浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

カール・フレッシュによるフォーレの子守歌

2007年04月25日 | 提琴弾き
貴志康一の師でもあるカール・フレッシュが仏蘭西もの、それもフォーレの子守歌を弾いてゐるレコヲドがあった。

冒頭はポルタメントとテンポの揺れに少々戸惑うが、静かな中にも熱い思いの詰まった音楽を奏でてゐる。角のとれた丸みのある音色はフォーレの優しい音楽によく合う。

今日も会議で馬鹿な奴らに付き合わされ辟易してゐると、部下同士が口論をおっぱじめた。お互いの立場を譲ろうとせず、収拾がつかない。僕は、こういふときの対処方法は心得てゐる。若い頃には僕もよく自分の考えを強く出して相手を叩き潰したものだ。違うところは、お互いが譲らないといふ経験は僕にはない。たいがい、相手を言い負かして撃沈させるのが僕の主義だったからだ。撃沈させたと思ってゐると、必ず先輩が心憎い言葉を僕に投げかけてくるのだ。決して僕を責めてはゐないが、僕は素直に反省した。そして、絶対に有り得ないことだが、翌日、僕は相手に謝ってゐた。そういったわけで、いつの間にか、心憎い一言を投げかける先輩の真似をする日を心待ちにしてゐたのだ。

要は、双方に対して心を遣うだけのことだ。心を遣うだけで、決してどちらの意見にも賛同してゐない。なのに、双方とも心を落ち着かせて自分の言葉を省みるのだらう。結果は上手くいったが、心を遣った僕の心は癒しを求めて今日もCDラックを探す。こんな奴らとの付き合いで時間を無駄にしたくはないといふのが本音だ。つまらぬ仕事である。

フレッシュの提琴でフォーレを聴いたら直ぐに床につこう。これ以上、くだらぬことを考えたくない。

盤は、英國BiddulphによるSP復刻CD LAB045。



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