3日(日)。わが家に来てから206日目を迎え,紙の円筒をかじって白ウサちゃんに呆れられているモコタロです
呆れてないで 君もかじればいいのに 美味しいよ
閑話休題
昨日に続いて、2日(土)に聴いた「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015」第1日目の後半3曲について書きます
午後4時15分からホールAで「ルネ・マルタンのル・ク・ド・クール(ハート直撃コンサート)」(公演番号114)を聴きました プログラムは①ショーソン「詩曲」,②ショパン「ピアノ協奏曲第2番ヘ短調」,③プッチーニ「オペラ”ジャンニ・スキッキ”より”私のお父さん”」,④同「オペラ”ラ・ボエーム”より”私の名はミミ”」,⑤ドニゼッティ「オペラ”愛の妙薬”より”人知れぬ涙”」,⑥ヴェルディ「オペラ”ラ・トラヴィアータ”より”乾杯の歌”」です
自席は1階28列15番,左ブロック右通路側席です.会場はほぼ満席 拍手の中,ポーランドのオケ,シンフォニア・ヴァルソヴィアのメンバーが登場し配置に着きます.左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,その後ろにコントラバスという態勢です 1992年フランス生まれのイレーヌ・ドゥヴァルが,マッチョな若き指揮者ロベルト・トレヴィーノとともに登場し,1曲目のショーソン「詩曲」の演奏に入ります.この曲は1896年の作品で,タイトルの通り”詩的”な曲です.ドゥヴァルは丁寧に音楽を進めます
2曲目のショパン「ピアノ協奏曲第2番ヘ短調」に備えて,ピアノがステージ中央に移動されます.LFJ音楽祭では常連のフランスのピアニスト,クレール・デゼールが上下黒のラメ入り衣装で登場,ピアノに向かいます トレヴィーノのサポートのもとデゼールは詩情豊かにショパンの世界を描きました
さて,予想外だったのが後半のプログラムに登場した歌手2人でした.まず,ソプラノのアマンダ・パビアンがプッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」から『私のお父さん』を,次いでオペラ「ボエーム」から『私の名前はミミ』を歌いましたが,恵まれた体格から発声される声は輝きに満ち,5,000人収容の大ホールの隅々まで響き渡りました 会場は拍手とブラボーの嵐です.プロフィールを見るとニューヨークのメトロポリタン歌劇場にはモーツアルトの歌劇「魔笛」の夜の女王役でデビューを果たしたと書いてあります.あの有名な超絶コロラチューラ曲「夜の女王のアリア」を輝くソプラノで歌ったことでしょう
次にローマ出身のアレッサンドロ・リベラトーレが登場,ドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」から『人知れぬ涙』を切々と歌い上げ会場の喝さいを浴びました 最後はパビアンとリベラトーレが一緒に登場し,ヴェルディのオペラ「ラ・トラヴィアータ」から『乾杯の歌』を歌い,そして踊りました.リベラトーレがなかなかの役者で,パビアンの腰に手を回したり,目で語りかけたり,オペラの雰囲気を醸し出していました 割れんばかりの拍手に,『乾杯の歌』をアンコールしましたが,フィナーレ近くになると,会場から自然に手拍子が沸き起こり,歌手,指揮者+オーケストラ,聴衆が一体となって熱いコンサートを演出しました ホールはこのとき温度が1度か2度上がったのではないでしょうか.大満足のコンサートでした
次に午後6時半からホールAで「ベートーヴェンのいのちのパシオンから交響曲篇」(公演番号115)を聴きました。プログラムはベートーヴェン「交響曲第3番変ホ長調”英雄”」。演奏はロベルト・トレヴィーノ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです
自席は1階18列26番,左センターブロック右から2つ入った席です.会場は1階後方の左右に空きがありますが,5,000人収容の大ホールですから良くぞここまで入ったと言うべきでしょう この時点で,私的にすっかりお馴染みになったトレヴィーノが登場し,シンフォニア・ヴァルソヴィアに開始の合図を送ります.力強い冒頭の和音を聴いて,この演奏は素晴らしいものになると確信しました 何事も最初が肝心です.第1楽章はテンポ感も良く,軽快に進めます.厚みのある弦楽器,個々の管楽器奏者の高度なレベルの演奏が披瀝されます
第2楽章が圧巻でした.管楽器ではオーボエが素晴らしいパフォーマンスを見せ,フルートもファゴットも,ホルンも見事な演奏を展開しました さらに言えば,局面におけるティンパ二の連打は『葬送行進曲』における悲しみの極致を表現していました
さて,その第2楽章の真っ最中,会場のほぼ中央の前方の席の女性が突然立ち上がり,中央通路を後方に向かって急ぎ足で歩いてきたかと思ったら,急に倒れ込んでしまいました そのすぐ近くの男性客が,大丈夫かと声をかけていますが反応がないようです.通路の反対側の後部席の女性客が席を立ってその場に行き,声をかけていましたが,反応がないようでした.しばらくして何か変化があったのか,一旦席に戻って演奏を聴いていた女性が再びその倒れた女性の処に行き,今度は小走りに会場整理のボランティアを呼びに行きました.しばらくしてボランティアが到着して声をかけていましたが,応援を呼びに戻りました.その後,なかなか応援が来なかったためか,その男性と女性が倒れた女性を抱えて会場の外に連れ出しました その後どうなったのか,分かりませんが,生のコンサートは何が起こるか分かりません ボランティアの人たちも,ただ席を案内するだけでなく,こういう突発的な事故もあるのですから,それに備える対応策も予め考えておいてほしいと思います.これは主催者側に言うべきことかもしれませんが いずれにしても,倒れた女性を救助されたあのお二人には,もう一度最初からトレヴィーノの「英雄交響曲」を聴かせてあげたい気持ちです
さて,演奏は続いています.第3楽章は快速テンポです.そしてトレヴィーノはこの楽章が終わると間髪入れずに第4楽章に移りました.この演奏を一言で言えば「胸のすくような快演」です 会場割れんばかりの拍手とブラボーは言うまでもありません
第1日目の最後は午後7時45分から有楽町のよみうりホールで開かれた「恋する作曲家たち~青年ブラームスの熱情」(公演番号175)です。演奏はピアノ=田部京子、プラジャーク弦楽四重奏団です
自席は1階P列16番,左ブロック右通路側席です.会場は9割方埋まっている感じです.田部京子がグリーン系のドレスでプラジャーク弦楽四重奏団のメンバーとともに登場します 彼女の演奏を聴くのはこれが初めてかも知れません
ブラームスの「ピアノ五重奏曲ヘ短調」は作曲者がアラサ―の頃,1864年に完成しました.当初弦楽五重奏曲として着手されましたが,その後2台のピアノのための作品に書き換えられ,さらにクララ・シューマンなどのアドヴァイスによってピアノ五重奏曲の形で出版されました
第1楽章冒頭の有名なテーマを聴くと「これだからブラームスは”暗い”って言われるんだよな」と思ってしまいますが,聴いているうちに”静かな情熱”とでも言うべきブラームスの魅力が詰まった曲であることが分かってきます 第3楽章のアレグロも有名なテーマが奏でられますが,ここでは,演奏する側が気持ちいいだろうなと思います.ブラームスを演奏したことのある人に訊くと「ブルックナーは演奏していてツマラナイけど,ブラームスは演奏のし甲斐がある」という答えが返ってきました.さもありなん.ステージ上の5人は生き生きと演奏しています 聴きごたえのあるブラームスでした
「ラ・フォル・ジュルネ」の仕掛け人ルネ・マルタン氏
今日は午前10時半から午後10時半までの間に6つのコンサートを聴きます 言うまでもなく,すべて当ブログでご紹介していきます