人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイング、マスカー二のオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」を観る

2015年05月29日 07時01分09秒 | 日記

29日(金)。わが家に来てから232日目を迎え,何かを期待しているモコタロです 

 

          

             おやつ ちょうだい! カレーライスは苦手かな・・・・

 

  閑話休題  

 

昨日、休暇を取って新宿ピカデリーでマスカー二の「カヴァレリア・ルスティカーナ」とレオン・カヴァッロの「道化師」を観ました これは今年4月25日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された2本立てオペラのライブ録画映像です 今日は「カヴァレリア・ルスティカーナ」について書きます

キャストは、トゥリドゥにマルセロ・アルヴァレス(テノール)、サントゥッツァにエヴァ=マリア・ヴェストブルック(ソプラノ)、アルフィオにジョージ・ギャグニッザ(バリトン)ほかで,演奏はファビオ・ルイージ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団、演出はデイヴィッド・マクヴィカーで、今回新制作です

 

          

 

この日は「METライブビューイング2014ー2015シーズン」の日本での上映最終日でした.ウィークデーの昼間にも関わらず,オペラ映画としては決して少なくないオペラ好きが集まりました 私はいつものように左ブロック後方の右通路側席を押さえました

全1幕の「カヴァレリア・ルスティカーナ」(「田舎の騎士道」という意味)のあらすじは

「舞台は復活祭の日のシチリアの小村.教会に近い酒場マンマ・ルチアの店に悲痛な面持ちのサントゥッツァが現われる.彼女はルチアの息子トゥリドゥと結婚の約束までしていたのに,最近トゥリドゥは元の恋人でアルフィオの妻となったローラと縒りを戻している サントゥッツァは,現われたトゥリドゥに泣きつくが,彼は冷たくあしらう 嫉妬に駆られたサントゥッツァはローラの夫アルフィオに,二人の不倫を告げ口する.怒ったアルフィオはトゥリドゥに決闘を申し込み,二人は”騎士道精神”に則って闘うことになるが,トゥリドゥが殺される

ファビオ・ルイージの指揮でこの物語の悲劇的な結末を予言するかのような悲しい序曲が始まります ステージ上は広い回り舞台になっていますが,時々せり上がってくるテーブルと,脇に置かれた多くの椅子があるくらいで,極めてシンプルな造りです

冒頭から最後までサントゥッツァ役のエヴァ=マリア・ヴェストブルックは出ずっぱりですが,最初の10分くらいはまったく声を発しません アリアもなければ合唱にも加わりません.ここは”歌わない歌手”としての演技の見せ場です 彼女はサントゥッツァの不安な心理を顔の表情や立ち振る舞いによって見事に表していました また,「ママも知るとおり」などのアリアでは迫真の演技とともにドラマティックな歌声を聴かせます

トゥリドゥを演じたマルセロ・アルヴァレスは歌にしても演技にしても真に迫っていました 中でも決闘を前に歌う「母さん,この酒は強いね」はまさに感動的でした 

もう一人,迫力があったのはアルフィオを演じたジョージ・ギャグニッザです METライブビューイングでは,プッチーニの「トスカ」でのスカルピア役が忘れられない迫真の演技でした アルフィオ役は当初出演予定だったジェリコ・ルチッチが体調不良で降板したため代わりに出演したものですが,この人選は正解だったと思います

このオペラは「道化師」とともに「ヴァリズモ・オペラ」の傑作と言われています 「ヴェリズモ」とは「リアリズム」のことで,市井の人々の日常生活に題材を取り,現実の姿をオペラとして描くものです あからさまに言ってしまえば,新聞の三面記事に載った不倫や殺人事件などをオペラ化したものです たいてい人が死にます

ところで,このオペラが不滅の人気を誇っているのは途中に挟まれた「間奏曲」のお陰と言っても過言ではないでしょう これほどまでに美しく,これほどまでに悲しい間奏曲はほかにあるでしょうか? 「私が死んだら,この曲を流して見送って欲しい」と言う人を知っていますが,気持ちはよく分かります

ファビオ・ルイージはメトロポリタン歌劇場管弦楽団をよくコントロールし,オーケストラ自らがよく歌っていました METの音楽監督フェイムズ・レヴァインがタクトを預けるだけのことはあります

 

          

 

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