浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

作曲家マゼールによるフルート作品

2010年05月08日 | もう一つの顔
親父の遺品の中からマゼールの自作自演CDが出てきた。親父はフルートを嗜み、マゼールも好んで聴いてゐた。マゼールが維納フィルハーモニーを振った演奏会のことも話してゐた。そんなことを思い出しながら、マゼール作曲、フルートと管絃樂の為の音楽を聴いてゐる。

6つの部分から成り、第1曲目は管絃團のチューニング前の音出しのやうな混沌とした雰囲気の中にも温かみを感じる音楽で始まる。現代音楽らしい音列に不協和音が鳴り響くと直ちにCDを取り出す僕だが、この作品はとても聴きやすくて愉しい。その理由を考えてみた。

①部分的に調性音楽が聴こえてくること ②コミカルな表現があること ③1曲1曲が短いこと ④オーケストレーションが素晴らしいこと ⑤日本的な古風な響きや旋律が登場すること など、幾つもあることが分かった。

僕は第4曲が特に気に入ってゐる。竹薮の奥に突然現れた緑色の不思議な池を前にして深く考え事をしてゐる自分の姿が頭に浮かんだ。チェンバロまでが登場する音楽だが、どこか東洋的でもある。

此の作品はジェームズ・ゴールウェイに捧げられた作品だそうだ。ゴールウェイは眼球がじっと止まらないことから「薬物に依存してゐる」「ゴーアウェイ(あっちへ行け!)と言ってのけものにされてゐる」などといふ噂が(一部関西地方に於いて)まことしやかに語られてゐたが、元気に活動を続けてゐると知って喜んでゐる。

盤は、国内RCAによるCD BVCC-778。

自作自演集
バイエルン放送交響楽団
BMGメディアジャパン

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