『くんちゃんのだいりょこう』 ドロシー・マリノ 石井桃子訳
なんと、もう、1月も最後の週だということに、数日前に気づきました。
きゃー。1月って、12月より忙しいかも?
そんなこんなで、すっかり遅くなってしまった、でも、記録しておかなければ!と思っていた
絵本のことを・・・。
『くんちゃんのだいりょこう』。
クリスマスに、幼稚園の保護者会からのプレゼントで頂いた絵本です。
本当は、『くんちゃんとふゆのパーティ』が配られることになっていたのだけれど、我が家には、
すでにあるため、娘には、この本がやってきました。
まだ、長いお話は聞いていられない娘。それでも、プレゼントに頂いた晩ぐらい、と、開いてみました。
すると、楽しい出来事が
題名を読んだところで、なんと、隣の部屋で勉強していたハズの中学2年生の息子がとんできて、
娘の隣に座り込んだのです。
絵本が見える位置に座ろうと、ぎゅうぎゅうと娘を押して、無理やり入り込んだため、娘は、迷惑顔。
その横で、何食わぬ顔で、絵本を覗き込んでいる息子が、おかしくて。
ふきださないように気をつけながら、読み始めました。
すると、息子くん、くんちゃんが、渡り鳥に話しかける場面にくると、すかさず、
「ほら!くんちゃんは、ここが、面白いとこなんだよ!!」と言って、一人、くっくと笑いました。
娘は、あっけにとられたような顔で、それでも、そうなんだーと、絵本をのぞきこみます。
そんな息子がおかしくて、母は、またもや、ふきださないように要注意。
予想通り、娘は、長い物語に飽き、途中で歩き出してしまったのだけれど、息子は、
そんなことも、全く、気にならない様子。
一人で笑い、一人で、くんちゃんの突拍子もない行動に、手を叩いて大喜び。
お、おぬし・・・。手まで叩いて、喜ぶのかー。
すると・・・ 娘が戻ってきて、また、絵本を覗き込みました。
そりゃあ、こんなに笑ってる人をみたら、戻られずには、いられませんわなー。
娘さん、息子が声をあげて笑う度に、つられて笑います。
可笑しいことに、絵本と、隣に座った兄の顔を、交互に見比べながら聞いているのです。
どうみても、絵本が面白いからではなく、兄ちゃんの笑い声につられて笑ってる
おまけに、息子のキラキラの目と笑い声が、絵本に、魔法をかけてしまったようで・・・
読んでいる私まで・・・・・・・・爆笑
笑って、笑って・・・。最後には、読むのが辛いくらいでした。
ああ、息子よ。君って、やっぱり、読み手まで楽しくさせる天才なんだなー
さて、この息子が、読み終わって何を言うかと思えば、
「ほら、あれも面白かったよね。こまどりの真似して巣作るやつ。なんていう本だっけ?」
よくもまあ、何年も前に読んだ絵本のことを覚えているものです。
何年も?なんてものじゃありません。最後に読んだのは、たぶん、小学校3、4年の頃。
大好きで、大好きで、毎日のように読んでいたのでしたっけ。
「・・・・・・・・・。『くんちゃんのもりのキャンプ』でしょ。」
「そう、そう、それあれ、読んでよ。」
そんなこんなで、続けて『くんちゃんのもりのキャンプ』も、読むことになりました。
久しぶりに、息子と一緒に絵本を読んだ夜。
中学生になってからというもの、その数日前まで、小学生だったことなど忘れてしまったかの
ように、当たり前の顔をして、息子は、夜しか家にいなくなりました。
部活。部活。部活。塾が始まると、もっと、帰らなくなりました。
そのうち、たまに家にいても、会話は、「はい、はい、はい。」で終わるようになりました。
母にとって、一緒に本を読んだ記憶だけは、今も、彼の中に生き続けてくれているの
だと確信した、この夜の出来事は、最高のクリスマスプレゼントになりました。
会話なんて、「はい、はい、はい。」だけだって、いいじゃないかーと思えてくるから、不思議です。
この日の翌朝、娘が持っている絵本を見て、息子が
「ほら、あの本は、なんだっけ?モミの木の前でクリスマスキャロル歌うやつ。あったよね?」
と、話しかけてきました。
「?????」 なんということでしょう。結局、母は、答えられず。
「あんた、どんだけ、記憶力いいのよー。」と、二人で大笑いしました。
ああ、私たちは、今も、こうやって、ちゃんと繋がってるんだなー
子どもと一緒に、本を読むって、すごいことじゃない?
絵本を楽しく聞く天才が、今また、教えてくれたこと。
先日、幼稚園の図書係のメンバーで話をしているとき、クリスマスの本を選んでくれた
絵本大好きのママと、くんちゃん談義に花が咲きました。
すると、そのママも、年長さんの娘に読んでいたら、中学1年生の娘さんがとんできて、
「ほら、またやるよ!ほんと、くんちゃんて、馬鹿ーっ」と、一人で大騒ぎしてたと笑っていました。
ああ、くんちゃん。君は、永遠に、子どもの心に残り続ける天才なんだね。