浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

作曲をする指揮者ワインガルトナー それとも指揮する作曲家ワインガルトナーか

2007年09月16日 | もう一つの顔
ワインガルトナーは多くの作品を残した墺太利の作曲家で、指揮者としても有名である。この当時の指揮者、洋琴家の殆どは作曲を手掛け、そもそも作曲家を目指した者が非常に多いのは、音楽家たるものはやはり作曲家が創造主、つまり神であり、再現芸術家はその僕(しもべ)であるといふ、ごく当たり前のことが当たり前に理解されてゐたからである。現代は神不在の時代であり、再現芸術家である神の僕(しもべ)が神の如く振舞ひ、我が物顔で居る。

「愉快な序曲」作品番号53といふ管絃樂作品を聴いている。とても分かり易く維納のかほり漂う音楽である。曲想は変化に富み、ワーグナーの流れを汲むオーケストレイションには流石に無駄は無く、野暮ったさは全く感じさせない。トライアングルなどの装飾もリストばりに効果的だ。庶民の踊りや後半に登場するサーカス小屋の音楽のやうな短調の部分などはかなり印象的で、エンディングはまるでヨハン・シュトラウスの序曲のやうだ。

ワーグナー、リスト、シュトラウス、ブラームスと同時代人であったワインガルトナーである。シュトラウスとの親交、リストとの師弟関係など、ワインガルトナーは歴史上、非常に重要な人物であることが分かる。ただ、多くのSPレコヲドが残されてゐる割りにライブ録音の存在を聞かない。まだまだ、多くのことを研究すべき音楽家であると思ふ。

盤は、仏蘭西TimpaniによるCD 1C1029。


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