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「ロザリオの秘密」by 聖ルイ・グリニョン・ド・モンフォール 「献辞」

2021年10月20日 | カトリックとは

ロザリオの秘密

聖ルイ・グリニョン・ド・モンフォール

献辞

白いバラ:司祭たちへ

親愛なる崇高な奉仕者である司祭の方々、天主の真理を説教し、すべての国に福音を宣べ伝える同僚である司祭の皆様、この小さな本を白いバラのようにして、あなた方にぜひ持っていて頂きたいと思います。そこに書かれている真理は、ご覧のように非常に単純で分かりやすく示されています。あなた方自身が聖なるロザリオを実践し、その実りを味わうことができるように、どうかこれらを心に留めておいてください。また、あなた方が常にこの聖なるロザリオの信心の素晴らしさを伝え、それによって他の人々を回心させるための説教の言葉を口にする時にはいつも、このことを唇に留めておいてください。

私は皆さんに、無知な人々や何人かの偉大かもしれませんが高慢な学者たちのように、ロザリオを重要でないものと考えないようにお願いしたいと思います。ロザリオは重要でないどころか、天主から霊感を与えられた貴重な宝物であります。

全能の天主は、最も罪に凝り固まった罪人や頑固な異端者を回心させるための手段として、あなたにこのロザリオを使ってほしいと願い、それを与えられたのです。天主はこのロザリオに、現世における御恵みと、来世における栄光を付与しておられます。聖人たちは忠実にそれを伝え、教皇たちはそれを支持してこられました。

聖霊がこの秘密を司祭や霊的指導者に啓示したとき、その司祭はなんと祝福されていることでしょう!なぜなら、大多数の人はこの秘密を知らないか、さもなければ表面的にしか知らないからです。そのような司祭がこの秘密を本当に理解していれば、毎日ロザリオを唱え、他の人にも唱えるように勧めることでしょう。天主と祝された御母は、彼の霊魂に豊かな御恵みを注ぎ、彼が天主の栄光のための道具となるようにして下さり、彼の言葉は、単純ではありますが、他の説教者が数年かけて行うものよりも、一ヶ月でより多くの善をもたらすでしょう。

ですから、私の親愛なる兄弟、同胞である司祭の皆様、私たちがこの信心を他人に説教するだけでは十分ではなく、私たち自身がそれを実践しなければなりません。たとえ私たちが聖なるロザリオの重要性を強く信じていても、私たち自身がそれを実践しなければ、人々が私たちの助言に基づいて行動することは期待できません。というのも、誰も自分が持っていないものを与えることはできないからです。『イエズスがはじめから行ない、また教えられた…』私たちは、御自分が説教したことを実践することから始められた聖主に模倣すべきです。十字架に付けられたイエズスの他には何も知らず、何も説教しなかった聖パウロに倣うべきです。これは聖なるロザリオを説教する場合に、本当に真実にあなたがやるべきことです。聖なるロザリオは、ただ単に「主祷文」と「天使祝詞」を集めたものではなく、イエズスとマリアの御生涯、御受難、御死去、栄光の神秘を素晴らしく要約したものなのです。

私は、聖なるロザリオの説教の効果を経験するために天主が私に与えてくださった御恵みと、それによってもたらされた最も素晴らしい回心をこの目で見たことについて、長々とお話しすることができます。もしそれがあなたの心を動かし、この美しい信心を説くことになると思えば、最近の司祭はそうする習慣がないとしても、喜んでこれらすべてのことをお話します。しかし、このようなお話の代わりに、聖なるロザリオに関するいくつかの古い、しかし本当の話をすれば、私が書いているこの小さな要約には十分だと思います。これらの抜粋は、私がフランス語で信者のために説明したことを証明しています。

赤いバラ:罪人たちへ

罪人である哀れな男女のために、あなた方よりも大きな罪人である私が、この真紅のバラをあなた方に贈りたいと思います。なぜなら、私たちの主の尊い御血がその上に降り注いだからです。主が、このバラによって皆さんの人生に真の香りをもたらして下さいますように、そして何よりも、皆さんの陥っている危機から救って下さいますように。

毎日、不信心者や悔い改めていない罪人たちはこう叫んでいます。「バラの花の冠をかぶろう。」
しかし、私たちはこう叫ぶべきです、「至聖なるロザリオのバラの花の冠をかぶろう 」と。

彼らのバラと私たちのバラはどれほど違うことでしょうか!彼らのバラは、肉の喜び、世俗的な名誉、あっという間に枯れて朽ちてしまう一時的な富ですが、しかし、私たちのバラは、私たちが敬虔に何度も繰り返し唱えてきた「天にまします」と「めでたし」であって、また、それに良い痛悔の行為を加えたものであって、それらは決して枯れることはなく、数千年後も今日と同じように美しいものであることでしょう。

逆に、罪人たちのバラは、バラのように見えるだけで、実際には残酷な棘であり、生きている間は良心の呵責で刺され、死ぬときには苦い後悔で刺され、さらに悪いことには、永遠に怒りと絶望の燃え盛る火柱となるのです。

しかし、もし私たちのバラに棘があったとしても、それは私たちをバラへと変えてくださるイエズス・キリストの棘です。私たちのバラが私たちを刺すとしても、それはほんの少しの間だけであって、罪という病を癒し、私たちの霊魂を救うためだけのものです。

ですから私たちはぜひ、この天からのバラを熱心に頂いて身にまとい、毎日ロザリオのすべてを唱えましょう。つまり、五連ごとにある三つのロザリオを唱えることによって、三つの小さな花輪や花冠を身に着けるのです。

これには二つの理由があります。

まず第一に、イエズスとマリアの三つの冠、すなわち、イエズスの御托身の時の恵みの冠、御受難の時の茨の冠、天国における栄光の冠、そしてもちろん、最も祝福された三位一体が天国においてマリアに与えられた三重の冠を称えるためです。

第二に、私たち自身がイエズスとマリアから三つの冠を受けるために、このようにすべきです。一つ目は生きている間の功徳の冠、二つ目は私たちの臨終の際の平和の冠、そして三つ目は天国における栄光の冠です。

もしあなたが死ぬまで忠実にロザリオを唱えるなら、あなたの罪の重さにもかかわらず、「あなたは色あせない栄光の冠を受ける」と私は保証します。 たとえあなたが天罰を受ける寸前であっても、地獄に片足を突っ込んでいても、黒魔術を行う魔術師のように悪魔に魂を売ってしまっていても、悪魔のように頑固な異端者であっても、遅かれ早かれ、回心して人生を改め、救霊を全うすることになるでしょう。もしーー私が言うことをよく覚えておいてほしいのですがーーもし、あなたが真理を知り、痛悔と罪の赦しを得るために、死ぬまで毎日忠実に聖なるロザリオを唱えるなら。

この本には、聖なるロザリオの力によって大回心した罪人たちの物語がいくつかあります。ぜひそれらを読んで黙想してみてください。

神秘的なバラの木:敬虔な霊魂たちへ

聖霊の光の中を歩む、善良で敬虔な霊魂の皆さん。私がこの天から直接送られた小さな神秘的なバラの木をあなたに贈り、あなたの霊魂の庭にそれらを植えても、あなたは気にしないと思います。それは天国の木であって美しい香りを放つため、あなたの黙想の花の甘い香りを邪魔をすることは少しもありません。それ自体が純粋で秩序立っているので、すべての人を秩序と純粋さに向かわせます。丁寧に水をやり、毎日きちんと手入れをすれば、驚くほどの高さに成長し、その枝は広く伸びるので、他の信心を妨げるどころか、それらを維持し、完全なものにしてくれます。

もちろん、あなたは霊的な心をお持ちなので、私が何を言いたいのか理解しているでしょう。この神秘的なバラの木は、イエズスとマリアの御生涯と御死去と永遠であり、その緑の葉は喜びの玄義、棘は苦しみの玄義、花はイエズスとマリアの栄えの玄義です。つぼみはイエズスとマリアの幼少期であり、開いた花は苦しみの内にいるイエズスとマリアを表し、満開のバラの花は勝利と栄光の中におられるイエズスとマリアを象徴しています。

バラはその美しさで私たちを楽しませてくれますが、それは「喜びの玄義」の中のイエズスとマリアを表しています。その棘は鋭く、刺すようなもので、「苦しみの玄義」に思いを馳せることができます。そして何よりも、その香りは誰もが好むほどに甘く、それは二人の栄光ある「栄えの玄義」を象徴しています。

どうか、この美しい天国の木を軽蔑せず、あなた方自身の手で霊魂の庭にそれを植え、毎日ロザリオを唱えることを決意してください。毎日ロザリオを唱え、善い行いをすることで、木を手入れし、水をやり、周りの土を耕すことになります。

やがてあなたは、私があなたに与えたこの小さな種が、今はとても小さいように見えても、天の鳥たち、つまり天主によって救いに定められた観想的な霊魂たちがそこに住み、巣を作るほどの大きな木に成長することを知るでしょう。その木陰は灼熱の太陽から彼らを守り、その高さは地上の野獣から彼らを守ります。そして何よりも、彼らはその木の実を食べるでしょう、その実とはーー私たちの愛すべきイエズスに他ならず、その方にこそ、永遠に代々に至るまで栄えと誉れとがあるのです。アーメン。

天主のみ

バラのつぼみ:小さな子供たちへ

この美しいバラのつぼみは、あなたたちのためにあります。それはロザリオの珠のひとつであって、あなたたちにはとても小さなものに見えるかもしれません。しかし、この珠がどれほど貴重なものであるかをあなたが知ったならば!この素敵なつぼみは、あなたが「めでたし」を上手に唱えることによって、豪華なバラの花として開くのです。

もちろん、毎日十五の玄義を全部唱えろというのは無理な話ですが、少なくとも五つの玄義を、愛と信心をもってきちんと唱えてください。このロザリオは、あなたの小さなバラの花輪であり、イエズスとマリアのためのあなたの花冠です。私が話したすべての言葉に注意を払ってください。そして、私があなたに話したい、あなたに覚えておいてもらいたい真実の物語をよく聞いてください。

二人の女の子(二人の小さな姉妹)が家の前でとても素晴らしく敬虔にロザリオを唱えていました。すると、突然美しい女性が現れ、まだ六歳か七歳くらいの妹の方に歩いてきて、彼女の手を引いて連れて行きました。姉はとても驚いて、あちこち探しました。結局、妹は見つからず、姉は家に帰って両親に、「妹が誘拐された」と悲痛な思いで告げました。貧しい父と母は丸三日間、その子を探しましたが見つかりませんでした。

三日目の終わりに、玄関先でとても嬉しそうにしている彼女を見つけました。当然、どこに行っていたのかと尋ねると、ロザリオを唱えていた聖母が素敵な場所に連れて行ってくれて、おいしいものを食べさせてくれたのだという。彼女はまた、聖母から男の子の赤ちゃんを抱かせてもらい、その子はとても美しく、何度も何度もキスをしたと言っていました。

カトリックに改宗して間もない父と母は、彼らを教会に迎え入れるための指導をしてくれ、また彼らに至聖なるロザリオへの信心を教えてくれたイエズス会の神父をすぐに呼び寄せました。そして彼らは起こったすべての出来事をこの神父に話し、そして私にこの話をしてくれたのは、この神父自身でした。これはパラグアイでの出来事です。

だから、親愛なる子供たちよ、この少女たちの真似をして、彼女たちがいつもしていたように、毎日ロザリオを唱えてください。そうすれば、天国に行ってイエズス様とマリア様にお会いする権利を得ることができます。もし、現世でお会いすることがイエズス様とマリア様の御望みでなくても、少なくともあなたたちが死んだ後、永遠にイエズス様とマリア様にお会いすることができるでしょう。アーメン。

ですから、すべての人が、学識ある人も無知な人も、義人も罪人も、偉大な人も小さな人も、夜も昼も、至聖なるロザリオを唱えて、イエズスとマリアを讃え、敬いましょう。"あなたがたの間で多くの働きをされたマリアに敬意を込めて挨拶申し上げます。"



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