守田です。(20120312 23:30)
東日本大震災から1年を迎えて、昨日、この場で原発災害のこれまでとこれからに
ついて、「安全神話」からの脱却をテーマにコメントを書きましたが、やはり同時
にどうしても触れておきたいのは、あの津波の大被害から私たちが如何に立ち上
がっていくのかです。
そのために今回は、三陸海岸の被災地のひとつ、岩手県大槌町のことを紹介したい
と思います。大槌町は、岩手県の太平洋岸沿いにあり、釜石市の10キロぐらい北
に位置する町です。大槌川と小槌川が大槌湾に注ぐデルタ地帯を町の中心としてい
ます。井上ひさしの小説、『吉里吉里人』の名にちなむ土地でもあります。
この大槌町に非常に大きな津波が襲いました。そのため町は本当に壊滅的な被害を
受けました。建物がほとんど残っていないほどの猛威でした。そのため、とても
たくさんの方が亡くなりました。かなしい別れがたくさんあり、今なお、多くの方々
が、悲しい思いを胸に秘めつつ仮設住宅で暮らされています。
その大槌町を、僕は昨年の夏に、京都OHANAプロジェクトの自転車届けの一員に参加
させてもらい訪れました。被災した大槌中学校のグラウンドのすぐ脇に自転車を一
度仮置きし、そこから2箇所に仮設住宅に自転車を配りました。ちょうど被災者の方
たちが、避難所から仮設住宅に移られたときのことでした。
阪神大震災の経験から、避難所から仮設住宅に移ったときに、孤独感に襲われ易いと
聞いていたこともあって、少しでもみなさんが、自由に移動して出会えるようにとの
思いも込めた自転車配りでした。
そのときに協力してくださったのが、早くから大槌町に入ってボランティア活動を
していたNPO法人「パレスチナ子どもキャンペーン」と、大槌町の復興のために立ち
上がった地元のNPO法人「まちづくりぐるっとおおつち」でした。とくに「まちづく
りぐるっとおおつち」は、理事の半数近くが津波で命を落とすという悲劇に直面し
しながら、町のために奮闘されていました。非常に細やかな支援活動、あるいは自助
活動が行われていました。
そこに僕が滞在したのはわずかに2日間。自転車をお渡しし、それで町をさったまま
その後、一度も訪問できていないことに申し訳ない思いを抱いてきました。原発事故
に向き合う、放射線防護に奔走する・・・それで手一杯なのですが、いつも、そのた
めに津波被災者の方たちを後回しにしている気がして苦しい思いを感じます。いや、
明らかにそうなのです。そしてこれもまた政府と東京電力の重い責任なのです。
これに対して、この夏の訪問のときも、現地で受け入れのために奔走してくれた友人
で京都在住の千田悦子さんが、その後も何度も大槌と京都を往復しながら、大槌に関
わってくれていることが、僕にとっての心の救いでした。誰もがすべてを担えるわけ
ではない。でも僕は大槌とつながっている友人とつながることで、大槌につながって
いることができる。いつも大槌を身近に感じていられると、そう思ってきました。
千田さんは、「まちづくりぐるっとおおつち」にも参加して奮闘を続けているのです
が、その千田さんが、被災から1周年の今日、京都で大槌の写真展をセットしてくだ
さいました。展示される写真を撮られたのは、大槌町の伊藤陽子さん。津波でお兄さ
ん二人を亡くされてしまいました。陽子さんはお兄さんを探すために、津波でさらわ
れた町を歩かれた。歩きながら写真を撮った。そうして撮り貯めた写真を、復興に携
わった人々に感謝を込めてシェアしてもらいたいと提供してくださったのです。
ぜひみなさんに、この写真展に赴いて、大槌のことをシェアして欲しいと思います。
そうして大槌のことを少しでも身近に感じて欲しいと思います。そのとき、みなさん
もまた大槌の復興の当事者になります。この悲しい災害からいかに立ち上がるのか、
それは私たちの課題なのです。その思いを胸に落とし込むために、どうか写真の前に
立たれてください。可愛らしいおおちゃん人形(500円)を一つ買って、家にもち
返り、時々眺めてください。そうして大槌を起点にイマジネーションをひろげ、三陸
海岸全体に、いや東日本の太平洋岸全体に思いをひろげ、その復活への思いをシェア
しましょう。
写真展は京都市内で、明日より18日まで行われます。「まちづくり・ぐるっとおお
つち」の主催です。お近くの方、ぜひお越しください。以下案内を貼り付けます。
*****************
写真展「大槌 被災後の一年」+復興支援グッズ販売
Otsuchi: 1 year since 3.11 Tohoku Great Disaster
岩手県大槌町に県下でも最悪と言われる被害をもたらした東日本大震災から
まもなく1年。その間の町の様子を写した写真約80点の展示と、復興支援を
目的とした被災者の手作り品の展示即売を行います。
日時 2012年3月13日(火)~18日(日) 10:00~20:00
場所 京都市国際交流会館kokoka 京都市左京区粟田口鳥居町2-1
姉妹都市コーナー・展示室(2F)
入場料 無料
撮影者:伊藤陽子さんより
「あくまで自分の記録としてとり始めたのがこれらの写真の原点です。
津波で兄2人が行方不明となり、探しながら撮って歩いたので、3月と4月は地域に
偏りがあるかも知れません。道路事情やガソリンの関係もあり、数ヶ月後にやっと
入った地域もあります。自分自身、以前の街並みなど記憶の薄れている部分もあり、
避難所にいて地震翌日の町の様子を見れなかった人たち、復興に向けて支援してく
ださった多くの方たちと、感謝の気持ちを込めて共有したいと思い、この写真展を
開催することにしました。
販売品リスト
おおちゃん(こづちちゃん人形)(大) 500円
おおちゃん(こづちちゃん)ストラップ 400円
復興ひょうたん島ストラップ 700円
その他、手作りたわしなどがあります。
主催 NPO法人 まちづくり・ぐるっとおおつち
(財)京都市国際交流会館
問い合わせ NPO法人 まちづくり・ぐるっとおおつち(岩手県大槌町)
TEL 080-3192-2125(担当:千田悦子)
東日本大震災から1年を迎えて、昨日、この場で原発災害のこれまでとこれからに
ついて、「安全神話」からの脱却をテーマにコメントを書きましたが、やはり同時
にどうしても触れておきたいのは、あの津波の大被害から私たちが如何に立ち上
がっていくのかです。
そのために今回は、三陸海岸の被災地のひとつ、岩手県大槌町のことを紹介したい
と思います。大槌町は、岩手県の太平洋岸沿いにあり、釜石市の10キロぐらい北
に位置する町です。大槌川と小槌川が大槌湾に注ぐデルタ地帯を町の中心としてい
ます。井上ひさしの小説、『吉里吉里人』の名にちなむ土地でもあります。
この大槌町に非常に大きな津波が襲いました。そのため町は本当に壊滅的な被害を
受けました。建物がほとんど残っていないほどの猛威でした。そのため、とても
たくさんの方が亡くなりました。かなしい別れがたくさんあり、今なお、多くの方々
が、悲しい思いを胸に秘めつつ仮設住宅で暮らされています。
その大槌町を、僕は昨年の夏に、京都OHANAプロジェクトの自転車届けの一員に参加
させてもらい訪れました。被災した大槌中学校のグラウンドのすぐ脇に自転車を一
度仮置きし、そこから2箇所に仮設住宅に自転車を配りました。ちょうど被災者の方
たちが、避難所から仮設住宅に移られたときのことでした。
阪神大震災の経験から、避難所から仮設住宅に移ったときに、孤独感に襲われ易いと
聞いていたこともあって、少しでもみなさんが、自由に移動して出会えるようにとの
思いも込めた自転車配りでした。
そのときに協力してくださったのが、早くから大槌町に入ってボランティア活動を
していたNPO法人「パレスチナ子どもキャンペーン」と、大槌町の復興のために立ち
上がった地元のNPO法人「まちづくりぐるっとおおつち」でした。とくに「まちづく
りぐるっとおおつち」は、理事の半数近くが津波で命を落とすという悲劇に直面し
しながら、町のために奮闘されていました。非常に細やかな支援活動、あるいは自助
活動が行われていました。
そこに僕が滞在したのはわずかに2日間。自転車をお渡しし、それで町をさったまま
その後、一度も訪問できていないことに申し訳ない思いを抱いてきました。原発事故
に向き合う、放射線防護に奔走する・・・それで手一杯なのですが、いつも、そのた
めに津波被災者の方たちを後回しにしている気がして苦しい思いを感じます。いや、
明らかにそうなのです。そしてこれもまた政府と東京電力の重い責任なのです。
これに対して、この夏の訪問のときも、現地で受け入れのために奔走してくれた友人
で京都在住の千田悦子さんが、その後も何度も大槌と京都を往復しながら、大槌に関
わってくれていることが、僕にとっての心の救いでした。誰もがすべてを担えるわけ
ではない。でも僕は大槌とつながっている友人とつながることで、大槌につながって
いることができる。いつも大槌を身近に感じていられると、そう思ってきました。
千田さんは、「まちづくりぐるっとおおつち」にも参加して奮闘を続けているのです
が、その千田さんが、被災から1周年の今日、京都で大槌の写真展をセットしてくだ
さいました。展示される写真を撮られたのは、大槌町の伊藤陽子さん。津波でお兄さ
ん二人を亡くされてしまいました。陽子さんはお兄さんを探すために、津波でさらわ
れた町を歩かれた。歩きながら写真を撮った。そうして撮り貯めた写真を、復興に携
わった人々に感謝を込めてシェアしてもらいたいと提供してくださったのです。
ぜひみなさんに、この写真展に赴いて、大槌のことをシェアして欲しいと思います。
そうして大槌のことを少しでも身近に感じて欲しいと思います。そのとき、みなさん
もまた大槌の復興の当事者になります。この悲しい災害からいかに立ち上がるのか、
それは私たちの課題なのです。その思いを胸に落とし込むために、どうか写真の前に
立たれてください。可愛らしいおおちゃん人形(500円)を一つ買って、家にもち
返り、時々眺めてください。そうして大槌を起点にイマジネーションをひろげ、三陸
海岸全体に、いや東日本の太平洋岸全体に思いをひろげ、その復活への思いをシェア
しましょう。
写真展は京都市内で、明日より18日まで行われます。「まちづくり・ぐるっとおお
つち」の主催です。お近くの方、ぜひお越しください。以下案内を貼り付けます。
*****************
写真展「大槌 被災後の一年」+復興支援グッズ販売
Otsuchi: 1 year since 3.11 Tohoku Great Disaster
岩手県大槌町に県下でも最悪と言われる被害をもたらした東日本大震災から
まもなく1年。その間の町の様子を写した写真約80点の展示と、復興支援を
目的とした被災者の手作り品の展示即売を行います。
日時 2012年3月13日(火)~18日(日) 10:00~20:00
場所 京都市国際交流会館kokoka 京都市左京区粟田口鳥居町2-1
姉妹都市コーナー・展示室(2F)
入場料 無料
撮影者:伊藤陽子さんより
「あくまで自分の記録としてとり始めたのがこれらの写真の原点です。
津波で兄2人が行方不明となり、探しながら撮って歩いたので、3月と4月は地域に
偏りがあるかも知れません。道路事情やガソリンの関係もあり、数ヶ月後にやっと
入った地域もあります。自分自身、以前の街並みなど記憶の薄れている部分もあり、
避難所にいて地震翌日の町の様子を見れなかった人たち、復興に向けて支援してく
ださった多くの方たちと、感謝の気持ちを込めて共有したいと思い、この写真展を
開催することにしました。
販売品リスト
おおちゃん(こづちちゃん人形)(大) 500円
おおちゃん(こづちちゃん)ストラップ 400円
復興ひょうたん島ストラップ 700円
その他、手作りたわしなどがあります。
主催 NPO法人 まちづくり・ぐるっとおおつち
(財)京都市国際交流会館
問い合わせ NPO法人 まちづくり・ぐるっとおおつち(岩手県大槌町)
TEL 080-3192-2125(担当:千田悦子)