浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

カロル・ミクリの洋琴作品の数々 世界初録音

2011年07月10日 | 忘れられた作品作曲家
カロル・ミクリの名は洋琴を嗜む方の多くが知ってゐる。ショパンの助手として最も近いところに居た洋琴家であり、ショパンの楽譜の校訂や直伝の演奏解釈に関するコメントなどを残してくれた歴史上の大恩人なのである。今日はミクリの作曲家としての遺産を愉しんでゐる。

作品番号8の2曲のポロネーズは、以前に一度、簡単に取り上げたことがあったが、ショパンがあと2・3曲ポロネーズを残しているとしたらこんな風だったのではないだらうか、といふ嬉しくなるやうな作品である。個人的には中間部にもう少し工夫があってもいいとは思ったが、僕にとって財産が一つ増えたやうな喜びを感じてゐる。

作品番号24の第8番に登場する練習曲では、フンメルの時代のやうな古典的な練習曲を思はせる出だしだが、ショパンでは聴かれなかった新しい感覚の転調が取り混ぜられてゐて興味深い。第10番の即興曲でも新しい洋琴の可能性を模索するミクリの姿を想像しながら聴いてゐる。

なお、これらの世界発録音の作品の最後にはミクリの処女作、「前奏曲とプレスト・アジタート」作品番号1が収録されてゐるが、なかなか深い感情表現を伴う作品であり、とても番号の若い作品だとは思へない。

ミクリは当初は医師になるべく維納の大学で学び、母の死後、自分のやりたい音楽の道へと転進し巴里に出向いた。1844年から1847年までの間、ショパンからレッスンを受け、同時にH.レーバーに和声学を、M.ナギラーに作曲をそれぞれ学んだといふ。したがって今聴いてゐる作品は恐らくショパンの晩年か死後に作曲されたものだらうと推測する。4年間のレッスンでショパンから学んだ音楽のエッセンスがいかに大きいものだったのかはミクリの作品を聴けば伝わって来る。

これらの貴重な作品をレコヲド化して下さったSelena社の審美眼とラヂヴォノヴィッツとかいふ洋琴弾きに心から拍手を送りたい。

盤は、波蘭Selenaによるデジタル録音 CD-s9907.52。

コメント   この記事についてブログを書く
« レシェテツキ門下のフランチ... | トップ | コンスタンチン・イグームノ... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

忘れられた作品作曲家」カテゴリの最新記事