30日(土)。わが家に来てから233日目を迎え,再び白ウサちゃんを責めるモコタロです
要するに 君たち まだ つきあってるってことね?!
閑話休題
28日(木)に新宿ピカデリーでMETライブビューイング、マスカー二「カヴァレリア・ルスティカーナ」とレオン・カヴァレッロ「道化師」を観ました これは今年4月25日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された2本立てオペラのライブ録画映像です 今日は「道化師」について書きます
キャストはカニオにマルセロ・アルヴァレス(テノール)、ネッダにパトリシア・ラセット(ソプラノ)、トニオにジョージ・ギャグニッザ(バリトン)、シルヴィオにルーカス・ミーチャム(バリトン)ほかで、演奏はファビオ・ルイージ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団、演出はデイヴィッド・マクヴィカーで、今回新制作です
アルヴァレスとギャグニッザは「カヴァレリア・ルスティカーナ」に引き続いての出演です 幕間にスーザン・グラハムによるインタビューがあり,アルヴァレスはスーザンから質問を受ける前に「いまトゥリドゥを歌い終わってホッと一息ついたところなんだ でもこの後の『道化師』の開演まで25分しかないんだ.ごめんね」と言って,急いで楽屋に向かって行きました.2本立て,しかも主役の2本立てはさぞかし大変だろうと推測します
この脚本では,舞台は『カヴァレリア~』と同じシチリアの小村という設定ですが,時代は数十年後 さて「道化師」のストーリーは
「カニオは旅回り一座の座長だが,若い妻ネッダとうまくいっていない 実はネッダにはシルヴィオという村の若者と恋仲の関係にある.一方,ネッダに思いを寄せるが相手にされない座員ト二オはネッダとシルヴィオが駆け落ちの相談をしているところを見つけ,腹いせにカニオに告げ口する ネッダの不倫現場を見たカニオは傷心のまま舞台に立つ 芝居が始まるとカニオは現実との区別が付かなくなり,不倫相手の名前を白状しないネッダを刺し殺す」
このオペラも「カヴァレリア~」と同様『復習劇』です.「カヴァレリア~」と「道化師」は一緒に上演される機会が多いのですが,この組み合わせで上演されたのは1893年のMETが初めてだったとのことです
最初にトニオ役のギャグニッザが前口上を述べるのですが,直前に演じたシリアスな役柄から一転,喜劇役者さながらの立ち振る舞いです.この辺は『プロ』を感じます ただ,役柄にしては体格も良くちょっと性格が強すぎるような気もします.しかし急な代演,ないものねだりというものでしょう
同様にカニオ役のアルヴァレスは,直前のオペラに続いて主役を演じることになります.これは相当なプレッシャーに違いありません しかし,彼は25分の間に衣装とともに気持ちも切り替え,喜劇役者として再登場しました 芝居どころの心境ではないのだが,舞台に上がらなければならない,そんな複雑な心境のまま歌う「衣装を付けろ」は感動的です
ネッダを演じたラセットは,「ライブビューイング」ではインタビュアーとして登場することが多いのですが,このオペラではヒロインでの登場です 恵まれた身体から発声するソプラノには力があります また,サーカスが舞台なので,出し物として喜劇が演じられるのですが,ラセットは喜劇役者としての資質があるようで,何の違和感もなく”お芝居”を演じ,聴衆の笑いを誘っていました
指揮者ルイージは,幕間のインタビューでスーザンからマイクを向けられ「マエストロは昨日私も出演した『メリー・ウィドゥ』でも指揮をしていらっしゃいました.オペレッタの翌日にヴェリズモ・オペラを振るということで,気持ちの切り替えはどうしているのでしょうか」と訊かれ,「METのオケは優秀なので,彼らの自主性に任せていれば良いのです 私は彼らの演奏を手助けするだけですよ」と答えていました.いやいや,そんなことは全くありません.完璧にコントロールしてオケを歌わせていました