『わんわん なにしてるの』 ひろのたかこ
来春からお世話になる幼稚園の未就園児クラスに、週に一回通っています。
小さな園舎に、あふれるばかりの絵本たち。この幼稚園を選ぶ理由の一つです。
娘は、教室の奥にある絵本コーナーが大好きで、自由遊びの時間には、必ず一回、
そこに行くのです。
次から次へと、絵本を持ってくる娘。
何冊読んでも、じっと座って聞いていた息子と違い、大抵が、母に、絵本を渡す遊び
の娘なのですが(トホホ)、お気に入りの本が2冊あって、これだけは、「読んで!」
とせがみ、ちゃんと、最後まで聞いています。
先日、その二冊のうちの一冊を図書館で見つけ、借りてきました。
子犬のわんわんが、ボールをおいかけたり、スリッパをかじったり。
一番のお気に入りは、うんちをするところ。
本当に、こうやって、うんちをするんだよね。耳を後ろに倒して、お尻を下げてね。
おうちでも、飽きずに何度でも読んでいます。
犬は、全部、「大くん!」と呼ぶ娘の大好きな一冊。
幼稚園を卒園する頃には、どのくらい、お気に入りの本が増えているのかな。
(もう少し、落ち着いて聞けるようになるかな?)
11月1日は、幼稚園の面接(一応)でした。小さな小さな教会の幼稚園。
来春は、めずらしく!?いつもより、たくさんの新入園児が入りそうです。
『完璧な病室』 小川洋子
博士やミーナのような作品も好きだけれど、やっぱり、「これぞ、小川洋子!」と唸らせる
この本のような、作品が好き。いや、大好き。
はじめて、この方のエッセイを読んだとき、小川洋子という人が、あまりに普通の、素敵な女性なのに
驚き、違和感を抱いたのを覚えています。
以来、エッセイを読むときには、必ず、自分に「これは、エッセイだぞ!」と言い聞かせているのです(笑)
もちろん、エッセイだって面白いのですが、小川洋子さんが、私と同じ普通の世界に住んでいることが
どうしても、自分の中で消化できないのです。
それくらい、小川洋子さんの こういう作品が好き。この文体。素晴らしい。
グロテスクで、官能的で・・・・・。
読んでいるうちに、誰も知らない遠い場所に、たった一人、閉じ込められてしまったような感覚に、
襲われます。無機質な空間に、たった一人、閉じ込められたような・・・。
恐ろしくて、気持ちが悪くなって、何度も本を置きました。
本を置いたら置いたで、今度は、自分の身の回りのものを、小川洋子風に言葉にしたくなる自分が
いて、途中で、そんな自分に気づいて、おかしくなりました。
例えば、部屋の隅の埃とか、暗くなった電球とか。
そんなものが、とてつもなく重大で、何か秘密を隠し持っているように思えてくるから不思議です。
児童小説の合間の読書には、ちょっと、毒気が強い一冊でした。
でも、本当に面白かった。
死病におかされた弟を看病する姉の話『完璧な病室』と、認知症を患った親代わりの祖母を
施設に入れる女性の話『揚羽蝶が壊れる時』の二話が、収録されています。
劇的なストーリーがあるわけではない。本当に、ただ、それだけの話。
でも、人の心理を揺さぶるのに、劇的なストーリーは必要ないのです。