モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

その12 フェルメールが認めた「カレル・ファブリティウス」

2008-12-10 09:10:22 | フェルメール

フェルメールに影響を与えた画家、カレル・ファブリティウス

上野の東京都美術館で開催されている『フェルメール展』
フェルメール以外で気になる絵が二点あった。
カレル・ファブリティウスの『自画像』がその一つだ。

この展覧会は、フェルメールを含めてオランダ、特にデルフトで活躍した画家の
素晴らしい絵が集積している。
特に、17世紀オランダで発展した写実主義アートの流れが一望できたことがうれしかった。
1660年の前後20年の間に描かれた作品ばかりで、わずか30年で写実主義絵画が頂点を迎える。

その中でもやはり抜きんでていた最高傑作がフェルメールであることを実感でき、
12月14日の最終日までにもう一度見て、フェルメールをまぶたなのか心なのかどこかに焼き付けておこう!
(それからず~っと気になっていたブリューゲルに戻ってみようかなと思っている。)

フェルメールに関しては最後に残しておいて、気になる絵その1を書きとめておこう。

カレル・ファブリティウス『自画像』(作:1647-1648年頃)


(出典)Web Gallery of Art,(画面下部の“F”をクリックし、“Fabritius, Carel”を選択)

この絵は、じっと引き込まれるものがある。
これを写実的というのだろうか? と問いを発したくなる。
鏡に映った自分、その内面を切り出して描いたような印象がする。
“写実”というよりも“写心”といいたい絵のようだ。

ファブリティウス(Fabritius, Carel 1622-1654)は、32歳の若さで亡くなったが、
1640年代半ば頃はレンブラントの才能豊かな弟子だった。
レンブラントの元を離れ、1650年にはデルフトに住みつき作品は少ないが独特の絵を描いている。

展覧会では『歩哨』『楽器商のいるデルフトの眺望』など5点が展示されていたが、
写実の中に物語を埋め込むような感じがあり、レンブラント+デルフトという
他のデルフトの画家にはない独特な画風のように受けとった。
大胆な筆づかいと強い明暗がレンブラントの特色といわれるが、
それに緻密な観察眼による写実性が溶け込んでいるとでも言ったらよいのだろうか?

さらに付け加えると、フェルメールが尊敬した10才年長の先人のようであり、
フェルメールは、画商としてなのかよくわからないが、ファブリティウスの絵を三点ほど所有したようだ。

フェルメールの絵も写実的ではあるが写実的でないと感じる。
ファブリティウスは、 “写心” というコンセプトをフェルメールに残して早世したのだろうか?


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