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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」182

2019年11月22日 | 物語「約束の夜」


おぼろげだった景色が、はっきりとしてくる。

けれども、それは

北一族の村ではない。
人々が、生活を送っているような、景色ではない。

「本当に、ここは、・・・」

裏一族の、砦。
暗い、世界。

「君たちは、大切な客人だ」

こちらへ。と、チドリが歩き出す。

「いや、待て」

満樹が云う。

「裏一族、なのか。本当に」

その言葉に、耀とチドリは顔を見合わせる。

「ここにきて、」
「最後の確認、と云うところか?」

「いつから? お兄ちゃんいつからなの!?」

「いつから、とは」
「あの、家を出たときから、・・・?」

耀は、京子に近付く。

「そうだな。家を出たとき、」
「・・・お兄ちゃん」
「いや、違う。最初から、だ」
「・・・・・・最初から?」

耀は頷く。

「ここに、全員揃っていないから云うのもなんだが」

満樹と京子、マサシは息をのむ。

「俺たちはみな、血のつながった兄妹で。」

そして

「父親は、裏一族の主導者のひとりだ」

「しゅ、」
「主導者・・・!?」
「嘘よ!?」

「嘘じゃない」
「はは。満樹はまだ、血がつながっていると、信じられないのだろう」

チドリは改めて、歩き出す。

「全員揃ったら、各自、確認してもらおうか」
「確認?」
「俺たちの父親が間違いなく、同じであると云うことを」

「まさか!?」

「こっちだ」

チドリのあとに、耀も続く。

仕方なく、3人も歩き出す。
おそらく
ツイナとヨシノがいる場所へ。

「満樹・・・」
「京子」

歩きながら、満樹は京子を見る。

「逃げよう」
「・・・・・・」
「無理だ」
「満樹」

「誰もいないように見えて、」

多くが、いる。

裏一族が息をひそめて。

彼らは

想像以上に、強い。

桁違いの魔法。
法外の、体術、を

有無を云わず、使う。

そんな、集団。

「チャンスを待とう」

それしか、ない。

5人は、建物の中へと入る。

しばらく歩いて。

何か、部屋が並ぶ場所。

そこに、

「ツイナ!」
「満樹!? 京子!!」
「ヨシノも!」
「わぁああ。不安だったのよー」
「よかった、本当に。よかった!」

やっと、ふたりとの、再会。




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