私の初恋は中学生の時
隣の席に座った男の子だった
丸い顔に丸い目、丸い鼻どこか柴犬を思わせるような男の子だった
気があって休み時間も時間を惜しむようにいつまでも話しをした
私は専門の高校へ彼は進学校へと受験した
受験の一週間前から熱を出して寝込んでいると先生に聞いて
友達とドキドキしながら自宅のポストへ手紙と共にプリントを入れて逃げた
受験が終わって彼がお守り代わりに手紙を持っていったと聞いて本当に嬉しかった
彼とは友達以上にはなれなかった
私も告白すら出来ず友達として卒業した
高校も共に合格しそれぞれの道を歩き出した
高校へ入ってすぐに中学の担任が結婚し退職したのでお祝いに
クラス会をやった
その時にみんな意気投合して高校の間に何回か会う事ができた
どんどんかっこよくなっていく彼をやはり淡い気持ちで見守るだけで精一杯だった
結局思いを告げることも出来ず彼は3年の時に父親の転勤で遠くへ行ってしまった
友達から聞いたとき別れも言えなかった事に泣いた
女子高だった私はただ彼を思い続けるだけの恋に酔っているだけで幸せだった
高卒で会社に入社して1年が過ぎた
バス停で中学の同級生にあった
なんとなく彼の事を聞くと都道府県名だけ教えてくれた
その土地の名前を聞いた途端私の中に小さな光が宿った
もう1度だけでいいから会いたい
あの子犬のような笑顔を見たい
そう思った
その頃はまだ個人情報に厳しくなかった
NTTのセンターに行くと全国の電話番号が調べられた
彼のお父さんの名前を探すと彼のいる土地に1人だけ見つけた
きっとコレだ・・と思った
その電話番号を握り締めて何日も何日も悩んだ
いまさら電話などして変に思われるんじゃないか
でも今どうしているのだろうと思うと気持ちは高鳴り
一刻も早く確かめて見たい気持ちでいっぱいになった
会社で仕事を済ませ家に帰っては電話を見つめる日が続いた
同級生もうろ覚えで言ったのかもしれない
本当は別人の家の電話番号かもしれない
いろんな想いが頭の中に渦巻き苦しい思いでいっぱいだった
ある日姉に相談してみた
何日も悩んでいた私は思わず
「お願い。代わりに掛けてみて。本人かどうかだけ確かめてみて」と言った
半信半疑だった
まさか本当に姉が私に成り代わって電話してくれるとは思っていなかった
若いとは簡単に過ちを犯してしまう
ある日家に帰ると姉が
「本人だったよ」と言った
「ちっこちゃんだと思い込んで話してたから言い出せなくて面倒だから話合わしといたから。はいこれ住所」と言ってメモを渡された
クラクラと眩暈を感じながらメモを見た
もう一度会えるのかもしれない
その喜びが容易に彼を騙したという罪悪感を消してしまった
(つづく)
隣の席に座った男の子だった
丸い顔に丸い目、丸い鼻どこか柴犬を思わせるような男の子だった
気があって休み時間も時間を惜しむようにいつまでも話しをした
私は専門の高校へ彼は進学校へと受験した
受験の一週間前から熱を出して寝込んでいると先生に聞いて
友達とドキドキしながら自宅のポストへ手紙と共にプリントを入れて逃げた
受験が終わって彼がお守り代わりに手紙を持っていったと聞いて本当に嬉しかった
彼とは友達以上にはなれなかった
私も告白すら出来ず友達として卒業した
高校も共に合格しそれぞれの道を歩き出した
高校へ入ってすぐに中学の担任が結婚し退職したのでお祝いに
クラス会をやった
その時にみんな意気投合して高校の間に何回か会う事ができた
どんどんかっこよくなっていく彼をやはり淡い気持ちで見守るだけで精一杯だった
結局思いを告げることも出来ず彼は3年の時に父親の転勤で遠くへ行ってしまった
友達から聞いたとき別れも言えなかった事に泣いた
女子高だった私はただ彼を思い続けるだけの恋に酔っているだけで幸せだった
高卒で会社に入社して1年が過ぎた
バス停で中学の同級生にあった
なんとなく彼の事を聞くと都道府県名だけ教えてくれた
その土地の名前を聞いた途端私の中に小さな光が宿った
もう1度だけでいいから会いたい
あの子犬のような笑顔を見たい
そう思った
その頃はまだ個人情報に厳しくなかった
NTTのセンターに行くと全国の電話番号が調べられた
彼のお父さんの名前を探すと彼のいる土地に1人だけ見つけた
きっとコレだ・・と思った
その電話番号を握り締めて何日も何日も悩んだ
いまさら電話などして変に思われるんじゃないか
でも今どうしているのだろうと思うと気持ちは高鳴り
一刻も早く確かめて見たい気持ちでいっぱいになった
会社で仕事を済ませ家に帰っては電話を見つめる日が続いた
同級生もうろ覚えで言ったのかもしれない
本当は別人の家の電話番号かもしれない
いろんな想いが頭の中に渦巻き苦しい思いでいっぱいだった
ある日姉に相談してみた
何日も悩んでいた私は思わず
「お願い。代わりに掛けてみて。本人かどうかだけ確かめてみて」と言った
半信半疑だった
まさか本当に姉が私に成り代わって電話してくれるとは思っていなかった
若いとは簡単に過ちを犯してしまう
ある日家に帰ると姉が
「本人だったよ」と言った
「ちっこちゃんだと思い込んで話してたから言い出せなくて面倒だから話合わしといたから。はいこれ住所」と言ってメモを渡された
クラクラと眩暈を感じながらメモを見た
もう一度会えるのかもしれない
その喜びが容易に彼を騙したという罪悪感を消してしまった
(つづく)