守田です。(20110727 10:00)
7月26日の毎日新聞に短いですが、注目すべき記事が出ました。短いので全
文を掲載します。
放射性物質:福島産の小麦とナタネからセシウム検出
福島県は25日、広野町で採取した小麦から国の暫定規制値の1キロ当たり
500ベクレルを超える放射性セシウム同630ベクレルを、田村市で採取
したナタネから同720ベクレルを検出したと発表した。いずれも出荷され
ていない。小麦については農家1戸、ナタネは複数の関係農家に出荷自粛を
要請した。小麦、ナタネともに暫定規制値を超えたのは初めて。【種市房子】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110726k0000m040194000c.html
小麦から1キロあたり630ベクレルの放射性セシウムを検出・・・。これは今
後さまざまな地域の穀物から汚染が発見される前触れだと思います。
この点については、少し前になりますが7月2日のウォールストリートジャー
ナル日本版に載った記事が参考になります。
「日本の放射能問題は深刻=元内閣官房参与・小佐古氏」と題した記事で、
いわゆる20ミリシーベルト問題で、泣きながら辞任の記者会見を行った小佐
古氏から、辞任後初のインタビューをとったものです。
ここで記事は次のように述べています。
「菅内閣は海の汚染や魚への影響について迅速な分析ができておらず、汚染除
去コストを最小限に抑えるために特定の放射能の危険性を過小評価していると
述べた。日本の放射線安全学における第一人者である小佐古氏がメディアの取
材に応じたのは、4月に内閣官房参与を辞任して以来初めて。
同氏は、茶葉やほうれん草など、食品の汚染については、既に散発的に報告さ
れているものの、今年後半、特に日本人の主食である米の収穫が始まった頃に、
より広範な、憂慮すべき問題が明らかになるだろうとした。」
小佐古氏はここで、今後、コメの放射能汚染が明らかになるとともに、「より
広範な、憂慮すべき問題が明らかになるだろう」と述べています。注目に値す
る発言です。
小佐古氏が辞任した時、僕はその背後にあるものを分析し、3回にわたって記
事を書きました。涙ながらの会見には、小佐古氏の隠しようのない心情が表れ
ていると感じたのですが、その後、被爆3世の友人より、小佐古氏は、被爆者
の裁判で、常に国側証人として被爆者の前に立ちふさがってきた「御用学者」
であることを教えられ、涙の背景にあるものを分析する必要を感じたからです。
その結果、見えてきたのは、小佐古氏が、20ミリシーベルトという数値の危険
性に反対しているのみならず、放射能汚染の実態を隠し続けている政府の姿勢
についていけなくなり、もうこれ以上、共犯者になりたくないと辞任したので
はないかということでした。これは当時の小佐古氏の発言を分析していくと
見えて来るものです。興味のある方は是非、以下をご覧下さい。
明日に向けて(87)福島で、原発で何が起こっているのか。小佐古さん辞任劇
を読む・・・1
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8d11166c8ec7f8b593d329e178bdc616
明日に向けて(88)同・・・2
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/b6d4d0a48defc519784b4920b1ae1f4c
明日に向けて(91)同・・・3
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/4a704624345ae4f2b81558f8cf71a805
今回のインタビューにおけるコメの汚染に関するかなり確定的なの予測や、コ
メのことが明らかになるとともに「より広範な憂慮すべき問題が明らかになる」
との発言も、小佐古氏が、放射能汚染の深刻な実態を、この時点でつかんでいた
からこそ、可能になっていることは明白です。
つまりここから明らかなのは、放射能汚染の実態は、今、表面化しているもの
よりもかなり深刻であり、それが今後、不可避的に全面化してくるだろうとい
うことです。そのときの社会的インパクトは、今、話題になっているセシウム
による牛肉の汚染問題をはるかに凌駕することになります。問題が主食に及ぶ
からであり、かつ「より広範に」問題が出て来るだろうからです。
この点について、小佐古氏は問題を小出しにしないで、もっと知り得ているこ
とをきちんと公表すべきだと思いますが、いずれにせよ私たちは、食料汚染が
さらに大きな規模で進行していること、それがこれから表面化してくることに
ある種、腹をくくって向き合っていかねばならないと思います。
さらに注意しておくべき点は、こうした小佐古氏辞任劇が、4月初旬における
アメリカの日本政府への介入の強化と、その後の「放射能ストレスキャンペー
ン」のはじまり、つまり放射能の害はそれほど大きくなく、むしろそれを怖が
る方が害があるのだというキャンペーンや、4月15日の「チェルノブイリ事故
との比較」という、同事故をきわめて過少に評価し、被害実態を隠ぺいした、
ほとんど詐欺のような文章の首相官邸HPへの掲載などの流れの中で起こって
きたということ。つまりこの辞任劇には放射能汚染隠しの強化が背景にあった
ことであり、これが今なお継続中だということです。
それがここ数日、俄かにもち上がってきた、「生涯許容量100シーベルト」なる
キャンペーンの開始だと僕は思います。これは明らかに今後、主食の放射能汚
染が表面化することに対し、「それを食べ続けても生涯に100ミリシーベルトに
ならないから大丈夫だ」と強弁することを見据えた法制化の動きだと思われます。
つまり政府は、汚染の表面化に対して、それと立ち向かい、除去するのではな
く、汚染が表面化しても「問題がない」ように法を整備し、あるいは作り変え、
事態に対処しようとしているのです。繰り返しますが、汚染に立ち向かうので
はなく、汚染を国民と住民に受け入れさせることを考えているのです。
これは事故以来、政府が一貫してとってきた姿勢です。放射能の危険性から
国民と住民を守るのではなく、被曝被害への国民と住民の怒りから、政府を、
あるいは国際的な原子力産業を守ろうとしてきたのです。そのために、許容量を
どんどん緩くしてしまうなど、汚染を汚染と捉えないための整備を行い、危険を
安全といいかえ、結果的には被曝をどんどん促進する方策をとり続けてきたのが
私たちの政府です。
事故当初に福島に山下俊一教授を送りこんで、「心配するな。被曝などしない。
マスクもしなくていい」と言い続けたことと同じことが、今、国家レベルで、
行われようとしています。
・・・この問題の解析を続けます。
*********************************
【インタビュー】日本の放射能問題は深刻=元内閣官房参与・小佐古氏
ウォールストリートジャーナル日本版 2011年7月2日
菅内閣の元官房参与、小佐古敏荘氏(61)が原発事故に対する政府の対応を痛
烈に批判し、今後、放射能の脅威がさらに露呈する可能性があると警告した。
ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに応じた小佐古氏は、菅内閣
は海の汚染や魚への影響について迅速な分析ができておらず、汚染除去コスト
を最小限に抑えるために特定の放射能の危険性を過小評価していると述べた。
日本の放射線安全学における第一人者である小佐古氏がメディアの取材に応じ
たのは、4月に内閣官房参与を辞任して以来初めて。
同氏は、茶葉やほうれん草など、食品の汚染については、既に散発的に報告さ
れているものの、今年後半、特に日本人の主食である米の収穫が始まった頃に、
より広範な、憂慮すべき問題が明らかになるだろうとした。
同氏は、「今年の秋の収穫の時期が来れば混乱がおきる。収穫した時に米の中
に、どのようなレベルかわからないが、放射能が入っている。それがスキャン
ダルになり、東北の米は買わないということになれば、やっかいなことになる」
と述べた。
さらに、3月11日に原子炉が津波の被害を受けて以来、福島第1原発の状況に対
して政府がとってきた対応は、日本の政策決定のまずさを露呈したとし、「政
府の意思決定メカニズムははっきりしない。どういう理屈で何を決めているの
かはっきりしない。とても民主主義社会とは思えない」と述べ、東アジアの発
展途上国のような状況になっているとの見方を示した。
小佐古氏は、具体的に、校庭における放射能の許容水準を超える学校が17校に
とどまるよう、政府は許容水準を比較的高いレベルに設定した、と述べた。同
氏が主張していたようにより低い水準に設定した場合、何千校もの学校で全面
的な放射能除去作業が必要になる。菅首相率いる民主党は補正予算の国会承認
を得るために苦慮しており、同氏は、このようにコストがかかる選択肢は支持
されなかった、としている。
「今の内閣は生き延びるためだけに、色々な対策をうっているとしか私には考
えられない」と同氏は述べた。
本紙が小佐古氏の主張について政府のコメントを求めたところ、内閣府の高官
が匿名で回答し、政府は海の放射能除去に向けて最大限の努力をしており、漁
業従事者やその他関係者と緊密に協力していると述べた。
同高官は、「特に主食の米には細心の注意をはらっている」と述べ、既に作付
けは制限されているが、もし基準値を超える放射能が検出された場合は出荷を
停止すると付け加えた。
また、学校の問題については、政府は許容レベルの引き下げに向けて検討中で
あり、追加措置も考慮しているとした。
今年4月30日、政府や学界の審議会などに数多く参加してきた東京大学教授の小
佐古氏が菅内閣の官房参与を辞任したため、政府の原発事故対応をめぐる懸念
に拍車がかかった。小佐古氏は、同氏を含む専門家が行った多くの申し入れは
取り入れられなかったとしており、政府が定める校庭の放射能許容水準は「受
け入れられない」とした。自分の子どもでもそういう目に遭わせることはでき
ないと記者会見で涙をぬぐう同氏の姿は全国に放映された。
その後2カ月間、同氏は東京大学で放射線安全学の講義に集中してきたが、まず
は海外で心の内を明かす準備ができたと述べ、今後数週間は米国や台湾で講演
を行う。
同氏は、特に、被災した原子炉から周辺の海に廃棄された大量の放射性物質が
海を汚染する可能性について懸念を深めている。政府は、福島第1原発の原子炉
冷却過程で、何が海に廃棄されたのか、大ざっぱな報告しか発表していない。
小佐古氏は、海水の監視や、汚染水の拡散状況の予想をこれまで以上に行い、
海草から貝類、魚類にいたるまで様々な種類の汚染に対応するための措置を実
行するように求め、「ずっとやれやれといってきたのに、やっていない」と述
べた。
同氏は辞任の際、官房参与だった6週間に行ったすべての申し入れをまとめた、
「福島第一原子力発電所事故に対する対策について(参与提言を中心に)報告
書」と題する分厚い文書を政府高官に提出した。本紙は独立した情報源からそ
の文書のコピーを手に入れている。
3月16日に官房参与に着任して以来、小佐古氏とその他の専門家の一部は幅広く
様々な提言を行ってきたが、中には何週間も経ってから一般に知られるように
なったものもある。例えば、3月17日には、政府の緊急時迅速放射能影響予測
ネットワークシステム(SPEEDI)で「合理的な最悪のケース」を使い、
住民の被曝レベルを予想することを提言した。
3月18日には、政府の原子力安全委員会に対し、SPEEDIによるシミュレー
ションに基づいて、当初の避難区域の妥当性を再考するように勧告した。
しかし、SPEEDIデータは3月23日まで一般には公開されず、避難区域は
4月11日まで変更されなかった。政府を批判する向きは、そうした遅れによっ
て、何千人もの福島県住民が高レベルの放射能にさらされた可能性があるとし
ている。
記者: YUKA HAYASHI
http://jp.wsj.com/Japan/node_258611
7月26日の毎日新聞に短いですが、注目すべき記事が出ました。短いので全
文を掲載します。
放射性物質:福島産の小麦とナタネからセシウム検出
福島県は25日、広野町で採取した小麦から国の暫定規制値の1キロ当たり
500ベクレルを超える放射性セシウム同630ベクレルを、田村市で採取
したナタネから同720ベクレルを検出したと発表した。いずれも出荷され
ていない。小麦については農家1戸、ナタネは複数の関係農家に出荷自粛を
要請した。小麦、ナタネともに暫定規制値を超えたのは初めて。【種市房子】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110726k0000m040194000c.html
小麦から1キロあたり630ベクレルの放射性セシウムを検出・・・。これは今
後さまざまな地域の穀物から汚染が発見される前触れだと思います。
この点については、少し前になりますが7月2日のウォールストリートジャー
ナル日本版に載った記事が参考になります。
「日本の放射能問題は深刻=元内閣官房参与・小佐古氏」と題した記事で、
いわゆる20ミリシーベルト問題で、泣きながら辞任の記者会見を行った小佐
古氏から、辞任後初のインタビューをとったものです。
ここで記事は次のように述べています。
「菅内閣は海の汚染や魚への影響について迅速な分析ができておらず、汚染除
去コストを最小限に抑えるために特定の放射能の危険性を過小評価していると
述べた。日本の放射線安全学における第一人者である小佐古氏がメディアの取
材に応じたのは、4月に内閣官房参与を辞任して以来初めて。
同氏は、茶葉やほうれん草など、食品の汚染については、既に散発的に報告さ
れているものの、今年後半、特に日本人の主食である米の収穫が始まった頃に、
より広範な、憂慮すべき問題が明らかになるだろうとした。」
小佐古氏はここで、今後、コメの放射能汚染が明らかになるとともに、「より
広範な、憂慮すべき問題が明らかになるだろう」と述べています。注目に値す
る発言です。
小佐古氏が辞任した時、僕はその背後にあるものを分析し、3回にわたって記
事を書きました。涙ながらの会見には、小佐古氏の隠しようのない心情が表れ
ていると感じたのですが、その後、被爆3世の友人より、小佐古氏は、被爆者
の裁判で、常に国側証人として被爆者の前に立ちふさがってきた「御用学者」
であることを教えられ、涙の背景にあるものを分析する必要を感じたからです。
その結果、見えてきたのは、小佐古氏が、20ミリシーベルトという数値の危険
性に反対しているのみならず、放射能汚染の実態を隠し続けている政府の姿勢
についていけなくなり、もうこれ以上、共犯者になりたくないと辞任したので
はないかということでした。これは当時の小佐古氏の発言を分析していくと
見えて来るものです。興味のある方は是非、以下をご覧下さい。
明日に向けて(87)福島で、原発で何が起こっているのか。小佐古さん辞任劇
を読む・・・1
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8d11166c8ec7f8b593d329e178bdc616
明日に向けて(88)同・・・2
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/b6d4d0a48defc519784b4920b1ae1f4c
明日に向けて(91)同・・・3
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/4a704624345ae4f2b81558f8cf71a805
今回のインタビューにおけるコメの汚染に関するかなり確定的なの予測や、コ
メのことが明らかになるとともに「より広範な憂慮すべき問題が明らかになる」
との発言も、小佐古氏が、放射能汚染の深刻な実態を、この時点でつかんでいた
からこそ、可能になっていることは明白です。
つまりここから明らかなのは、放射能汚染の実態は、今、表面化しているもの
よりもかなり深刻であり、それが今後、不可避的に全面化してくるだろうとい
うことです。そのときの社会的インパクトは、今、話題になっているセシウム
による牛肉の汚染問題をはるかに凌駕することになります。問題が主食に及ぶ
からであり、かつ「より広範に」問題が出て来るだろうからです。
この点について、小佐古氏は問題を小出しにしないで、もっと知り得ているこ
とをきちんと公表すべきだと思いますが、いずれにせよ私たちは、食料汚染が
さらに大きな規模で進行していること、それがこれから表面化してくることに
ある種、腹をくくって向き合っていかねばならないと思います。
さらに注意しておくべき点は、こうした小佐古氏辞任劇が、4月初旬における
アメリカの日本政府への介入の強化と、その後の「放射能ストレスキャンペー
ン」のはじまり、つまり放射能の害はそれほど大きくなく、むしろそれを怖が
る方が害があるのだというキャンペーンや、4月15日の「チェルノブイリ事故
との比較」という、同事故をきわめて過少に評価し、被害実態を隠ぺいした、
ほとんど詐欺のような文章の首相官邸HPへの掲載などの流れの中で起こって
きたということ。つまりこの辞任劇には放射能汚染隠しの強化が背景にあった
ことであり、これが今なお継続中だということです。
それがここ数日、俄かにもち上がってきた、「生涯許容量100シーベルト」なる
キャンペーンの開始だと僕は思います。これは明らかに今後、主食の放射能汚
染が表面化することに対し、「それを食べ続けても生涯に100ミリシーベルトに
ならないから大丈夫だ」と強弁することを見据えた法制化の動きだと思われます。
つまり政府は、汚染の表面化に対して、それと立ち向かい、除去するのではな
く、汚染が表面化しても「問題がない」ように法を整備し、あるいは作り変え、
事態に対処しようとしているのです。繰り返しますが、汚染に立ち向かうので
はなく、汚染を国民と住民に受け入れさせることを考えているのです。
これは事故以来、政府が一貫してとってきた姿勢です。放射能の危険性から
国民と住民を守るのではなく、被曝被害への国民と住民の怒りから、政府を、
あるいは国際的な原子力産業を守ろうとしてきたのです。そのために、許容量を
どんどん緩くしてしまうなど、汚染を汚染と捉えないための整備を行い、危険を
安全といいかえ、結果的には被曝をどんどん促進する方策をとり続けてきたのが
私たちの政府です。
事故当初に福島に山下俊一教授を送りこんで、「心配するな。被曝などしない。
マスクもしなくていい」と言い続けたことと同じことが、今、国家レベルで、
行われようとしています。
・・・この問題の解析を続けます。
*********************************
【インタビュー】日本の放射能問題は深刻=元内閣官房参与・小佐古氏
ウォールストリートジャーナル日本版 2011年7月2日
菅内閣の元官房参与、小佐古敏荘氏(61)が原発事故に対する政府の対応を痛
烈に批判し、今後、放射能の脅威がさらに露呈する可能性があると警告した。
ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに応じた小佐古氏は、菅内閣
は海の汚染や魚への影響について迅速な分析ができておらず、汚染除去コスト
を最小限に抑えるために特定の放射能の危険性を過小評価していると述べた。
日本の放射線安全学における第一人者である小佐古氏がメディアの取材に応じ
たのは、4月に内閣官房参与を辞任して以来初めて。
同氏は、茶葉やほうれん草など、食品の汚染については、既に散発的に報告さ
れているものの、今年後半、特に日本人の主食である米の収穫が始まった頃に、
より広範な、憂慮すべき問題が明らかになるだろうとした。
同氏は、「今年の秋の収穫の時期が来れば混乱がおきる。収穫した時に米の中
に、どのようなレベルかわからないが、放射能が入っている。それがスキャン
ダルになり、東北の米は買わないということになれば、やっかいなことになる」
と述べた。
さらに、3月11日に原子炉が津波の被害を受けて以来、福島第1原発の状況に対
して政府がとってきた対応は、日本の政策決定のまずさを露呈したとし、「政
府の意思決定メカニズムははっきりしない。どういう理屈で何を決めているの
かはっきりしない。とても民主主義社会とは思えない」と述べ、東アジアの発
展途上国のような状況になっているとの見方を示した。
小佐古氏は、具体的に、校庭における放射能の許容水準を超える学校が17校に
とどまるよう、政府は許容水準を比較的高いレベルに設定した、と述べた。同
氏が主張していたようにより低い水準に設定した場合、何千校もの学校で全面
的な放射能除去作業が必要になる。菅首相率いる民主党は補正予算の国会承認
を得るために苦慮しており、同氏は、このようにコストがかかる選択肢は支持
されなかった、としている。
「今の内閣は生き延びるためだけに、色々な対策をうっているとしか私には考
えられない」と同氏は述べた。
本紙が小佐古氏の主張について政府のコメントを求めたところ、内閣府の高官
が匿名で回答し、政府は海の放射能除去に向けて最大限の努力をしており、漁
業従事者やその他関係者と緊密に協力していると述べた。
同高官は、「特に主食の米には細心の注意をはらっている」と述べ、既に作付
けは制限されているが、もし基準値を超える放射能が検出された場合は出荷を
停止すると付け加えた。
また、学校の問題については、政府は許容レベルの引き下げに向けて検討中で
あり、追加措置も考慮しているとした。
今年4月30日、政府や学界の審議会などに数多く参加してきた東京大学教授の小
佐古氏が菅内閣の官房参与を辞任したため、政府の原発事故対応をめぐる懸念
に拍車がかかった。小佐古氏は、同氏を含む専門家が行った多くの申し入れは
取り入れられなかったとしており、政府が定める校庭の放射能許容水準は「受
け入れられない」とした。自分の子どもでもそういう目に遭わせることはでき
ないと記者会見で涙をぬぐう同氏の姿は全国に放映された。
その後2カ月間、同氏は東京大学で放射線安全学の講義に集中してきたが、まず
は海外で心の内を明かす準備ができたと述べ、今後数週間は米国や台湾で講演
を行う。
同氏は、特に、被災した原子炉から周辺の海に廃棄された大量の放射性物質が
海を汚染する可能性について懸念を深めている。政府は、福島第1原発の原子炉
冷却過程で、何が海に廃棄されたのか、大ざっぱな報告しか発表していない。
小佐古氏は、海水の監視や、汚染水の拡散状況の予想をこれまで以上に行い、
海草から貝類、魚類にいたるまで様々な種類の汚染に対応するための措置を実
行するように求め、「ずっとやれやれといってきたのに、やっていない」と述
べた。
同氏は辞任の際、官房参与だった6週間に行ったすべての申し入れをまとめた、
「福島第一原子力発電所事故に対する対策について(参与提言を中心に)報告
書」と題する分厚い文書を政府高官に提出した。本紙は独立した情報源からそ
の文書のコピーを手に入れている。
3月16日に官房参与に着任して以来、小佐古氏とその他の専門家の一部は幅広く
様々な提言を行ってきたが、中には何週間も経ってから一般に知られるように
なったものもある。例えば、3月17日には、政府の緊急時迅速放射能影響予測
ネットワークシステム(SPEEDI)で「合理的な最悪のケース」を使い、
住民の被曝レベルを予想することを提言した。
3月18日には、政府の原子力安全委員会に対し、SPEEDIによるシミュレー
ションに基づいて、当初の避難区域の妥当性を再考するように勧告した。
しかし、SPEEDIデータは3月23日まで一般には公開されず、避難区域は
4月11日まで変更されなかった。政府を批判する向きは、そうした遅れによっ
て、何千人もの福島県住民が高レベルの放射能にさらされた可能性があるとし
ている。
記者: YUKA HAYASHI
http://jp.wsj.com/Japan/node_258611
さて、本件ですが、放射能の脅威がさらに露呈する可能性があると困りますね。心配しています。
ご存じかと思いますが、先日、淀川の取水原水から、放射能が検出されたようです。
地下水、米など全国的に心配しなければならなくなるのでしょうか?
以前、拝見しました滋賀県高島市は、平成23年6月20日測定は特に問題ないとのことでしたが、・・・。
この原因はどのようい考えられますか?
別報の明日に向けて(204)南相馬からSOS プルトニウム・・・!?参考になりました。
コメントとトラックバックありがとうございました。淀川から発見された放射性セシウムは僕も福島由来のものと思います。すでに九州でもごく微量が観測されたという情報があがっています。大阪でも以前にも観測情報がありました。諸外国の発表している気象情報などを見ても、日本列島付近は確かに大きくは偏西風の影響下にあるのですが、ときにぐるっと風向きが逆になることもあるようで、そんなときに運ばれたのだと思います。それでも福島から西側に離れているため、大量に運ばれることはないようです。
ちなみにお茶の汚染が確認された西の端は、御前崎あたりです。これも偏西風に逆らった動きです・・・。
狭い日本列島でもうこれ以上は原発は動かさないでくれ・・・と言う話ですよね。
以上、ご参考までに。
丁寧な回答ありがとうございます。今後ともよろしく願います。狭い日本ですから、風もしくは雨雲任せということですね。