ショパンには珍しい変奏曲があるので取り上げてみた。およそショパンらしくないテーマ、「スイスの少年」といふ独逸民謡をもとに5つの変奏が序奏に続いて演奏される。ショパン18歳のときの作品である。
「対位法を取り入れずに変奏曲を作るとこうなるよ」といふ典型のやうな曲で、洋琴弾きの即興としてはよくできてゐると思ふが、変奏曲として愉しむには物足りない。ショパンのピアニスティックな趣を愉しむにも、和声の変化に乏しく技巧的にも面白みが無い。
冒頭の序奏は無い方がいい。分散和音の下降形が2回、上昇形のスケールが6回、ゼクエンツもこれほど繰り返しやられると、練習曲のやうに聴こえてしまふのだ。テーマ登場の部分ではシューベルト的なモーツァルトといった感じで、これを初めて聴いてショパンの作品だと言い当てる人は、ショパン以外には居ないだらう。
幻想的な和声や自由奔放な展開、それとピアニスティックな即興と楽器の良さを最大限引き出させる技巧的なパッセージが無ければショパンらしさを感じることができない、といふことを教えてくれる貴重な作品である。
この珍曲を粒揃いのタッチで軽やかに紹介してくれるのは、以前に一度ご紹介したレオ・ナーデルマンだ。1956年、WQXRによる放送録音集のリマスタリングCDに収められてゐる。
盤は、英國Appian P&R社のCD APR7025。
「対位法を取り入れずに変奏曲を作るとこうなるよ」といふ典型のやうな曲で、洋琴弾きの即興としてはよくできてゐると思ふが、変奏曲として愉しむには物足りない。ショパンのピアニスティックな趣を愉しむにも、和声の変化に乏しく技巧的にも面白みが無い。
冒頭の序奏は無い方がいい。分散和音の下降形が2回、上昇形のスケールが6回、ゼクエンツもこれほど繰り返しやられると、練習曲のやうに聴こえてしまふのだ。テーマ登場の部分ではシューベルト的なモーツァルトといった感じで、これを初めて聴いてショパンの作品だと言い当てる人は、ショパン以外には居ないだらう。
幻想的な和声や自由奔放な展開、それとピアニスティックな即興と楽器の良さを最大限引き出させる技巧的なパッセージが無ければショパンらしさを感じることができない、といふことを教えてくれる貴重な作品である。
この珍曲を粒揃いのタッチで軽やかに紹介してくれるのは、以前に一度ご紹介したレオ・ナーデルマンだ。1956年、WQXRによる放送録音集のリマスタリングCDに収められてゐる。
盤は、英國Appian P&R社のCD APR7025。