トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

前向き

2007-02-27 20:34:52 | 子供
「お父さんとお母さんはもう一緒に暮らせなくなった。お父さんが別のおうちに住んでお母さんとあーちゃんとお兄ちゃんがこの家で暮らすことになったんだ。」

そう息子に告げた
大きな目からみるみるうちに涙が溢れ、声も出さずに泣いた
夫と明るく話そうと約束していたけれど結局3人で泣いた

それから毎日息子は布団に入ると
「離婚するの?嫌だ。また再婚する?」と毎日泣きながら聞いてきた

息子が眠りにつくまで私はあらゆる言葉を尽くして説得した
「たとえ離婚してもお父さんとお母さんには変わりないからね。
大丈夫。みんなお兄ちゃんを見守っているから。困った時はみんなが助けてくれるから。おばあちゃんも叔父さんもみんなお兄ちゃんを見守っているから」

シクシクと泣く背中を何度もなでながらようやく眠りにつく

昨日も息子は「ちょっと離れるだけでしょ。また暮らせるでしょ」と同じ事を繰り返す

「お兄ちゃん、ずっと先の事は分からない。もしかしたらそういう事もあるかもしれない。でも今は無いという事しか言えないんだよ。
期待を持たせる事は言えないから。今は分からないとしか言えないんだ。」

また大粒の涙がボタボタと落ちる
2人で鼻をかんだ
何とか納得する返事が欲しくて懇願するように見つめる息子の目が痛かった

「お兄ちゃん、納得できない事は納得できなくて良いから
無理に分かったりしなくても良いんだよ。

離婚なんかしてお母さんもお父さんもバカヤロウでも良いんだよ
どんな風に思っても良いからね

少しずつ慣れて行こうよ。3人の生活にさ。
すぐは無理だよ。お母さんだって無理。
だから3人で楽しい事や嬉しい事を計画してさ3人で楽しく協力し合って
生活できるようにちょっとづつ慣れて行こうよ。」

これ以上はもう言葉にならなかった
分かって貰えなくても良い。
受け入れられるまでちょっとづつ慣れていくのを見守ろうと思った

息子の坊主頭をなでながら眠りについた

朝起きると新聞配達から戻った夫が入ってきた
夫も辛いのか朝は特に落ち込んでいる
話し合いの度に泣く

すぐ着替えて出かけようと支度を始めた

「もう行くの?」と聞くと
「俺、牛乳配達も始めたから」と言った
振り向くと目が真っ赤だった

「そう。」としか言えなかった
「牛乳配達もして家計を支えようと思ってたのに」と恨めしそうに見る

「だから。もう少し様子を見てくれても良いのにって思ったんだんね」と言った
「そうさ。まだ受け入れられないんだ」と言って泣きだした

「お父さんさ。辛いのは分かるよ。でも辛いのはお父さんだけじゃない。
毎日夜になると寝付くまでお兄ちゃんは泣いているんだよ。
お兄ちゃんと毎晩2人で泣きながら話しているんだよ

どんなに話してもあの子は「分かった」とは言わない
「また再婚する」とか聞いてなんとか自分を保とうとしているんだよ
昨日もお兄ちゃんに
「もう無理に納得しなくても良いからね。3人で少しずつ慣れようね」って言ったんだよ

お父さんも少しずつ慣れていこうよ。すぐにすっきり前向きって訳にはいかないかも知れない。当然だよ。納得できないところはそれで良いじゃない
少しずつ慣れていこうよ。」

「お兄ちゃんがそんな事言ってたんだ・・・・」それからずっと夫は無言だった

夜に帰ってきて「新しく住むところを仮押さえしてきた。でも無収入だから審査が通るか分からないけれど、日当たりの良いところだったよ」と幾分明るく話した

夕飯を食べ終わると息子が自分の食器を台所へと運び出した
「お!お兄ちゃん凄いな。いつもは言われないとやらないのに」と夫が褒めた

「うん。お母さんと3人の暮らしに少しずつ慣れていこうって話し合ったんだ。だからその練習なんだ」と言った

「子供の方がずっと前向きだよね」と夫に言うと
「本当だな」

「負けられないよね」
「そうだな」

今日は離婚届を貰ってきた

見えない不安はいっぱいあるけれど、まっすぐに前を向いて
お互いがこれで良かったと言える日を目指して、私達家族は今日も一歩を踏みしめる


今日も聞いてくれてありがとう