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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

佐渡裕 ✕ 櫃本瑠音 ✕ 高野百合絵 ✕ 大竹しのぶ ✕ 新日本フィルでバーンスタイン「ミサ」から「3つのメディテーション」、交響曲第3番「カディッシュ」他を聴く

2025年04月21日 00時24分00秒 | 日記

21日(月)。わが家に来てから今日で3751日目を迎え、米紙ワシントン・ポストは19日、「米ワイオミング州からワシントンDC、ミシシッピ州、ニューヨークのマンハッタンまで、米国全域の大都市と小都市で数百件の集会が開かれ、「王はいない」「ファシズムに屈服しない」等のスローガンを掲げ トランプ政権を批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

そもそも米国民がトランプを選んだのだから 米国民が責任を取ってほしいな  世界中が迷惑してる

         

昨日、サントリーホールで新日本フィル「第662回定期演奏会  サントリーシリーズ」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「レオノーレ序曲」第3番、②バーンスタイン「ミサ曲」から「3つのメディテーション」、③同「交響曲第3番『カディッシュ』」です 演奏は②のチェロ独奏=櫃本瑠音、③のソプラノ独唱=高野百合絵、合唱=晋友会合唱団、児童合唱=東京少年少女合唱隊、朗読=大竹しのぶ、指揮=佐渡裕です

開演前に、いつものように佐渡監督によるプレトークがあり、概要次のように語りました 

「この日に演奏するベートーヴェン『レオノーレ序曲 第3番』とバーンスタイン『交響曲第3番”カディッシュ”』は、1985年にバーンスタインが来日し、原爆投下から40年の日に広島で指揮した「広島平和コンサート」と同じプログラムです 当時はテレビで観ましたが、バーンスタインは『終戦から40年経っても、人類はまだお互いに殺し合う兵器を作り続けている いったい我々はどうすればよいのか』と無念の思いを語っていました この言葉は、戦後80年目となる2025年の我々にも大きな意味を持っています。平和を願う祈りの音楽を東京大空襲で大きな被害を受けた墨田の地から発信したいと思います

音楽監督が、プレトークでその日の演奏曲目を取り上げた意図を解説するのはとても良いことだと思います 作品内容の理解に繋がり、指揮者の意気込みを感じることが出来ます

オケは14型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び コンマスは崔文洙、隣は伝田正秀という2トップ態勢を敷きます

1曲目はベートーヴェン「レオノーレ序曲」第3番です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が歌劇「フィデリオ」第2版初演の際に演奏するため1805年から06年にかけて作曲、1806年にウィーンで初演されました 「フィデリオ」の上演に際しては第2幕第2場への間奏曲として演奏されるケースが多いです

佐渡の指揮で演奏に入りますが、冒頭のオーケストラの総奏が気迫に満ちており、その後の演奏を引き締めました 終始集中力に満ちた演奏が展開しました

2曲目はバーンスタイン「ミサ曲」から「3つのメディテーション」です 「ミサ曲」はレナード・バーンスタイン(1918-1990)がジャクリーヌ・ケネディ・オナシスの委嘱により1970年から翌71年にかけて作曲、1971年9月8日にワシントンのケネディ・センターの開館式で初演されました 曲は通常のカトリックのミサ曲の進行に加えてジャズ・バンドや世界の世俗音楽など、様々な要素が盛り込まれた作品です バーンスタインは「ミサ曲」の中から「メディテーション」と呼ばれる楽章を抜粋・編曲し、チェロと管弦楽のための「3つのメディテーション」として作成しました

チェロ独奏の櫃本瑠音(ひつもと るね)は中学3年から「佐渡裕とスーパーキッズ・オーケストラ」に参加、首席チェロを務める 2021年にパリ地方音楽院を首席で卒業。第8回ビバホールチェロコンクール第2位及び岩谷賞受賞

オケは12型に縮小し、赤の勝負衣装に包まれた櫃本瑠音がステージ中央の所定の位置に進みます 予想よりも背丈がありちょっとビックリしました 2階正面のパイプオルガン席には室住素子がスタンバイします

佐渡の指揮で演奏に入りますが、確かにタイトル通り「メディテーション(瞑想)」を感じさせる曲想です 序盤はチェロの高音域の魅力を発揮する曲想で、中盤はチェロ本来の低音域の魅力が発揮されました また終盤では静から動へ、そして、動から静へと変遷し、祈りの音楽を奏でていきます

櫃本は終始、表情豊かなピッツィカートを含め 集中力に満ちた演奏を繰り広げ、低音から高音までチェロの魅力を存分に発揮しました

満場の拍手とブラボーの嵐の中、カーテンコールが繰り返されました 櫃本はアンコールに応え、マーク・サマー「ジュリー・オー」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました

プログラム後半はバーンスタイン「交響曲第3番『カディッシュ』」です この曲は1955年にクーセヴィツキー財団とボストン交響楽団から、翌年に祝われる同楽団の創立75周年記念作品の委嘱を受けたものの、指揮活動が多忙を極めたため、1961年から63年にかけて作曲、1963年12月10日にテル・アヴィヴでバーンスタイン指揮イスラエル・フィルにより初演されました この曲の完成直前にJ.F,ケネディ大統領が暗殺されたことから、その追悼に捧げられました「カディッシュ」はユダヤ教の祈りの歌で、伝統的な「カディッシュ」のテクストを声楽陣が歌い、語り手はバーンスタイン自身が書き下ろしたテクストを朗読します 第1楽章「祈り ~ カディッシュ1」、第2楽章「ディン・トーラー ~ カディッシュ2」、第3楽章「スケルツォ ~ カディッシュ3 ~ フィナーレ」の3楽章から成ります

ソプラノ独唱の高野百合絵は東京音楽大学大学院を首席で修了 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラの2021年「メリー・ウィドウ」ハンナ、23年「ドン・ジョバンニ」ドンナ・アンナ、24年「蝶々夫人」タイトルロールを歌い好評を博す

朗読の大竹しのぶは1975年、映画「青春の門 筑豊篇」のヒロイン役で本格的にデビュー、同年、朝の連続ドラマ「水色の時」に出演し国民的ヒロインとなる 以降、主要な映画・演劇賞を多数受賞している

弦楽器は16型に戻り、オケの後方に晋友会合唱団が、その上手側に東京少年少女合唱隊のメンバーがスタンバイします 舞台下手側にはピアノ、チェレスタ、ハープがスタンバイします もうこれ以上ステージには乗れません

大きな拍手の中、指揮者と共にナレーターとソリストが登場します ナレーターの大竹が指揮台の下手、ソプラノ独唱の高野が上手にスタンバイします

私は大竹の入場の様子を注意深く見ていましたが、彼女はニコリともせず表情を引き締めて所定の位置に進みました ここで聴衆や楽員に愛想を振りまきながら出てきたら、その時点でナレーター失格です 大竹はこれから取り組む「カディッシュ」で語るナレーションの意味を十分理解した上で、今ここにいることを自覚しています その凛々しい姿にプロフェッショナルを感じました

佐渡の指揮で演奏に入ります 口もとにピンマイクを付けた大竹のナレーションが会場に響き渡ります 何と素晴らしいナレーションだろうか 演劇的と言っても良いかもしれません テキストの内容を理解していなければ表現しえない語り口で、よどみなく語っていきます ここでもあらためてプロフェッショナルを感じました この曲は基本的に「語り」 ⇒ 「合唱」 ⇒ 「語り」 ⇒ 「合唱」という形で演奏が進みますが、大竹のナレーションの素晴らしさは後半に行くにしたがってますます冴え渡ります この日の公演の成功は彼女のナレーションなくしてあり得なかったと言っても過言ではありません

新日本フィルの渾身の演奏はいつも通りですが、迫力満点の合唱が素晴らしい 「カディッシュ」が単なるユダヤ教の祈りの歌ではなく、神への祈りと訴えの歌であることを力強い歌唱で表現しました ソプラノの高野のソロも美しくよく声が通りました

力強いフーガにより、スケールの大きなクライマックスを築き上げたフィナーレを聴いて、「バーンスタインの弟子・佐渡監督が本当にやりたかったのは、こういうことだったんだな」と納得しました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました 私は初めてこの曲を聴きましたが、この日の演奏は 何より「作曲家としてのバーンスタインの素晴らしさ」を再認識させたコンサートとして、後世に語り継がれることでしょう

終演後に、ロビーの受付で定期会員継続特典CD(佐渡裕指揮によるブルックナー「交響曲第7番」:2024年9月21日・トリフォニーホールにおけるライブ)をいただいてきました 私の場合は「サントリー定期」と「扉シリーズ」の会員なので2枚です

         

今日はサントリーホールに、ウクライナ出身の女性指揮者オクサーナ・リーニフによる 読売日響「第647回定期演奏会」を聴きに行きます


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