人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

凪良ゆう著「流浪の月」を読む ~ ロリコン青年と少女の物語:テーマは「事実と真実は違う」

2022年06月02日 07時16分50秒 | 日記

2日(木)。わが家に来てから今日で2699日目を迎え、岸田文雄首相は1日の衆院予算委員会で、ロシアのプーチン大統領が面会時間に大幅に遅刻した過去の経験に言及し、「外相時代にサンクトペテルブルクでプーチン氏と会談した際、2時間近く待たされた。私が2時間の会談を通じて感じたのは、プーチン氏は『試す人』だ」とプーチン評を披露した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     現在は世界中からプーチン・ロシアがどこまで経済制裁に耐えられるか試されてる

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキのソテー」「生野菜サラダ」「マグロの山掛け」「エノキダケの味噌汁」を作りました 最近、魚が高いですが仕方ないですかね

 

     

 

         

 

凪良ゆう著「流浪の月」(創元文芸文庫)を読み終わりました 凪良(なぎら)ゆうは滋賀県生まれ。2007年「花嫁はマリッジブルー」で本格的にデビュー 2019年に刊行した「流浪の月」が2020年本屋大賞を受賞した

 

     

 

家内更紗(かない さらさ)は市役所勤めの父と自由人である母に護られて自由気ままに幼少時代を過ごした しかし、小学4年生、9歳の時に父が消え、次に母が消え、伯母さんの家に引き取られることになる そこではかつての自由はなく、夜になると伯母さんの息子・孝弘が寝室に忍び込んできた。しかし更紗は誰にも相談できなかった ある日、更紗は公園で同級生たちがロリコンと呼んでいる一人の若者に出会う。彼は佐伯文(ふみ)という19歳の大学生だった 更紗が「家に帰りたくない」と言うと文は「うちにくる?」と訊くので着いていった。文の家で2か月間気ままに過ごしていると、いつの間にか、世間では「ロリコンによる女子小学生誘拐事件」として大騒ぎになっていることを知る そんなある日、パンダが見たくなって2人で動物園に行った。そこで、自分たちが周囲の人たちから注目されていることに気が付いたが、時は遅く、警察官から「誘拐された少女」として保護され、文はその場で「少女誘拐犯」として逮捕されてしまう 更紗は「文が誘拐したのではない。自分から文のことろに行ったのだ」と訴えるが、誰も相手にしてくれなかった

それから15年後、夜だけのコーヒー専門店 calico をやっている文と偶然の再会を果たす 更紗は29歳、文は34歳になっていた。更紗はファミリーレストランで働き、亮くんという男と付き合っていた。一方、文は南文と名前を変え、谷さんという女性と付き合っていた 更紗は calico に通うようになるが、それが亮くんにバレ、「被害者が加害者に心を奪われる”ストックホルム症候群”だ。もう会いに行くのは止めろ」と暴力を振るわれる 更紗は我慢できず、文と同じマンションの隣の部屋に引っ越す。ネットや週刊誌には「かつての誘拐犯と被害者が一緒に暮らしている」という記述が増え、その場にいられなくなる 結局、2人は地方に引っ越してコーヒー専門店 calico を開くことにする  calico とは日本語で更紗のことだ

この小説には大きなテーマが横たわっています。それは「事実と真実は違う」ということです 世間は「更紗は文に誘拐された」と勝手に決めつけて文を拘置所に送ってしまったが、実際には、「文は更紗に手だししていないし、更紗が伯母さんの家から逃れて文のところに逃げ込んだ」というのが真実だということです

更紗は職場の同僚のシングルマザー安西さんの娘・梨花ちゃんを文と一緒に一時預かることになりますが、更紗は布団に顔を伏せて声も出さずに泣く梨花ちゃんを抱き寄せて独白します

「わたしたちは親子ではなく、夫婦でもなく、恋人でもなく、友達というのもなんとなくちがう わたしたちの間には、言葉にできるようなわかりやすいつながりはなく、なににも守られておらず、それぞれひとりで、けれどそれが互いをとても近く感じさせている わたしは、これを、なんと呼べばいいのかわからない

更紗と文を結び付けているのは何なのか? 幼い頃のトラウマを持ち続けてきた更紗と、大人の女性には性愛の感情が持てず幼い女児が好きな文とを結びつけているのは何なのか

それは2人がお互いに「最後の拠り所」と思っていることではないだろうか どんなことがあっても、相手のことを否定しない、あるがままを受け入れる。夫婦とか恋人とかの関係性を乗り越えたところにある「やさしさ」かもしれません

なぜ著者は本書のタイトルに「流浪の月」と付けたのか  「流浪」とは「さすらう」「さまよう」という意味がありますが、家族や親せきから見放され、他に頼る人がいない者同士が出会い、当てもなく一緒に生きていくことを意味しているのだろうか

本作は李相日監督、広瀬すず、松坂桃季出演により映画化され、現在ロードショー公開中です さて、あなたは 読んでから観ますか、観てから読みますか

コメント (2)
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