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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

グローバル・フィルでマーラーの「大地の歌」を聴く

2011年08月08日 06時24分18秒 | 日記
8日(月).昨日,すみだトリフォニーホールでグローバル・フィルハーモニック・オーケストラの創立30周年記念演奏会を聴いてきました プログラムの解説によると,グローバル・フィルは1981年に静岡県オペラ協会が主催する「フィガロの結婚」オペラ公演への参加のため結成され,84年以降はシンフォニー・オーケストラとして年2回の定期演奏会を中心に活動しているアマチュア・オーケストラです.また,モナコ・フランス,オーストリアへの海外公演を行った実績があるとのことです

私が今回のコンサートを選んだのは,言うまでもなくマーラーの「大地の歌」が生で聴けるからです.プロだろうがアマだろうが,とにかくマーラーの音楽が生で聴けるのならどこにでも聴きに出かけます

チケットを見ないで会場に開演50分前に着いたら,入り口付近の人たちがわれ先に入場しようとしています.おかしいと思ってチケットを見ると「全席自由席」とありました.あせって列に並びました.幸い1階24列13番という通路側の席が取れました.ヤレヤレ これだからアマ・オケのコンサートは油断できないのです.

プログラムは①ウエーバー「魔弾の射手」序曲②ヒンデミット「ウエーバーの主題による交響的変容」③マーラー「大地の歌」の3曲です.

指揮は京都大学文学部を経て1995年東京芸術大学指揮科大学院修了という変り種・森口真司.メゾソプラノは1994年プラシド・ドミンゴ世界オペラコンテスト・メゾ・ソプラノ部門優勝の手嶋真佐子.テノールは第14回日本声楽コンクール第3位入賞の大川信之(正直言って初めて見た名前)というキャストです.

第1曲目の「魔弾の射手」序曲の作曲者ウエーバーは,19世紀初頭にモーツアルトが基礎を築いたドイツオペラを発展させたドイツの作曲家です.モーツアルトとウエーバーが遠い親戚であることは前にブログで書きました.この曲を聴きながらオーケストラを眺めていたら,ビオラの最後列に優に70歳は越えていそうな紳士が演奏しているのが見えました.アマチュア・オケはこういうところがいいなあ・・・と微笑ましく思いました.

ヒンデミットは20世紀中頃に活躍したドイツの作曲家で,母国でナチスとの折り合いが悪くなり,アメリカに移住した40年代に「ウエーバーの主題による交響的変容」を作曲しました.滅多に聴けない曲で,生で聴いたのは今回が初めてでしたが,非常に面白い曲でした 曲の一部はブラスバンドの音楽のようでした

休憩後,いよいよ待望のマーラー「大地の歌」です.この曲はオーケストラ伴奏付き歌曲集と言われるほど,歌の要素が際立った曲です.本来は”第9交響曲”になる予定だったものの,ベートーベンはじめ過去の偉大な作曲家が第9番まで作曲して世を去っていることや,心臓病の持病を持つ健康不安から「交響曲第9番」の名称を付けなかったとも言われています.結局,彼は第10交響曲を未完のまま世を去っています

この曲は全6楽章からなっています.第1楽章「地上の哀愁を憂える酒席の歌」(テノール),第2楽章「秋に独りいて淋しきもの」(アルト),第3楽章「青春について」(テノール),第4楽章「美について」(アルト),第5楽章「春にありて酔えるもの」(テノール),第6楽章「告別」(アルト)です.この曲で用いられている詩は,ドイツの詩人ハンス・ベートケ編訳による詩集「中国の笛」から採られています.

第1楽章のテノールの甲高い声がオーケストラに負けじと会場に響きます.ただ,どうもしっくりこないのです.なぜだろう,と考えます.理由は明らかです.予習がいけなかったのです ここ数日,この日のためにCDを聴いて予習をしていました.そのCDがオットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団,テノール=フリッツ・ブンダーリッヒ,メゾ・ソプラノ=クリスタ・ルートビッヒというこの曲の決定盤とでもいうべき完璧な演奏だったのです.この演奏を聴いて耳にそれが残っているので,どうしてもこの演奏が基準になってしまいます.だから,テノールの大川さんが必ずしも調子が悪かったということでもないのでしょう 予習にはベストワンを選ぶな,ということでしょうか

ただ,メゾ・ソプラノの手嶋真佐子さんは良かったと思います.後半に行くにしたがってよくなっていったように思います.それにしてもこの曲では最後の第6楽章「告別」が身に沁みます.

「大地の歌」はその詩の内容からいって,この曲を聴きながら酒を酌み交わし,しみじみと人生を語り合うのが相応しい曲のような気がします.その際には相手を選ぶことは言うまでもありませんが

演奏が終わって,拍手が続く中,一足先に会場を出ました.ほとんどの人は席を立ちません.オーケストラの家族,親戚,知人,取り引き先等々の関係者が多いのでしょう.ロビーに出たところで,会場から音楽が聴こえてきました.何とアンコールを演奏したらしいのです.ちょっと聴いただけで何の曲かわかりませんでしたが,会場に止まって最後まで聴くまでには至りませんでした.そうは言うものの,やっぱり,アマチュア・オーケストラは手を抜かないし,一生懸命演奏するので気持ちがいいでね

   
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