人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

許光俊著「世界最高のクラシック」を読む~独特の指揮者論を展開

2015年05月19日 07時01分31秒 | 日記

19日(火).わが家に来てから222日目を迎え,”耳がかゆくて”なんちゃってるモコタロです 

 

          

           写真ボケてね? へたくそが! なんちってね・・・・・・

 

  閑話休題  

 

昨日は娘がアルバイト先で正規採用になる日だったので,会社帰りにお祝いの花束 とケーキ を買いました.買った直後,娘から「今日は歓迎会があるので遅くなります」というメールが入りました 息子は息子で大学から帰るのが毎日10時過ぎ 結局,娘は11時過ぎに帰ってきました 関東地方には「ちょっと待て その一口が ブタになる」という格言があります.ケーキは翌朝(つまり今朝)に持ち越すことになりました

 

          

 

          

 

  閑話休題  

 

「サントリーホールスペシャルステージ2015~チョン・ミュンフン」の公演チケット3枚を手配しました これは日韓国交正常化50周年記念として開かれるコンサートで,10月19日から22日まで3+2の公演が予定されています サントリーホール・メンバーズ・クラブ先行販売で「早割」が適用されました 一般販売は5月23日(土)午前10時からです.公演日程は次の通りです

10月19日(月)午後7時から「チョン・ミュンフン&ソウル・フィル」 ①ブラームス「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調」(Vn:スヴェトリン・ルセヴ,Vc:ソン・ヨンフン),②同「交響曲第4番ホ短調」.

10月20日(火)午後7時から「チョン・ミュンフン&東京フィル」 ①ヴェルディ「オペラ”ラ・トラヴィアータ”」第2幕から(Sp:天羽明恵,バリトン:未定),②マーラー「交響曲第1番ニ長調”巨人”」.

10月22日(木)午後7時から「ピアニスト チョン・ミュンフンの室内楽」 ①ブラームス「ピアノ四重奏曲第3番ハ短調」,②同「ピアノ五重奏曲ヘ短調」(P:チョン・ミュンフン,Vn:スヴェトリン・ルセヴ,成田達輝,Va:ファン・ホンウェイ,Vc:堤剛) ※チョン・ミュンフンは1974年チャイコフスキー国際コンクール(ピアノ部門)第2位の実力者です

10月21日(水)午前11時からブルーローズで「スペシャル・コンサート」(70歳以上を対象にしたコンサート)

10月21日(水)午後7時からブルーローズで「公開マスタークラス(指揮)」

私は19日,20日,22日のコンサートを聴きます.10月が待ち遠しいです

 

          

          

 

  最後の,閑話休題  

 

許光俊著「世界最高のクラシック」(光文社知恵の森文庫)を読み終わりました 許光俊は1965年東京都生まれ.現在,慶應義塾大学法学部教授であり,音楽評論家でもあります このブログでは「クラシックを聴け」というクラシック音楽入門書をご紹介しましたが,非常に具体的で分かり易い入門書でした この「世界最高のクラシック」はクラシック音楽の指揮者の入門書とでもいうべき本です.過去から現在に至る大指揮者たちを5つのグループに分けて持論を展開しています

 

          

 

第1章では「ナイーヴ時代の大指揮者たち,または古典主義的幸福」として,ドイツのフルトヴェングラー,ワルター,クナッパーツブッシュ,イタリアのトスカニーニを取り上げています

第2章では「20世紀にあってなお幸福な指揮者たち,または擬古典主義の平和」として,ベーム,ケンペ,ザンデルリンク,クライバー,ロジェストヴェンスキー,フェドセーエフを取り上げています

第3章では「普遍化を目指した指揮者たち,または20世紀が夢見た美」としてセル,カラヤン,ヴァント,ブーレーズを取り上げています

第4章では「エキゾチックな指揮者たち,またはコスモポリタンの喜び」としてバーンスタイン,小澤征爾,チョン・ミュンフン,バティスを取り上げています

第5章では「懐疑に沈む指揮者たち,またはマニエリスムの退廃と人工美」として,クレンペラー,チェリビダッケ,ケーゲル,テンシュテット,インバル,アーノンクール,ブリュッヘン,ラトルを取り上げています

クラシック音楽について一家言も二家言も持つ著者が大きく評価している指揮者・演奏は最後の第5章で取り上げた指揮者たちですが,とくにチェリビダッケに対しては異常なまでの傾倒を示しています

この本で取り上げた指揮者・演奏の中で私とまったく同じ評価の作品が3つありました

一つはカール・ベーム指揮ウィーン・フィルとピアノのマウリツィオ・ポリー二によるモーツアルトの「ピアノ協奏曲第23番K.488」(1976年録音)の演奏です この演奏について著者は次のように書いています

「私はこの演奏を30年以上聴いてきて,まったく飽きない.それどころか,聴くたびに,何と美しいのかと思う.ぐうの音も出ない ウィーン・フィルの録音はいくらでもあるけれど,これほどまでに美しい演奏をした記録は他にないかもしれない

まったくその通りです ぐうの音もでない演奏です

二つ目は,ギュンター・ヴァントによるモーツアルトの「ポストホルン・セレナーデ」です 許氏は北ドイツ放送交響楽団との晩年の演奏を評価していますが,私の場合はNHK交響楽団を振ったコンサートを生で聴いた時にヴァントという指揮者の偉大さを感じたのです

許氏は「第5楽章は,突然短調になる.セレナードとは,本来娯楽のためのお気軽な音楽だが,モーツアルトは悲劇的な音楽を1曲だけ入れたのだ.これが本当に深い色をしていて,猛烈にきれいに演奏されている」と書いていますが,生で聴いていて同じようなことを感じました

三つ目は,オットー・クレンペラー指揮によるグルックのオペラ「アウリスのイフィゲニア」序曲(1960年)の演奏です 許氏は次のように書いています

「これが猛烈にすごい演奏なのだ.速いテンポでじっくりしっかり弾かれているだけと言えば言える.だが,音楽は畏怖すべき気高さに達し,まるで巨岩のように揺るがない これを聴いていると,あらゆる表現の小細工も,作品研究も,何の意味もないのではないかと思えてくるのだ.それだけ衝撃的なのである.11分の長さだが,まるで巨大な宇宙が詰まっているかのようだ

この表現に付け加える言葉が見つかりません.まったくその通りです 実は,この曲はもともと,知る人ぞ知る今は亡き大指揮者・宇宿允人(うすき・まさと)が手兵フロイデ・フィルを振ったコンサートのアンコールで(いや,正確に言うと,正規のプログラムの直前に)演奏した時に聴いたのがこの曲との出会いでした その時の衝撃は忘れることが出来ません.「何だ,この狂気迫る音楽は」と慄いたものです それ以来,宇宿允人+フロイデ・フィルのコンサートに足を運ぶようになったのですが,残念ながら同氏は2011年3月,東北地方大震災のあった日の数日前に死去,コンサートは中止になりました

ところで,この本のタイトルは「世界最高のクラシック」ですが,これほど多くの指揮者による演奏が取り上げられていると,いったいどれが本当の「世界最高のクラシック」なのかという疑問が出てきます これについて著者は,

「あえて,万人が納得できる答が存在しない問いを発すること.それをしてみようと思ったのだ.この情報が溢れている時代だからこそ.モラルの絶対的基準が崩壊した時代だからこそ」

と述べています.著者の反商業主義の立場が鮮明に表明されています.クラシック音楽の,とくに指揮者に関する入門書としてお薦めします

 

コメント
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