2日(土)その2。今日から毎年5月の連休に東京国際フォーラムを中心に開かれている「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」が始まりました 今年で11回目を迎えるLFJのテーマは「パシオン」です。元々はイエス・キリストの「受難」を意味するパシオンですが、この音楽祭では恋や命の”情熱”の意味も持たせて、それにふさわしい音楽の数々が選ばれています
今年、私は今日から3日間で18公演聴きますが、今日は6公演聴きました。このブログでは最初の3つの公演について書くこととします 最初は午前10時から東京国際フォーラム・ホールCで開かれた「祈りのバロック~ヴィヴァルディの美の極み」(公演番号141)です。プログラムはヴィヴァルディの①「あなた方の聖なる君主のために」、②「スターバト・マーテル」、③「ニシ・ドミヌス」です 出演はカウンター・テナー=カルロス・メナ、演奏はフィリップ・ピエルロ指揮リチェルカール・コンソートです
自席は1階16列13番,左ブロック右から5つ入った席です.会場はほぼ満席 拍手の中,ベルギーの古楽器アンサンブル”リチェルカール・コンソート”のメンバーが登場します.弦楽器とチェンバロと巨大なマンドリンのような楽器(名前を忘れた)の総勢13人です スペインのバスク州出身のカウンターテナー,カルロス・メナが指揮者フィリップ・ピエルロとともに登場し,ヴィヴァルディの宗教曲の演奏に入ります 3曲の中ではやはり2曲目の「スターバト・マーテル(悲しみの聖母)」が馴染みもあり訴えるものがありました.カウンターテナーはバッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートではロビン・ブレイズ等の声で親しんでいますが,初めて聴く人には新鮮に響くでしょう 言ってみれば男性が女性のような声(ソプラノ)で歌うのですから
2番目に聴いた公演は午前11時45分からホールAで開かれた「恋する作曲家たち~ドヴォルザークの道ならぬ恋」(公演番号112)です プログラムはドヴォルザークの①「交響詩”野鳩”」、②「チェロ協奏曲ロ短調」です。出演はチェロ=エドガー・モロー、演奏はロベルト・トレヴィーノ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです
自席は1階4列41番,右ブロック左通路側席です.5,000人収容するホールAで4列目に座れることは滅多にありません 会場は,さすがに広すぎるせいか,左右後方席に空席が目立ちます.しかし,「5,000人で満席」を考えれば相当入っていると見るべきでしょう
1曲目の交響詩「野鳩」は普段あまり演奏される機会がありませんが,一言で言えば”悲劇”を音楽化した作品です.ルネ・マルタン氏推薦のアメリカ出身のロベルト・トレヴィーノの実力を発揮するには物足りない選曲かも知れません
次に1994年生まれ,17歳でチャイコフスキー国際コンクールで2位入賞のエドガー・モローが,トレヴィーノとともに登場します トレヴィーノは比較的ゆったりしたテンポで演奏を進め,歌わせるべきところはたっぷりと歌わせていました それはソリストのモローにとっても良かったのではないかと思います.モローは激情タイプというよりはクールなタイプですが,そうかといって演奏が冷たい訳ではありません.なかなか説得力があります モローはアンコールにバッハの「無伴奏チェロ組曲第3番」から「サラバンド」を演奏,喝さいを浴びました
ホールB7に行くためエスカレーターを利用する聴衆
3番目に聴いた公演は午後1時45分からホールB7で開かれた「恋する作曲家たち~ロマン派の恋の極み」(公演番号123)です プログラムは①ブラームス「ピアノ四重奏曲第3番ハ短調」、②マーラー「ピアノ四重奏曲断章イ短調」です。出演はピアノ=アンドレイ・コロベイ二コフ、演奏はプラジャーク弦楽四重奏団です。プラジャーク・クァルテットはつい先日,「難民を助ける会」のチャリティー・コンサートで萩原麻未のピアノによりショパン「ピアノ協奏曲第1番」を聴いたばかりです
1曲目のブラームス「ピアノ四重奏曲第3番ハ短調」は実質的に第1番,第2番よりも早く,1856年に完成しました この曲の第3楽章「アンダンテ」は4月24日のヴィオラ・佐々木亮ほかによる「室内楽コンサート」でアンコールに演奏された曲です その時,実にいい曲だな,と思いましたが,今回再び聴いてその感を強くしました ピアニストもプラジャークのメンバーも力が入っています.ところで,第1楽章の演奏中,ピアノの蓋が揺れているのが見えました すぐ前に座って演奏しているチェリストの動きが激しいため,ピアノの脚にその振動が伝わっているのだと思われます このホールは他のホールと比べて床が”ヤワ”にできているのではないか,と思います 演奏はそのヤワを証明するかのように力の入った熱演でした
2曲目のマーラー「ピアノ四重奏曲断章」は,若き日のマーラーが作曲した名作です この曲は数年前にディカプリオ主演の映画「シャッター・アイランド」で使われていました
演奏後,時間があったので地下の展示ホールに行ってみたら,ちょうど社会人アマ・オケ「ピンク・バッカス」のコンサートが始まるところでした 演奏曲目はブラームスの「交響曲第1番」から第4楽章です
2日(土)に聴いた6公演のうち後半3公演は明朝アップすることにします
地上広場ではキオスク・コンサートが開かれていました