守田です。(20150205 0:30)
アメリカの暴力を正してこれなかった歴史の捉え返しの続きです。
私たちが今、世界の中で失いつつあるものは、実は私たちが太平洋戦争において、これほどの戦争被害を受けたことへの世界の同情と共感です。とくに西欧キリスト教国に長い間、植民地支配され、たくさんのものを強奪されてきたアラブ、中東の人々、ムスリムの人々のシンパシイです。
アメリカは一度も反省しなかったけれども、中東の人々は日本が原爆の被害を受けたことを本当に深く受け止めてきてくれたのでした。アメリカの空襲被害の絶望から再度立ち上がり、平和産業を発展させてきた国として私たちに好感を持ち続けてきてくれたのです。
実際には私たちの国はもう長い間、アメリカにくっついてアメリカの戦争に協力してきました。たくさんの経済支援をしてきました。だから残念ながらそれは「美しい誤解」でもありましたが、しかしありがたい誤解でもありました。
ところが今、中東の多くの人々が「誤解」に覚醒してしまいつつあります。日本を長らく中東を植民地支配してきた「十字軍」の一員としてみなし始めているのです。
今回の安倍首相の訪問で言えば、極めて決定的だったのは、人質事件に対する声明をイスラエルで出してしまったことでした。しかもイスラエル国旗と日の丸に挟まれる形で安倍首相は発言しました。「テロを許さない」と好戦的に述べました。
しかし中東の地で、もっとも陰惨な軍事攻撃を繰り返しているテロ国家がイスラエルであること、しかも「テロ対策」を口実に、国際法も平然と犯し、国連勧告もたびたび無視して殺りくを繰り返している国がイスラエルであることを、「イスラム国」どころかアラブの人々の誰もが知っています。
イスラエルを全面バックアップしているアメリカも、アラブの怒りを熟知しており、だからこそ湾岸戦争にもイラク戦争にも、イスラエルの軍隊を介入させませんでした。そんなことをすれば怒りの反発がどこまで広がるか分からないからでした。
にも関わらず、安倍首相はイスラエルやアメリカの好戦的な人々がもっとも喜ぶ形であの宣言を出してしまいました。どれほどのアラブの人々、ムスリムの人々が落胆したことでしょうか。落胆し、悲しみを感じ、裏切られたと思って怒りを感じたことでしょうか。
私たちはこのあまりに危険な状態から立ち戻らなくてはなりません。そのために日本民衆ははっきりと"I AM NOT ABE"と叫ぶ必要があります。
しかしそれだけではもう足りないと僕は思います。アメリカの戦争に私たち日本民衆が真っ向から反対している姿をこそ世界に示す必要があります。私たち、かつてアメリカに手酷い被害を受けた国の民が、アメリカの戦争に大反対し、その姿を世界にアピールする必要がある。
そのために、たった今、行われている沖縄の民衆の奮闘をもっと強く支援して世界にも紹介しましょう。それは私たちの安全保障にもつながります。アメリカの基地はもう一つもいらないという声を全国で高めましょう。
同時にアメリカの戦争犯罪を今こそ告発しましょう。イスラエルの戦争犯罪とガザの封鎖をも告発しましょう。私たちの国の若者にもっともっとアメリカの非道性を教育しましょう。パレスチナの現状をもっとみんなで学びましょう。
その上で私たち日本の民衆は、アメリカの戦争犯罪に対して暴力で仕返しする発想などまったく持っていないこと、アメリカを道義的に諫め、今も続く非道な殺人を止めさせようと説得的に行動していることをアピールしましょう。
実際、私たちは原爆投下に対しても一度もアメリカ国民への報復など試みてきませんでした。それは誇るべきことです。しかし批判はもっともっとしなくてはいけない。アメリカが目覚めるまで続けなくてはいけません。
私たちのアメリカに向けた道義的な批判は、アメリカ人をも救うことにつながります。アメリカの中で数々の戦争への捉え返しが進んでこそ、現代の戦争が抑止され、戦場に送りこまれるアメリカ人の数も減らせるからです。
アメリカではベトナム戦争でもイラク戦争でも、戦場での戦死より帰国後の元兵士による自殺の方が多いのです。アメリカ人は自らの戦争の中で人間性を内側から壊されてしまっているのです。そのアメリカ人をも救う必要があります。
そのためにも私たちはアメリカへの批判を全面化させる必要があります。自民党政権に対しても大義など寸分もなかったイラク戦争を全面支援し、自衛隊を送りこんだことへの批判を今こそ徹底して行う必要があります。
同時にアメリカの私たちへの暴力の歴史を日本本土空襲、沖縄戦、原爆投下に立ち戻って捉え返し、深め、批判していく必要があります。
本土空襲批判は、今の「イスラム国」への空襲をはじめ、各地で繰り返されてきた空襲への批判へとつなげなくてはいけない。空襲では軍隊と民間人とを区別することが極めて困難です。だから空襲そのものが戦争犯罪なのです。
沖縄戦への批判は、その後の70年の占領への批判として、辺野古新基地建設を許さない沖縄の心を全国でシェアしていく運動へとつなげ発展させていきましょう。
原爆への批判は放射線防護の問題へと発展させなくてはなりません。アメリカは核戦略の維持のために被爆者の放射線被害をものすごく小さく扱ったのです。それが現在の放射線学のスタンダードにされたのです。
このもとに、その後の数々の被曝の暴力性が矮小化され、もみ消されてきました。全世界を巻き込んだ核実験、相次ぐ核兵器製造工場からの放射能漏れ、そしてスリーマイル、チェルノブイリ、福島と続く深刻な原発事故による被曝です。
実はこの暴力の被害こそ、もっとも甚大である可能性があります。人々を長い間病に苦しめ、最後的に殺害していくからです。しかも被害者に気付かない形でです。今のところ完全犯罪です。
この流れをひっくり返すために、隠された被曝について学び、内部被曝の危険性を表に出し、被曝を放置してきたアメリカのみならず、原子力を推進してきた各国政府への追及を行う必要があります。
すべては暴力との闘いです。
大事なのは闘う相手に感化されてしまわないこと。私たちが暴力的になってしまわないことです。
だから憎しみからではダメです。人間愛から、平和を愛する心から出発し、最後まで歩みとおさなくてはいけない。
そのために後藤さんが示してくれた優しさ、温かさをしっかりと心にとめおいて、この戦争の流れと対決していきましょう!アメリカの戦争への協力を拒否し、世界平和へと歩みつづけましょう!
終わり
*****
2月7日、2月8日と滋賀と京都でアメリカの暴力の根幹にある放射線被曝の問題に関する講演会を行います。講師は内部被曝問題の第一人者である琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬さんです。
以下の詳細を貼り付けます。お近くの方、ぜひご参加下さい。
矢ヶ崎克馬先生お話会
内部被曝ってなあに?
日時:2015 年2月7日(土)
午前の部 11:00~12:30 昼食持ち寄り座談会
午後の部 13:00~14:30 矢ヶ崎先生お話会
14:30~16:00 矢ヶ崎先生&守田敏也さん対談+質疑応答
会場: 明日都浜大津 5階中会議室
大津市浜大津四丁目1番1号 Tel 077-527-8351
JR大津駅から徒歩約10分 京阪浜大津駅から陸橋を渡って徒歩 約1分
参加費: 午前の部 ひとり300円(会場費として)
午後の部 ひとり500円(会場費・資料代として) カンパもよろしくお願いします!
午前の部にご参加の場合は昼食をお持ちください。
午後の部の途中でお茶休憩を入れます。差し入れ大歓迎です!
託児はありませんが、親子スペースを設けますのでお子さんもご一緒に参加していただけます。
人数把握のため、下記ま で事前にお申し込みいただけるとありがたいです。
お問い合わせ・お申し込み
E-mail:asunowa_kouenkai@yahoo.co.jp TEL : 077-586-0623(暮らしを考える会)
主催: ネットワークあすのわ
***
矢ヶ崎さん講演会
隠されてきた内部被曝の危険性
日時 2月8日(日)午後1時開場 1時半開始
場所 京都大学吉田南4号館1階 4共11教室
講演 矢ヶ崎克馬(琉球大学名誉教授)
パネルディスカッション パネラー
矢ヶ崎さんほか、加藤あいさん(日本共産党京都市会議員)
広海ロクローさん(ノンベクキッチン ホテヴィラ店主)
コーディネイター 守田敏也さん(フリーライター)
参加費1000円
主催 矢ヶさん講演会実行委員会
代表:守田敏也(090-5015-5862)morita_sccrc@yahoo.co.jp
予約はいりません。
託児はありませんが子どもと親御さんが一緒に入れるスペースを作ります。
絵本など準備します。泣き声など気にせずに会場内でお話を聞いてください。
以下の記事により詳しい情報があります。
明日に向けて(1031)被曝隠し、被曝強制という暴力について学ぼう(矢ヶ崎さん講演会へのお誘い)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/e2f8ccb78b976872a018b59ac963d2e6