あの頃、横浜に着いたとき、
西も東もわかんなかった。
北も南もしらん。
上と下はわかる。
顔あげりゃ上は、空だ。
下は地面だ。
タコ部屋にいる時、
朝八時に始まって
夜八時まで仕事だよ。
終わったら、オレ、歩いたよ。
地理を憶えるためにね。
伊勢佐木町、桜木町、
あっここは日の出町…
三カ月ぐらい
くりかえしているうちに
横浜の地理も
だいたいわかって来た。
山下公園だとかね。
裏の方でアパート
なんかも見つけたりしてた。
「成りあがり」著 矢沢 永吉
誰も知らない
孤独な街で
地理を憶えるために
毎日仕事が済んで歩いた矢沢
横浜の街で
生きる覚悟が感じられる
そして働いている時も
人に声をかけて
「いいバンドの話が
あったら声かけて」
との売り込みも忘れない。
僕の場合
福井に降りたった
その町しか興味がなく、
淋しい街を
独身寮から職場まで
歩いて往復だけの毎日
夜八時では
もう外を歩く人もいない
まったくの闇が
あちこちにあった
日曜日には人恋しくて
駅の改札口
流れる人を眺めてた
矢沢とはまるで覚悟が違う
早起き鳥
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