半から東京国際フォーラム・ホールB7で「恋の物語~シューマンによる恋愛物語」(公演番号221)を聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「無言歌」より4曲、②同「ロンド・カプリチオーソ」、③シューマン「クライスレリアーナ」。演奏はピアノ=児玉桃です

 

          

 

自席は9列14番,左ブロック右通路側席です.会場はほぼ満席 拍手の中,赤・黒・白を基調とする,分かり易く表現すれば”錦鯉”のような鮮やかな衣装に身を包まれた児玉桃が登場します この人はいつもセンスがいいですね 最初にメンデルスゾーンの48曲ある「無言歌」から,ゆったりとした曲と速めの曲とを交互に4曲演奏し,挨拶代わりとしました 次いで同じメンデルスゾーンの「ロンド・カプリチオーソ」を演奏しました.ちょっとショパン風な曲想ですが,終盤ではメンデルスゾーン特有の”妖精”が踊ります

最後に演奏されたシューマン「クライスレリアーナ」がこの日のメインです この頃20代後半だったシューマンは,クララとの結婚を彼女の父親から反対され,その苦悩を音楽にぶつけることによって数々の名作を生んでいきました この曲もその一つで,第1楽章に象徴されるように激情的な音楽が展開されます.児玉桃は鮮やかにシューマンの苦悩を表出します

 

          

          

          

次に正午からホールB5で「パシオンの邂逅~バッハと現代が交差する声楽空間」(公演番号232)を聴きました プログラムは①ペルト「鹿の叫び」、②J.S.バッハ「3声のシンフォニアより第11番ト短調」、③ペルト「そしてパリサイ人の一人が」、④同「アリーナのために」,⑤同「ヴィルヘンシータ」,⑥バッハ「イタリア協奏曲」より第2楽章,⑦ぺルト「カノンによる祈りの歌」です 演奏はピアノ:クレール=マリ・ルゲ、合唱:ヴォックス・クラマンティス,指揮:ヤーン=エイク・トゥルヴェです

会場のホールB5は,一昨年LFJで聴いた時はもっと広かったのですが,今回会場に入ってみたらすごく狭い感じがしました おそらく半分に仕切ったのだと思います 自席は5列41番,右ブロック右通路側席です.会場は満席 フランスのピアニスト,クレール=マリ・ルゲとヴォックス・クラマンティスの面々が,指揮者ヤン=エイク・トゥルヴェとともに登場します この合唱団は男8人,女6人から成ります.この日のプログラムはドイツの大家バッハ(1685-1750)とエストニアの作曲家ぺルト(1935~)の曲を交互に演奏する企画ですが,それぞれの時代を反映するかのように,メンバーの半数は楽譜を,半数は電子ブックを見ながら歌います ぺルトの曲は,いずれも合唱のみのアカペラですが,グレゴリオ聖歌を聴いているような錯覚に陥ります 間に挟まれたルゲのピアノ・ソロによるバッハの曲が違和感なく耳に入ってきます ぺルトの良いところは,同じ現代音楽でもシェーンベルクやベルクのような無調音楽に陥っていない所だと思います

 

          

 

次に午後2時15分からホールAで「恋する作曲家たち~ベートーヴェンの恋の至福」)公演番号213)を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」で、演奏はヴァイオリン=オーギュスタン・デュメイ、ロベルト・トレヴィーノ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです というのは当初発表のプログラムです

 

          

 

ところが,昨日「コンサートは何が起こるか分からない」と書いたばかりなのに,またしても有り得ないことが起こりました ホールAに行くと,下の案内が掲示されていました.

 

          

 

「何だこりゃ」です.はっきり言って,この公演はオーギュスタン・デュメイの演奏を聴くためにチケットを買った聴衆が多かったのではないかと想像します それが開演直前になって”出演者変更のご案内”で済まされるのですからたまったものではありません 「払い戻しに応じます」という掲示もありましたが,実際に行動に移した人はほんの一握りの人だったでしょう 苦労して手に入れたチケットを払い戻したって,空き時間をどう過ごしたらいいのよ?というのが本音でしょう

さて,そのピンチヒッターのオリヴィエ・シャルリエ氏ですが,上のお知らせでは,2011年にオーケストラ・アンサンブル金沢とベートーヴェンの協奏曲を演奏した程度のことしか分かりません.いつどこで生まれ,どこで学んだのかといった基本的な情報が一切明らかにされていません デュメイの代演ですからいい加減な人でないことは確かでしょうが,情報開示があまりにも不親切ではないでしょうか

ただ,代演者のシャルリエ氏の立場で今回のアクシデントを見ると,”他人のピンチは自分のチャンス”になるのです 音楽の世界では第一線のアーティストが急きょ出演出来なくなった時の代演によって世界的に名前が売れて急成長を遂げた人も少なくありません

さて,シンフォニア・ヴァルソヴィアのメンバーが登場し配置に着きます.指揮者トレヴィーノとともに登場したシャルリエ氏は髪を後ろで束ね精悍な顔をした,まるで日本の武士のような雰囲気のヴァイオリニストです 払い戻しをしなかった多くの聴衆にとっては「お手並み拝見」といったところです

マルタン氏はデュメイがフランコ・ベルギー派の音楽家であることから,お知らせでシャルリー氏は「フランコ・ベルギー派の美しい音」と紹介したのでしょうが,それはあながちウソではありませんでした とくに第1楽章と第3楽章におけるカデンツァは見事のひと言でした チケットをキャンセルしなかった聴衆の多くが「私はシャルリエ」というプラカードを掲げて歓迎した,かどうかは分かりません.が,私としては「新たな才能を見い出した」と自分を納得させています

 

          

 

3日に聴いた6公演のうち後半の3公演については,追ってご紹介します

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