いつかまだ息子全員が
同じ家に住んでいた頃、
私が二階のある部屋で本を探していたら
残業から帰ってきた
銀行員の三男が私に気づかぬまま、
下でお手伝いさんに
兄弟たちのことを尋ねて、まだ
だだれも帰宅していないと聞かされ、
遅い一人きりの食事を改めて注文した後、
二階の洗面所で
手を洗いながら吐き出すように、
「チェッ、この家で
まともな仕事をしているのは俺だけか」
慨嘆しているのを隣で聞きながら
おかしかったものです。
三男の気持ちもわかるが
当節、銀行がまともな仕事か
どうかはわかりはしませんが。
「老いてこそ人生」
石原 慎太郎 著
銀行員の息子を持つ
父親の気持ち
どんな気持ちなんだろう?
普通ならお堅い仕事で堅実
大変な仕事だがだれしもが羨む仕事
政治家閣僚経験者そして
東京都知事たる父親からすれば
銀行員など虫ケラのような
底辺の仕事のように感じるのではなかろうか
でもその父親の個性を何か受け継いで
生まれてきたのだろうから
銀行員の三男さんも破格の出世をして
銀行経営陣に名を連ねるかもしれないし
筆者にもサラリーマン的な要素もどこかに
持ち合わせていらっしゃるのかもしれない
でもこの家に限っては
父親を超えるということは
そう容易くはなさそうであるが
それをあっさりと
肩を並べるところまで達している
伸晃さんという
長男さんがいることも痛快である
とはいえ、父親としては
子供達のことまだまだ
未熟と映っているにちがいない
早起き鳥
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