浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ゴロヴァノフによる音楽破壊(其の壱)/「1811年」

2007年09月18日 | 指揮者
突然、うまい珈琲が飲みたくなると、僕は嫁さんに頼んで車を走らせ、神戸御影のダンケに向かう。ここにはJリーガーも訪れるといふ。店に着くやアイスウィンナーコーヒーを2つ頼んだ。

道中、逸る気持ちを抑えてゴロヴァノフのライブ録音集のCDをカーステレオに入れた。ゴロヴァノフといふ指揮者を聴くのは今回が初めてだったが、露西亜のフルトヴェングラーだの超爆演などといふキャッチコピーはよく目にしてゐた。

チャイコフスキーの最高傑作であるこけおどし的序曲「1812年」をかけた。露西亜正教会の聖歌の部分で早速トラブル発生!カーステレオが壊れて音量が大きくなったり小さくなったりと聞き辛い。「安倍るな!」と怒鳴りたい気持ちを抑えて、じっと我慢をしながら耳を傾けてゐると、主旋律の途中でトランペットが突然鳴らなくなり、先ほどのトラブルがカーステレオのせいでないことが分かった。まったく、途中で演奏を安倍らないでもらいたいものである。

その後、轟音のなか突然テンポが変わり、ハードロックにも通じる憤りの音楽が鳴り始めた。金管楽器の音が一斉に割れ、打楽器奏者がおもちゃ売り場の猿たちのやうに大暴れを始めた。興奮のあまり、僕はCDケースを割ってしまったほどだ。後半も非常によく安倍られた解釈により、この世のものとは思えぬほどの音楽に仕上がってゐる。最後には、帝政露西亜国歌のところが、間違って訂正露西亜国歌が演奏されて観客は大喜び。

久しぶりの聴いてはならぬ音に触れた感動の為か、運転する嫁さんも睡魔から解放され、おかげで高速運転で予定より30分も早く着いたのだった。

そんなわけで、店に着くやアイスウィンナーコーヒーを2つ頼み、ほっと一息ついたのだった。バターをブレンドした苦味のある深い焙煎が特徴で、ここでしか味わえない珈琲だ。店を出る頃には道中に味わった不快感をきれいに忘れてゐた。

手放すことが決まったこの盤は、IMG Artists のCD**********。


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