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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

渡邊一正+東京フィルでチャイコフスキー「幻想序曲”ロメオとジュリエット」他を聴く

2016年02月08日 07時44分03秒 | 日記

8日(月)。わが家に来てから498日目を迎え、人生の来し方を振り返るモコタロです

 

          

           今年も残りはあと326日かぁ・・・月日の流れは速いなぁ

 

  閑話休題  

 

昨日の日経「読書」欄に、大内孝夫という人が書いた「『音大卒』の戦い方」(ヤマハミュージックメディア。1600円)という本が紹介されていました 超訳すると

「音大を卒業しても演奏家として活躍できる人は一握り。夢の実現が難しい場合は『思考のスイッチ』を切り替え、別の道を思索すべき。厳しい教育を受けた音大生はコミュニケーション能力や精神力などに優れており、一般企業でも十分働ける。実際に出会った学生の例を挙げながら音大生のサバイバル術を伝授する」

というものです。当ブログの読者に音大生の方がいらっしゃったら参考にされてはいかがでしょうか

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで東京フィルのコンサートを聴きました これは「2016都民芸術フェスティバル」の一環として開かれた公演です。プログラムは①ワーグナー「歌劇”タンホイザー”序曲」、②ショパン「ピアノ協奏曲第1番ホ短調」、③マーラー「交響曲第5番嬰ハ短調」から第4楽章「アダージェット」、④チャイコフスキー「幻想序曲”ロメオとジュリエット”」で、②のピアノ独奏はポーランド出身のイグナツ・リシェツキ、指揮は渡邊一正です

 

          

 

自席は1階H列22番、センターブロック右から3つ目です。会場はほぼ満席です オケの面々が入場して配置に着きます。コンマスは三浦章宏。その隣になぜか第2ヴァイオリン首席の戸上眞里がスタンバイしています。その理由は後で分かります

1曲目はワーグナーの歌劇「タンホイザー」序曲です 東京フィルの演奏で聴きながら、昨年12月2日に新宿ピカデリーで観たMETライブビューイングの「タンホイザー」の冒頭場面を思い浮かべていました。歌人騎士タンホイザーが地下洞窟ヴェーヌスベルクで淫蕩に耽っている有様が、怪しげなワーグナーの管弦楽に乗って踊られる素晴らしいバレエによって見事に表出されていました 東京フィルの演奏はあの映画を彷彿とさせる素晴らしい出来でした

曲の中盤で、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンによる二重奏が聴かれます これが戸上眞里がコンマスの隣に座っていた根拠でした。素晴らしいアンサンブルでした

グランド・ピアノがステージ右サイドから中央に運ばれ、2曲目のショパン「ピアノ協奏曲第1番ホ短調」の演奏に備えます ソリストのイグナツ・リシェツキはドイツ、ウクライナ、ユダヤ系ポーランド人ということですが、ピアニストだけでなく作曲も手掛けているとのことです

メガネをかけたリシェツキはどちらかというと人懐こそうな顔つきで、にっこり笑ってピアノに向かいます H列は前から8列目なので、ピアノの音が蓋に反射して直接的に耳に入ってきます。一音一音の粒立ちがきれいです。彼の演奏で一番良かったのは第2楽章「ロマンツァ」です これほどロマンティックな曲は他にあるだろうか、と思われるほどロマンに満ちた曲想ですが、リシェツキはまさに「男のロマン」として弾きました

カーテンコールに気を良くしたリシェツキは、アンコールにバッハの「アリオーソ」を淡々と、次いでショパンの「ノクターン”遺作”」をしみじみと演奏、拍手喝さいを浴びました

 

          

 

休憩後の最初はマーラーの「交響曲第5番嬰ハ短調」から第4楽章「アダージェット」です 弦楽奏者とハープのみがステージにスタンバイします。5楽章から成る交響曲の第4楽章だけを取り出して演奏することについては、批判もあると思います もし、これをオーケストラの定期演奏会で演奏したとしたら私も怒りますが、この公演は「フェスティバル」の一環としてのコンサートですから、一般客を定期会員に勧誘する絶好のチャンスだと考えれば、許せる範囲かな、と思います いつ聴いても、何度聴いても感動します。弦楽とハープだけという演奏形態は絶妙だと思います

さて、最後は管楽器と打楽器が加わって、チャイコフスキーの「幻想序曲ロメオとジュリエット」が演奏されます 言うまでもなく、この曲はシェイクスピアの戯曲をもとに作曲者が29歳の時に作曲されたものですが、ロメオとジュリエットの出会いから死までを濃厚な管弦楽によって物語っています これほど”具体的な”音楽も珍しいでしょう。物語をそのまま管弦楽で描写しているからです

この曲を理解するのに最適な本があります。それは慶大教授・許光俊著氏が書いた「クラシックを聴け!完全版」(ポプラ文庫・税別600円)です この本の中で著者は「基本の3曲。これだけ聴けば、クラシックは完全にわかる」として①チャイコフスキー「幻想序曲ロメオとジュリエット」、②モーツアルト「ピアノ・ソナタ第15番」、③ベートーヴェン「交響曲第9番」を挙げています

チャイコフスキー「幻想序曲ロメオとジュリエット」では、セルジュ・チェルビダッケ指揮ミュンヘン・フィルのCDを題材に取り上げて、その演奏に沿って曲を解説していきます。例えば

00:00 木管楽器(クラリネットとファゴット)が幻想的で荘重な和音を奏でる。

00:44 チェロやコントラバスといった音の低い弦楽器が沈痛な調べを奏でる。

06:22 両家の激しい闘いを示す音楽。

といった具合です 上はほんの一例で、本当はもっと詳細に書かれています。クラシック音楽入門者にとって、これほど親切で分かり易い入門書はないでしょう

 

          

 

話を戻します。渡邊一正+東京フィルは、屈指のメロディーメーカー、チャイコフスキーの傑作をドラマティックに演奏し、聴衆を魅了しました

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