人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

クラウス・マケラ ✕ 東京都交響楽団によりショスタコーヴィチ「交響曲第7番”レニングラード”」、ジノヴィエフ「バッテリア」を聴く

2022年06月27日 07時00分57秒 | 日記

27日(月)。昨日18時から、マンションの管理組合の定時総会が開かれたので出席しました 議題の最期に「次期役員選任の件」があり、部屋番号のローテーションにより今後2年任期の役員に就任しました。その後、新役員同士の互選により理事長に就任しました 家に帰って娘に「理事長だよ」と言うと、「えっ、また」と言われてしまいました。何回理事長をやったか数え切れません 次期は2回目の大規模修繕を控え管理費値上げを検討しなければならないので責任重大です 「一人はみんなのために、みんなは一人のために」をモットーに任期満了まで精一杯努めたいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2724日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は25日、北西部サンクトペテルブルクで同盟国ベラルーシのルカシェンコ大統領と会談し、核弾頭搭載可能な戦艦ミサイル「イスカンデルM」を数か月以内に供与すると述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ルカシェンコが ミサイル発射目標を ロシアに向けたら 世界の拍手喝采間違いなし

 

         

 

昨日の朝日朝刊 第1面の「深論  参院選の先に」コーナーに英国在住のライター、ブレイディみかこさんが登場していました 林尚行政治部長によるインタビューを超略すると次の通りです

「ブレイディみかこさんは『コロナ禍の後に来るのは貧困禍だ』として、英国でも物価の上昇が深刻化していると強調 ジョンソン政権の支持率低下は生活苦を強いられている庶民の怒りの表明だとの見方を示す一方で、野党が党内でもめている間に『与党政治に苦しむ人たちが置き去りになっている』とも分析した。日本の近年の参院選で印象に残っているのは、重度障害者の議員が誕生したことだと振り返り、『英国議会には様々な年代の男女がいて、人種も様々で、性的志向も様々。多様な当事者を議会に送ることは、社会的包摂力をめざす第一歩だ』と語る。ブレイディさんのベストセラー『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が多様性の時代を生きるヒントになると話題を呼び、『エンパシー』という言葉が注目された 『他人の感情や経験などを理解する能力』などと訳される。ブレイディさんは『今の日本の政治は、他者に対するエンパシーの足りなさが、今とは違う未来への想像力の足りなさにつながっているのかもしれない』と指摘。子ども政策などを例に挙げ、『エンパシーのある経済』と、その先にある『安心できる社会』を考えてはどうか、と提案した

ブレイディみかこ著『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んだ感想を2021年7月25日付toraブログに書いています ブレイディさんは「シンパシー」と「エンパシー」の違いなどについて詳細に語っています 興味のある方はご覧ください

     

         

 

昨日、サントリーホールで東京都交響楽団「第397回プロムナードコンサート」を聴きました プログラムは①サウリ・ジノヴィエフ「バッテリア」日本初演、②ショスタコーヴィチ「交響曲第7番 ハ長調 作品60 ”レニングラード” 」です 指揮はクラウス・マケラです

クラウス・マケラは1996年フィンランド生まれの26歳。シベリウス・アカデミーでヨルマ・パヌラに指揮を師事し、マルコ・ユロネン他にチェロを学ぶ。チェリストとして活動しつつ、指揮者として10代で頭角を現す 現在、オスロ・フィル首席指揮者兼芸術顧問、パリ管弦楽団芸術顧問兼音楽監督を務めています

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの都響の並び。コンマスは矢部達哉です

1曲目はジノヴィエフ「バッテリア」の日本初演です この曲はサウリ・ジノヴィエフ(1988年フィンランド生まれ)が2016年に作曲した演奏時間にして約10分の作品です

タクトを携えて指揮台の登壇したマケラは背が高くスマートな若者です マケラの指揮で演奏に入りますが、冒頭から感じるのは「人を不安にする音楽」です 全体的にはリズムを中心とする音楽ですが、時に「爆発」を感じさせる衝撃的な顔を見せます 中盤で盛大に鳴り響く和音が聴かれますが、作曲者自身のプログラムノートによると、作曲当時パリ、ブリュッセル、ニースで起こった連続テロに触発されて作曲したとのことです ジノヴィエフにとって作品に取り込むほど衝撃的な事件だったのでしょう

演奏後、1階の客席で聴いていたジノヴィエフがマケラに促されて登壇し、大きな拍手を浴びました

 

 

休憩なしの2曲目はショスタコーヴィチ「交響曲第7番 ハ長調 作品60 ”レニングラード” 」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906ー1975)がドイツ軍包囲下のレニングラードで1941年に作曲、1942年3月5日にクイビシェフで初演されました その後、同年3月29日にモスクワで初演され、4月11日には早くもスターリン賞を受賞しました 第1楽章「アレグレット」、第2楽章「モデラート(ポコ・アレグレット)」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります 

マケラの指揮で第1楽章が開始されます 冒頭の弦とファゴットによる「人間の主題」の演奏のあまりの速さに驚きました これが20世紀音楽の21世紀の演奏かと マケラは最初の1分で聴衆をショスタコーヴィチの世界に引き込んでしまう その後テンポが落ちますが、スネアドラムの静かな連打によって「戦争の主題」が現れ、次第に音量を増して本来の凶暴な姿を現します ステージ上の演奏者の人数が多いこともあって、最初のうちは、いったいどこで小太鼓を叩いているのか全く分かりませんでした この連打を聴いて思い浮かべるのはラヴェルの「ボレロ」です 曲の作りや展開が良く似ています これについては、増田良介氏がプログラムノートに次のように書いています

「ショスタコーヴィチは友人のイサーク・グリークマンを家に呼び、作曲中の交響曲の第1楽章提示部と、ファシストの侵略を表すと言われる部分をピアノで弾き、『批評家たちはラヴェルのボレロを真似したと非難するだろうね まあいいよ。私には戦争はこう聞こえるんだ』と語ったという

この交響曲についてはいろいろと解釈がありますが、増田氏は次のようにまとめています

「この交響曲がファシズムの侵攻をきっかけとして作曲され、その克服をテーマとしてことは確かだが、それは目の前で進行している戦争を具体的に描いているというわけではなく、より広い意味でのファシズムの非人間性の告発になっている、ということなのだろう

ショスタコーヴィチの「私には戦争はこう聞こえるんだ」という言葉は重い 「最初は聞こえるか聞こえないか分からないほど小さな音で発せられ、次第に大きくなっていき、最後には狂暴とも思われるほどの姿を現す・・・それが戦争というものだ」ということでしょうか 聴きごたえのある第1楽章です

実質的なスケルツォに当たる第2楽章を経て、第3楽章では、中盤でヴァイオリンセクションによる美しいアンサンブルが演奏されます 都響の誇る弦楽セクションの聞かせどころです 第4楽章では楽器指定4本のところ9本に拡大されたホルンの重厚な演奏が印象的でした

マケラは途中弛緩することなく、約80分を集中力に満ちたタクト捌きにより、最弱音から最強音までメリハリの効いたスケールの大きな演奏を都響から引き出していました

満場の拍手がマケラと都響の面々に押し寄せ、カーテンコールが繰り返されました 楽団員が引き揚げても拍手が鳴りやまず、マケラだけが再登場し、スタンディングオベーションに応えていました

弱冠26歳のマケラですが、音楽づくりにわざとらしさがなく流れが自然で、実力・人気ともタダ者ではない、と思いました

 

     

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